(写真:参戦4季目で初の完封負けを喫した)

 スーパーラグビー(SR)第11節が26日、東京・秩父宮ラクビー場で行われた。今季ホーム初勝利を目指したヒト・コミュニケーションズ サンウルブズはハイランダーズ(ニュージーランド)に0-52で敗れた。前半だけで5トライを喫するなど0-33で折り返す。ハンドリングエラーが目立ち、後半も無得点。完封負けで、今季通算成績を2勝8敗となった。次節は5月3日、敵地オーストラリアでレッズと対戦する。

 

 前日から10度以上気温が下がった東京。小雨がパラつくナイターながら1万3000人を超える観客が集まったが、歓声よりも落胆のため息が目立った。サンウルブズはSR優勝経験のある強豪に完敗だった。

 

 2013年から4シーズン、ハイランダーズに在籍したSH田中史朗が今季初先発。パーカーとハーフ団を構成した。前節活躍したWTBセミシ・マシレワ、CTBラーボニ・ウォーレンボスアヤコもスターティングメンバーに顔を揃えた。好調のウルフパックからはHO堀江翔太、SO田村優が合流し、リザーブに入った。

 

(写真:スミス<中央>を中心とした攻撃を止めることができなかった)

 対戦相手のハイランダーズはニュージーランド代表(愛称オールブラックス)のキャップホルダーが6人スタメン入り。世界最高のSHとの呼び声もあるアーロン・スミス、ホワイトロック兄弟の末っ子FLルーク・ホワイトロックら現役バリバリのオールブラックスがいる。

 

 中へ、外へ。スミス、SOジョシュ・イオネアのハーフ団に面白いように回された。キックパスを織り交ぜ、サンウルブズのディフェンスラインを切り裂かれた。前半5分には18-19シーズン神戸製鋼コベルコスティーラーズで活躍したLOトム・フランクリンにスミスとコンビでトライを奪われた。その後もPRティレル・ロマックス、WTBディビタ・リー、イオアネ、HOリーアム・コルトマンにトライを獲られた。

 

(写真:マイボールスクラムでも押し込まれるなどセットプレーで苦戦)

 後半は敵陣に攻め込む場面も見られたが、ミスでインゴールまでボールを運べない。ハイランダーズは12分にキックパスから左隅でリーがトライ。20分にはCTBロブ・トンプソンが右中間にトライ。24分にはキックパスからWTBシオ・トムキンソンが右隅でトライ。ピッチを広く使う攻撃で合計8トライを浴びた。

 

 特にスミスには正確なパス、キック、ランといいようにやられた。彼がピッチにいた後半25分までの間に勝敗はほぼ決した。元同僚の田中も「FW、ゲームをコントロールするのがうまい。やはり世界一と言われているだけあります」と脱帽。9月のW杯日本大会でもオールブラックスのメンバー入りが濃厚な司令塔にその力を存分に発揮された。

 

 16年から参入し、4シーズン目にして初の完封負け。「100%ではなければコテンパンにやられる」とトニー・ブラウンHCが語ったようにミスの目立つサンウルブズは「コテンパン」にやられた。SOヘイデン・パーカーは「長い夜になった」と振り返った。

 

(文・写真/杉浦泰介)