2019年のJリーグが開幕した。J2から昇格した大分トリニータがアジアチャンピオンの鹿島アントラーズに競り勝つなど今季も面白い戦いになりそうである。

 

 FWダビド・ビジャを補強したヴィッセル神戸、DF昌子源やDF西大伍が抜けたもののFW伊藤翔らを補強した鹿島、セレッソ大阪からFW杉本健勇を獲得した浦和レッズなどどこが優勝してもおかしくないのが今年のJリーグだ。そんな中でも、川崎フロンターレを優勝予想の本命にあげたい。一昨年、昨年と連覇を果たしたこのクラブは3連覇に向けて補強も順調だ。

 

 リオデジャネイロ五輪得点王のFWレアンドロ・ダミアンの獲得は大きい。浦和とのゼロックススーパーカップでは、さっそくゴールを決めるなど目に見える結果を残した。それに加え、この助っ人は献身的な守備、ため息がでるほど美しいポストワークも披露している。パスワークを重視する川崎Fにとって、縦パスのあてどころができたことは非常にプラスである。

 

 ダミアンの加入が川崎Fの攻撃の幅を広げている。188センチの長身を生かした空中戦でも威力を発揮している。ゼロックススーパーカップでもJリーグ開幕戦でも、左サイドのMF家長昭博が単純にクロスを供給し、ダミアンがヘッドでゴールを狙う場面があった。Jリーグの全チームが川崎Fのパスワークを警戒してくるに違いない。そこに空中戦も織り交ぜれば鬼に金棒である。

 

 ポゼッションサッカーで観る者を魅了する川崎Fだが、試合内容によっては己のスタイルを捨てざるを得ない時もあるはずだ。それを躊躇なくできるのが鬼木達監督だ。彼は現役時代、“常勝軍団”と言われた鹿島でプロキャリアをスタートさせた。監督として川崎Fを率いて3年目。チームは成熟の時を迎えている。鬼木監督は前監督の風間八宏の攻撃的サッカーに鹿島の要素をうまく注入しているように映る。

 

 指揮官はチームのスタイルについてこう語った。

「勝つチームの空気、勝つチームの姿勢は鹿島で培ってきた。そういう雰囲気作り、ひとつひとつの勝負に対する執念めいたものを言い続けることは大事なので続けている。自分たちのスタイルがある分、それを貫いていればいいだろうというだけではだめ。一番は結果です。その結果を求めるためにスタイルがある。スタイルと結果を両立しないと意味がない。これは口酸っぱく言っている。鹿島の良さは勝負にこだわるところ。フロンターレの良さは自分たちのスタイルを確立しているところ。もしかしたら今は、そこが良い形で表現できているのかもしれない」

 

 鬼木政権下で、川崎Fは黄金期を迎えている。今季もこのチームのサッカーから目が離せない。

 

(文/大木雄貴)