(写真:「これまで満足いく進路を選べなかった」と上田<中央>。晴れて鹿島入りを果たした)

 法政大学サッカー部は20日、都内でFW上田綺世(2年生)の鹿島アントラーズ内定会見を行った。上田は中学時代に鹿島の下部組織に所属し、鹿島学園高校、法政大学を経て今回、鹿島に“復帰”したことになる。

 

 上田は昨年8月に行われたアジア競技大会にU-21日本代表として6試合に出場し、3ゴールを記録した。大学サッカー、年代別代表での試合を通じて質の高い動きを披露。2020年に開催される東京オリンピックのエース候補でもある。

 

 上田の売りは得点力の高さだ。大学では1年生から主力に定着。関東大学リーグでは2年間で39試合に出場し23得点を記録している。鹿島の椎本邦一スカウト部長は「即戦力として考えている。得点感覚に優れている選手」とストライカーとしての素質を認めた。身長182センチから繰り出されるヘディング、左右どちらの足でも強烈なシュートが放てる生粋の点取り屋である。

 

 プロ入りについて上田はこう語った。

「プロを諦めることは一度もなかった。絶対にプロサッカー選手になってやるという反骨心でここまできました。中学、高校と仲間の挫折も見てきた。僕もプロ入りは無理だろうと言われていたかもしれないですが、その反発を力に変えてこれまでやってきました」

 

 鹿島というチームについては「目標としていた場所」と語り、こう続けた。

「中学の頃に3年間、プレーさせていただいて高校の時はユースに上がれなかった。いつか鹿島に戻ってやるという反骨心もありました。言い方は悪いですが、“呼ばせてやる”“必要とさせるようなプレーヤーになってやる”という思いで頑張ってきました」

 

 大学卒業まではあと2年あるが日本サッカー協会(JFA)が認定する2019年JFA・Jリーグ特別指定選手の手続きも済ませており、今季から鹿島の試合にも出場可能だ。常勝軍団の鹿島は今季もACL本戦出場が決まるなど、リーグ戦、カップ戦、天皇杯など試合数が多い。練習でのアピール次第では上田にも出場の機会は十分あるはずだ。

 

 東京オリンピックのエース候補が、鹿島の勝者のメンタリティーに触れることでさらに覚醒することを期待したい。

 

(文/写真・大木雄貴)