22日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループF第2節で、ナイジェリア代表(FIFAランキング44位)がボスニア・ヘルツェゴビナ代表(同21位)に1−0で勝利した。ナイジェリアは前半29分にFWピーター・オデムウィンギーが先制弾を決める。その後は追加点をあげられなかったが、押し気味に試合を進め、W杯では98年フランス大会以来の勝利をあげた。ボスニア・ヘルツェゴビナは連敗でグループリーグ敗退が決まった。

 16年ぶり決勝Tへ大きな1勝(クイアバ)
ナイジェリア 1−0 ボスニア・ヘルツェゴビナ
【得点】
[ナ] ピーター・オデムウィンギー(29分)

 同じグループでアルゼンチンの決勝トーナメント進出が決まり、残るは1枠。その行方を大きく左右する一戦は“スーパーイーグルス”の別名を持つアフリカの雄に軍配が上がった。

 立ち上がりから、互いにチャンスをつくった。前半7分にはナイジェリアがペナルティエリア手前でFKを獲得。オデムウィンギーのキックは壁に当たって、わずかにゴール右にそれる。その直後、ボスニア・ヘルツェゴビナはMFムハメド・ベシッチがドリブルで前線へ運び、一旦、味方に預けて戻ってきたところで右足を振りぬく。ミドルシュートは惜しくもバーの上を通過した。

 そんな中、先に決定機を迎えたのはボスニア・ヘルツェゴビナだ。前半21分、MFズビェズダン・ミシモビッチのスルーパスに、エースストライカーのFWエディン・ジェコが反応。うまくゴール前に抜け出して右足で合わせ、ゴールネットが揺れる。だが、判定はオフサイド。相手DFがひとり残っていたように見えたが、ゴールは認められない。さらに24分、再びジェコが相手DFの間を破り、縦パスを受けてシュートを放つが、相手GKの正面を突いた。

 すると29分、ナイジェリアが先にゴールをこじ開ける。MFエマヌエル・エメニケが右サイドを駆け上がり、相手を強引にひとりかわして折り返す。そこへ飛び込んだのはオデムウィンギー。正面で合わせて先制点が生まれた。

 1点ビハインドとなったボスニア・ヘルツェゴビナはジェコにボールを集めて反撃を試みる。前半終了間際には、MFミラレム・ピャニッチが右サイドから低いクロス。ジェコがペナルティエリアの外からゴールを狙うも枠をとらえきれない。

 反撃したいボスニア・ヘルツェゴビナは後半に入って、前節のアルゼンチン戦で得点を決めたFWベダド・イビシェビッチらを投入し、攻撃の活性化を試みる。しかし、高温多湿の気候でむしろ選手たちの動きが鈍り、ゴールに迫れない。

 逆にナイジェリアは16分、左サイドからのクロスが左に流れたところをエメリケがシュート。これはボスニア・ヘルツェゴビナのGKアスミル・ベゴビッチが身を挺して防ぎ、追加点は阻止した。

 1点差のまま、試合は終盤へ。ナイジェリアにボールをキープされ、押され気味のボスニア・ヘルツェゴビナだったが、29分にはCKのチャンス。浮き球がイビシェビッチの頭に合ったが、ボールはバーの上を越えた。

 さらにアディショナルタイム、ボスニア・ヘルツェゴビナには立て続けにチャンスがやってくる。右からのCKがゴール前ではね返ってきたところを、再度、ミラレム・ピャニッチが入れ直すと、これにジェコがジャンプ。打点の高いヘディングシュートだったが、GKがキャッチする。

 時間がない中、今度は縦パスを放り込み、それがジェコに収まる。振り向きざまに放ったシュートはGKとポストにあたり、もう少しのところで枠を外れた。結局、90分通じて1点が遠かったボスニア・ヘルツェゴビナは初めてのW杯をグループリーグで去ることが決定した。

 一方のナイジェリアは1勝1分で勝ち点を4に伸ばした。最終節(26日)では既に決勝トーナメント行きを決めたアルゼンチンと対戦する。引き分け以上なら無条件で突破となり、敗れた場合も、現在勝ち点1のイランの結果(対ボスニア・ヘルツェゴビナ)次第で通過の可能性がある。

(石田洋之)

【ナイジェリア】
GK
ビンセント・エニュアマ
DF
ジョセフ・ヨボ
エフェ・アンブローズ
ジュウォン・オシャニワ
ケネス・オメルオ
MF
ジョン・オビ・ミケル
オジェニ・オナジ
FW
アーメド・ムサ
→ショラ・アメオビ(65分)
ピーター・オデムウィンギー
エマヌエル・エメニケ
マイケル・ババトゥンデ
→エジケ・ウゾエニ(75分)

【ボスニア・ヘルツェゴビナ】
GK
アスミル・ベゴビッチ
DF
エミル・スパヒッチ
トニ・シュニッチ
MF
ムハメド・ベシッチ
ミラレム・ピャニッチ
ズビェズダン・ミシモビッチ
メンスル・ムイジャ
セナド・ルリッチ
→セヤド・サリホビッチ(58分)
ハリス・メジュニャニン
→ハリス・メジュニャニン(64分)
イゼト・ハイロビッチ
→ベダド・イビシェビッチ(57分)
FW
エディン・ジェコ