メジャーリーグの第85回オールスターゲームが16日、ミネアポリスのターゲット・フィールドで行われた。試合は初回、今季限りでの引退を表明しているデレク・ジーター(ヤンキース)の二塁打を足がかりに3点を先行。ナショナルリーグはジョナサン・ルクロイ(ブルワーズ)の2打席連続タイムリーなどで追いついたが、5回にア・リーグがマイク・トラウト(エンゼルス)の二塁打で勝ち越し、そのまま5−3で逃げ切って昨年に続く勝利を収めた。日本人で球宴メンバーに選ばれたダルビッシュ有(レンジャーズ)は3回に登板し、1回を三者凡退。上原浩治(レッドソックス)は6回2死二塁の場面でマウンドに上がり、打者ひとりを空振り三振に切って取った。MVPには先制打と決勝打を放ったトラウトが選ばれた。
 ジーター、2安打で有終の美
ナショナルリーグ  3 = 020100000
アメリカンリーグ   5 = 30002000×
勝利投手 シャーザー(タイガース)
敗戦投手 ニシェク(カージナルス)
セーブ   パーキンス(ツインズ)
本塁打  (ア)カブレラ2ラン(タイガース)

 2人の日本人投手が役割を果たし、ア・リーグの勝利に貢献した。
 まず夢舞台に上がったのはダルビッシュ。3−2と1点リードの3回だ。新人から3年連続でオールスターの出場メンバーに選出されたのは、トム・シーバー(メッツ)、ドン・ニューカム(ドジャース)、ドワイト・グッデン(メッツ)に続き、史上4人目の快挙。しかし、過去2年は登板機会がなかったため、今回は初めて味わう球宴のマウンドだった。

 最初のバッターはヤシエル・プイグ(ドジャース)。初球からダルビッシュはストレートで真っ向勝負を挑む。4球連続ストレートでファウルを打たせ、カウント2−2とすると、その後はスライダー攻め。フルカウントから7球目のスライダーがプイグの懐からストライクゾーンに収まり、見逃し三振を奪った。

 続くバッターは現在、ナ・リーグで打率(.345)、本塁打(21本)で2冠のトロイ・トロウィツキー(ロッキーズ)。強打者を迎えてダルビッシュは予想外の変化球で幻惑する。アウトローにストレートを2球決め、カウント1−2と追い込んでの4球目だ。長い腕から放たれたボールはドロンと大きな弧を描いた。90キロ台のスローカーブ。惜しくもコースを外れ、連続三振とはならなかったが、フルカウントからレフトへのライナーに打ち取った。

 2死を奪い、4番のポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)は初球を打ってセカンドライナー。1イニングのみの登板ながら持ち味を十二分に見せつつ、遊び心も少し交えた14球だった。

 メジャー6年目にしてメジャーリーグでは初の球宴となる上原は6回、2死三塁のピンチで出番がやってきた。昨季はレッドソックス世界一の立役者となったクローザーは初球から伝家の宝刀を連発する。デビン・メソラコ(レッズ)に対して、スプリットを4球続けた。絶妙な高さから落ちるボールにメソラコは1球、ファウルで逃れたのが精一杯。最後はバットに空を切らせ、空振り三振に仕留めた。ベンチに引き上げてきた上原は、ア・リーグの選手たちと激しいハイタッチ。昨年から話題になっているパフォーマンスをオールスターの場でも披露した。

 試合はラスト・ミッドサマー・クラシックとなるジーターがア・リーグに流れを呼び込んだ。ファン投票選出で現役最多14回目の出場を果たした40歳は1番・ショートでスタメン出場。初回、打席に入ろうとすると、球場中がスタンディングオベーションで迎える。ナ・リーグ先発のアダム・ウェインライト(カージナルス)までグラブをマウンドに置いて拍手を送った。その余韻も覚めやらぬうちに2球目のストレートを弾き返し、ライト線への二塁打を放つ。
 
 このヒットをきっかけに、続くトラウトがライトフェンス直撃の三塁打。ジーターが先制のホームを踏む。さらに、1死後、ミゲル・カブレラ(タイガース)が2ランをレフトスタンドに叩き込み、あっという間に3点をあげた。

 さらに3回、ジーターの第2打席。先頭打者としてフルカウントからの7球目を打ち返すと、打球はライト前に落ちる。2打数2安打で、球宴の通算成績は27打数13安打、打率.481。最後まで勝負強さを示し、4回表、一旦、ショートのポジションに就いた後、万雷の拍手を受けてベンチに退いた。
 
 ナ・リーグは2回、チェイス・アットリー(フィリーズ)、ルクロイの連続二塁打で1点差に迫ると、5回には2死一塁から、またもルクロイが右中間フェンス直撃の当たりを飛ばし、3−3と試合を振り出しに戻す。

 しかし、勝ち越したのはア・リーグだ。5回、2死一、、二塁とチャンスをつくり、トラウトが三塁線を破る。二塁走者が生還して4−3。なおも二、三塁でア・リーグ打率2位(.335)のホセ・アルテューベ(アストロズ)がレフトへの犠牲フライを放ち、1点を追加した。

 このリードを6回以降は上原をはじめ、ア・リーグの投手陣が守り切る。最終回は地元ツインズのクローザー、グレン・パーキングと、正捕手のカート・スズキがバッテリーを組み、三者凡退で真夏の祭典を締めくくった。この結果、秋のワールドシリーズは、ア・リーグ優勝チームの本拠地から開幕する。