11日、サッカー日本代表のハビエル・アギーレ新監督が来日し、都内ホテルで就任記者会見を行った。壇上に現れたアギーレ監督は同日に日本サッカー協会と正式に契約を締結。「素晴らしい国、素晴らしい選手が多い国で代表監督をやることをとてもうれしく思っている。2018年ロシアW杯にはぜひ出場したい」と就任の喜びと意欲を述べた。新監督は9月5日の親善試合ウルグアイ戦が初陣となる。
「たくさん走り、いいプレーをし、勝利を収める」
 自身のサッカー哲学を問われ、メキシコ人指揮官はこう答えた。そして、「(代表選手には)自分たちは国を背負って戦っているということを常に肝に銘じてもらいたい。代表チームの一員は各自が責任を持って、自分の責務を果たすことが一番大事だ」とこれから招集するであろう“代表選手”たちに心得を説いた。

 目指すサッカーについては、「バランスを重視したい」と述べた。これは、アルベルト・ザッケローニ前監督に通ずる。
「守ることも攻めることもできるバランスのとれた選手を求めている。特に守備ができることは重要だ。ボールを奪い、奪ったボールをできるだけ的確に扱って上がっていく。本当の意味で、守るというのは守備陣だけの話ではない。FWにも、MFにも同じことを求めたい。とにかくボールを追い、相手から奪い、そしてその試合で目指していることに貢献する。DF陣だけが守備にあたるとは考えていない。イレブン全員が、守れて攻められるチームを目指している」

 会見に同席した原博実専務理事兼技術委員長も、アギーレ新監督に信頼を寄せている。
「アギーレ監督は代表監督の経験があり、クラブレベルでもいろいろなクラブをやっている。特にスペインで、南アフリカW杯の後にやったサラゴサ、さらにエスパニョール。チーム状態が厳しい中で引き受け、その中で守備を建て直して勝ち点をしっかりとって残留させた。これは、強いチームを勝たせるよりも難しい。そういう作業をやってきた。今の日本に(必要なのは)、守備だけ、攻撃だけと、どちらだけではない。バランスをどうやってとるか。彼(アギーレ)であれば、今まで以上にバランスを見いだしてくれると思っている」

 ブラジルW杯で日本はコロンビア戦で、勝つしかなかった状況だったとはいえ攻守のバランスを失って完敗を喫した。どんな時でも、攻守のバランスを崩さない。これが日本サッカー協会が、次の、そして未来の代表に描くチーム像なのだろう。

 アギーレ監督は、会見で「競争」という言葉を多用していた。選手選考についても「将来性のある選手」を選ぶと語っている。
「すべての選手に(代表への)ドアは開いている」
 ブラジルW杯メンバー、ロンドン五輪世代、リオデジャネイロ五輪世代、そして国内外でプレーする選手――。果たして指揮官が奨励する「競争」で、新たに日本を荷う選手が出てくるのか。はたまた、代表常連組が新チームの軸となるのか。9月5日、新生サムライブルーの誕生に注目が集まる。