日本ラグビー協会は8日、既に発表されていた11月の国内での日本代表(JAPAN XV)−マオリ・オールブラックス戦の2試合を大正製薬株式会社協賛の下、「リポビタンDチャレンジカップ2014」と銘打って実施することを発表した。同カードは11月1日に兵庫・ノエビアスタジアム神戸、8日に東京・秩父宮ラグビー場で行われる。また、その後、ルーマニア代表(11月15日)、グルジア代表(23日)とアウェーで対戦する欧州遠征も「リボビタンDツアー2014」として大正製薬がスポンサードする。都内で行われた会見に出席した日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は「4試合は(2015年の)W杯に向けた準備で非常に大切になる」と位置づけ、改めて目標のベスト8入りへ決意を示した。
(写真:記念撮影する(左から)ジョーンズHC、大正製薬・上原会長、日本協会・矢部専務理事)
 イングランドW杯までは、あと1年強。いよいよエディージャパンが総仕上げにかかる。 
 日本代表は、この春、アジア5カ国対抗を全勝で制し、W杯出場権を獲得。その後もサモア、カナダ、米国、イタリアを撃破し、テストマッチは日本歴代最多となる10連勝を収めた。国際ラグビー評議会のランキングも史上最高の10位に浮上しており、強化が着実に実を結んでいる。

 しかし、ジョーンズHCは「10位になれたことは非常に良かったが、これで満足していない」とさらなる高みを狙っている。本番ではグループリーグで南アフリカ(ランキング2位)、スコットランド(同8位)、サモア(同9位)、米国(同18位)と対戦が決まっており、日本は上位2チームに入っての決勝トーナメント進出を目指す。

 そのための代表強化と、35人のW杯代表メンバーを最終的にセレクションしていくのが、秋の4試合の目的だ。マオリ・オールブラックスはニュージランドの先住民マオリ族によるチームだ。国の代表ではないが、昨年11月に対戦して敗れたオールブラックスに次ぐ実力を持つといわれ、イングランドとアイルランドにも勝利した実績がある。

 マオリ・オールブラックスの印象をジョーンズHCは「組織だってはいないが、どこからでもボールをまわしてくる」と語り、仮想サモアと位置付けて戦う考えだ。一方、ヨーロッパ遠征でテストマッチを行うルーマニアとグルジアに関しては、「セットピース(スクラム、ラインアウト)中心でくる。南アフリカやスコットランドに近い」とグループリーグの相手を想定して試合に臨む。

「両方のスタイルのチームに勝っていくために、どう戦っていくかを見つけ出すこと。ベストなチームになるための筋道を立てていくことが大事になる」
 ジョーンズHCは「すべてがW杯への準備」と本番をはっきりと見据えている。7月の菅平での代表合宿では、指揮官が「これまでのキャンプでは最高」と明かすほど、選手個々のレベルアップやチームとしての課題克服へ充実した練習が積めた。

 そんなジャパンに01年から代表のオフィシャルスポンサーを続けている大正製薬の上原明代表取締役会長は「リポビタンDの商品コンセプトは努力、友情、勝利。早朝からの度重なる練習で努力し、チームワークを培われ、10連勝という勝利に結実させた。まさにリポビタンDの描いている世界を体現している」と、さらなる飛躍を期待している。これを受けてジョーンズHCは、「W杯までには1日4回、練習しなくてはいけないと考えている。もっとチームで(リポビダンDを)飲まないといけない(笑)」とジョークで会場を笑わせた。
  
 ジョーンズHCは07年大会で南アフリカのテクニカルアドバイザーとして優勝に貢献した経験から、「W杯でよりよい成績を残すには、さらに選手を強くしなくてはいけない。ゲームプランももっと順応させていかないといけない。心の準備もしなくてはいけない。(W杯)初戦の南アフリカと対戦する時にはチームのコンディションをピークにする必要がある」と断言する。

「日本のこれまでの歴史はご存知だと思う。20年以上、W杯で勝っていない。その歴史を私は変えたい」
 91年大会でジンバブエを下して以来の勝利、そして、その先へ。エディージャパンが残り1年、スクラムを組んで世界の壁を打ち破る。