野球は「間」のスポーツと言われる。ウォールストリートジャーナル電子版によれば、一試合のうち、実際に選手たちがプレーしている時間、すなわちアクチュアル・プレーイング・タイムは大体、14分くらいと見積もられている。

 

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 試合は3時間超

 

 つまり、野球の試合時間のほとんどは考えたり、準備したり、選手の交代にかかる時間である。それも野球の魅力のひとつと言われれば、その通りだが、残念なことに近年は「間延び」に感じられる試合が少なくない。

 

 参考までにここ3年間のプロ野球の平均試合時間(9回試合のみ)の推移を見ていこう。セ・リーグ/2016年=3時間10分、17年=3時間6分、18年=3時間14分。パ・リーグ/2016年=3時間13分、17年=3時間10分、18年=3時間13分。試合時間は一向に短くならない。

 

 試合時間は3時間以内が望ましい――。そう持論を口にして、プロ野球の「時短」に取り組んだコミッショナーがいた。前コミッショナーの熊崎勝彦だ。

「6時に試合が始まり9時くらいには終わって帰るのが理想。野球は終盤の7、8、9回がおもしろい。それを見ずして帰るのではファンが気の毒だ」

 

 確かにナイトゲーム終了後、観戦客が近郊都市へ帰ろうとすれば、9時までには球場を出たい。子供連れなら、なおさらだろう。また煌々とグラウンドを照らすナイトゲームの「時短」は環境面からも避けられない。NPBは08年にグリーンベースボールプロジェクトを開始したが、今やそれも絵に描いたモチである。

 

 料理ならフルコース

 

 こう書くと、「あまり“時短”“時短”と言い過ぎると、プロ野球の魅力が損なわれる」と怪訝な視線を向ける者もいる。時間に縛られない点こそが、野球の最大の醍醐味だと。

 

 そうした声に私は反対しない。いつ終わるかわからない面白さは、人生にも似て、他の団体ボールゲームにはない野球の魅力である。

 

 しかし先述したように「間」と「間延び」を混同してはいけない。余計なものを排除すれば、最低でもプロ野球は今より30分は短くなるのではないか。

 

「プロ野球史上最高の試合」とオールドファンが口を揃えるのが1959年6月25日、後楽園球場で行われた巨人-阪神戦である。言わずもがな、プロ野球史上初の天覧試合である。

 

 天覧試合といえば長嶋茂雄のレフトポール際のサヨナラホームランが今でも語り草だが、他にもON初のアベックホームランあり、藤本勝巳の勝ち越し2ランあり、ピンチの芽を摘んだ藤田元司と広岡達朗のアイコンタクトによる牽制刺殺あり、牛若丸・吉田義男のファインプレーあり、そして村山実の真っ向勝負ありと内容は盛りだくさんなのだ。スコアもシーソーゲームの末の5-4だから野球を堪能するには申し分ない。主審を務めた島秀之助は「まるで作られたドラマのような試合であった」と述べている。

 

 料理ならフルコースだ。これだけメニューがぎっしり詰まっていながら、試合時間は2時間10分なのである。プロ野球関係者は、この事実を確認し、原点に立ち戻るべきである。3月29日、NPBは2リーグに分立してから70年目のシーズンを迎える。

 

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