四国アイランドリーグPlusは後期シーズンがスタートし、日程の4分の1を消化した。NPB入り、復帰を目指してプレーする選手たちにとっては野球人生を賭けた熱い夏の到来だ。
 7月29日現在、打率.347とリーグトップの数字を残しているのが、高知の4番バッター・河田直人だ。愛知学院大を中退してリーグに飛び込み、今季が2年目。左バッターで広角に長打を放てるバッティングは評価が高く、今秋のドラフト候補としても注目されている。22歳の若き外野手にNPB行きへの決意を訊いた。
(写真:大阪府出身だが、高校は徳島の生光学園で四国には縁がある)
――今季は開幕から打率3割以上をキープし、目下、首位打者です。好調の要因は?
河田: 昨季から取り組んできた軸回転でバットを地面と平行に出すスイングがようやくつかめてきました。いいスイングができるようになって、打球が自然とヒットコースに飛んでいますね。

――弘田澄男監督からは「バットを最短距離で出す」よう指導を受けてきたそうですね。その成果が実を結び始めたと?
河田: そうですね。アイランドリーグに来て昨年1年間、バットを振り続けてきたことで自信がついたのも大きいです。体力面でも体幹を鍛えたり、取り組むべき課題がたくさんあって、試合に向けた調整ではなく、日々、練習で体を追い込んできました。

――大学を中退し、早期のプロ入りを目指してアイランドリーグへの道を選びました。高知入りするまでの約半年間は、ひとりでトレーニングをしていたとか。
河田: 大学2年の大学選手権を終えて中退したので、その後は、ひとりでジムに行って壁当てをしたり、素振りをしたりといった毎日でした。野球に打ち込める今の環境は非常にありがたいです。

――体力強化の効果は実感していますか。
河田: 体のキレが良くなりましたね。走るスピードも早くなりました。昨年、メニューを組んでいただいた殖栗(正登)トレーナー(現徳島トレーナー)には感謝しています。ただ、夏場になると、どうしても疲労が溜まってくる。前期の後半は体にキレがなくなって、思うようなバッティングができていなかったので、その部分は引き続き、鍛えていく必要があると感じています。

――パンチ力が持ち味で今季は4番で起用されています。ただ、昨季はホームランが4本、今季は3本。もう少し一発長打を、との思いはあるのでしょうか。
河田: ホームランへのこだわりはあまりないです。それよりも、チームの勝利につながる一打を打って勝負強さをみせたい。今は3番に(フレデリック・)アンヴィ、5番に(デイビー・)バティスタと外国人がいますから、チャンスではきっちりタイムリーを打ちたいですし、ランナーがいない場面では後ろにつなぐ意識で打席に立っています。
(写真:弘田監督は「率を気にせず、1日1本ヒットを打つ意識で試合に臨んでほしい」と語る)

――その点でいえば、51試合で打点20というのは不満があるのでは?
河田: そうですね。4番を任されている以上、一番、求められるのは打点。打点が少ないのは、チームの勝利に貢献できていないことだととらえているので、後期は、もっと得点圏で打ちたいですね。

――交流試合、みやざきフェニックスリーグなどNPBのピッチャーとの対戦では、阪神の藤浪晋太郎投手からタイムリー二塁打、東北楽天の永井怜投手からライトへのホームランを放ち、1軍クラス相手にも結果を残しています。手応えをつかんだ部分もあるのでは?
河田: NPBでもやれるという気持ちも出てきましたが、それでも、このリーグにいるのは自分に何かが足りないから。足りない部分を埋めないことには、NPBには行けないと思っています。

――足りない部分は何だと自覚していますか。
河田: 波があるところですね。いい選手は1年間、好不調の波が少ない。僕はまだノーヒットの試合も多い。なんとか次の試合では打ってやろうと強い気持ちで臨むのですが、それが打ちたい、打ちたいと焦りにつながって体が前に突っ込んでしまう。それを修正して後ろに体重を溜めようとすると、今度は左肩が下がってしまうんです。いい状態でどんどん打率を上げていくのはなかなか難しい。でも、バッティングが僕のウリなので、そこは日々の練習から意識して、試合で結果を出したいと考えています。

――昨秋のフェニックスリーグでは二刀流で話題の北海道日本ハム・大谷翔平投手とも対決しています。
河田: 彼は今まで対戦した中では一番すごいピッチャーでしたね。真っすぐは速いし、変化球のキレも鋭い。あのクラスを打たないと1軍では活躍できない。その思いを強くしました。

――大谷投手や藤浪投手は年齢的には2歳下です。NPBに入って1軍で長くプレーするには、彼らのようなピッチャーを打ち崩さないといけませんね。
河田: 年下の選手には負けたくない。その意識は常に持っています。昨年、藤浪投手から二塁打を打った時に、新聞では「格下相手に」と書かれていて、ものすごく悔しかったんです。確かにリーグの位置づけは“格下”かもしれませんけど、グラウンドで勝負する上では“対等”だと僕は思っています。“NPBに行って見返してやる”と一層、気持ちが奮い立ちました。
(写真:大学時代、神宮大会で創価大の小川泰弘(現東京ヤクルト)からヒットを放ったこともある)

――大学中退のため、規定で昨年はドラフト指名の対象外でしたが、今年は可能性があります。残り3カ月、どのようにNPBのスカウトにアピールしますか。
河田: バッティングはもちろん、走塁面でも全力疾走や得点圏にいた時の打球判断、一歩目の速さといった部分にはこだわっていきたいです。スカウトの方が観に来ていただいた際に、「獲りたい」と思っていただけるプレーをみせたいですね。

――アイランドリーグで弘田監督をはじめ、元NPBの指導者に教えてもらえると、ドラフト指名へ何を磨くべきか明確になるでしょうね。
河田: はい。守備や走塁に関しても弘田さんに細かく教えていただいて、アイランドリーグに来て、すべての面で成長できたと実感しています。

――さらに上を目指すにあたって、目標とする選手像はありますか。
河田: 広島、阪神で活躍された金本(知憲)さんですね。走攻守3拍子揃っていて体も強い。同じ外野手として理想の選手です。それと、アイランドリーグの先輩である角中(勝也)選手は常に追いかけていきたい。NPBで「第2の角中」と呼ばれる存在になる。それがひとつの目標です。

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 河田選手の直筆サインボールをプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「河田直人選手のサインボール希望」と明記の上、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、記事への感想や取り上げて欲しい選手などがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。

(聞き手:石田洋之)

7月30日(水)

 小野、走者一掃の逆転3点打(徳島4勝1敗、高知、280人)
徳島インディゴソックス   9 = 006300000
高知ファイティングドッグス 5 = 300000020
勝利投手 アヤラ(9勝1敗)
敗戦投手 平良(1勝6敗)

<順位表> 勝  負  分  勝率   差
1.愛媛    8  2  1  .800
2.徳島    8  4  1  .667  1.0
3.香川    2  5  1  .286  3.5
4.高知    2  9  1  .182  2.0