(写真:自己採点は100点満点で4点だったが、「試合は楽しかった」と語ったマフィ)

 20日、日本とニュージーランドの特別強化試合が千葉・ゼットエーオリプリスタジアムで行われた。スーパーラグビー(SR)のヒト・コミュニケーションズ サンウルブズやジャパンの候補選手を中心に編成される「ウルフパック」が、SRのハリケーンズ(ニュージーランド)の下部チーム「ハリケーンズB」を68-21で下した。

 

 1カ月前のニュージーランドでの敗戦も、前日のサンウルブズの惜敗も吹き飛ばすような大勝だ。

 

(写真:ケガから復帰した堀江も調子は上向きだ)

 ジャパンのジェイミー・ジョセフHCが指揮を執るウルフパック。この日の試合のスターティングメンバーはHO堀江翔太、LOヴィンピー・ファンデルヴァルト、SH流大、SO田村優、WTB福岡堅樹、WTBレメキ・ロマノ・ラヴァ、FB松島幸太朗といったジャパンの主力が名を連ねた。
 
 しかし、試合開始早々に失点を喫してしまう。キックオフのボール処理にもたつき、ノックオンで相手にボールを奪われる。アドバンテージのまま中央突破を許した。開始1分も経たぬうちに先制される。コンバージョンキックも決められ、0-7となった。
 

(写真:9本中8本と高いキック成功率で貢献した田村)

 3月にニュージーランドで行われた前回の対戦では8トライを奪われたウルフパックだが、この日は違った。サンウルブズで実戦経験を積んでいたNo.8アマナキ・レレイ・マフィが突進力を遺憾なく発揮する。前半14分、左サイド敵陣深くでスクラム。流が中央に展開するとCTB松田力也が突破した。ラックとなったところで再び流がボールを拾い、マフィへ。ゴールポスト下に飛び込んだ。
 
 田村のコンバージョンも決まり、同点に追いついた。すると一気にサンウルブズムードに。松田のキックパスを右サイドで受けたマフィがゲインする。その後、レメキにボールが渡るとモールを組んで、そのままインゴール右隅に押し込んだ。再び田村のキックが決まり、14-7とリードを奪う。
 

(写真:田村はキック、パス、ランと相手のスキを突き続けた)

 流と田村のハーフ団は抜群のゲームメイクを見せる。特に田村はグラバーキックで21分の松島のトライを演出すると、26分にはパスダミーを織り交ぜ中央突破。ノールックでレメキにパスを渡し、連続でトライをアシストした。いずれのコンバージョンも確実に決めて得点を積み重ねた。
 
 その後はマフィが2トライを奪い、前半だけでハットトリック(3トライ以上)を達成した。田村のコンバージョンは100%の成功率を誇り、42-7と大量リードで後半を迎えた。
 

(写真:途中出場の野口も突破力でアピール)

 後半に入ってもウルフパックの勢いは衰えない。ハリケーンズBに2トライは返されたものの、マフィ、堀江に加え、途中出場のFB野口竜司、FL布巻峻介にもトライが生まれた。計10トライで68-24と大勝した。ウルフパックは国内初戦を白星スタート。ここまでの勝敗を2勝1敗とした。次戦は27日に東京・秩父宮ラグビー場で2年前までSRに参戦していたウェスタン・フォース(オーストラリア)と対戦する。
 
 ジョセフHCは「2月からハードワークしてきた結晶。チームづくりはいい方向に進んでいる」と胸を張る。攻撃では「我々の戦いで重要な部分」というキックを多用し、前に出てくるハリケーンズBのディフェンスの裏を突いた。ジョセフHCは「キックパスを試合の中で使えるスキルとビジョンがある」と田村と松田を称えた。
 

(写真:「出だしでのミスはテストマッチではしてはいけない」と課題を口にしたジョセフHC)

 本番まであと5カ月。ジョセフHCは「若手にチャンスを与えて層を厚くしたい。そして信頼関係をより高め、チーム力を上げていきたい」と語った。
 
(文・写真/杉浦泰介)