7日、日本サッカー協会は10月に日本代表がジャマイカ代表(10日、新潟)、ブラジル代表(14日、シンガポール)と親善試合を行うと発表した。ジャマイカとの対戦は2002年10月以来、12年ぶり4度目。ブラジルとは昨年6月のコンフェデレーションズ杯以来、11度目である。来年1月にはアジアカップが控えており、新生日本代表にとっては貴重な実戦機会となる。
 18年ロシアW杯のアジア予選は、現在のAFC連盟46カ国を40に絞り込み、東西8グループにわけ、最終予選は12チームで行われる。予選は国際Aマッチデーに沿って開催されるため、今回のように短期間でホームとアウェーを行き来する可能性もある。今回は新潟でジャマイカと戦った後に、中3日でブラジルとアウェーで試合をする。原博実専務理事兼技術委員長は「ロシアW杯アジア予選へのいいシミュレーションになる」と2試合を変則的に開催する意義を述べた。

 もちろん、ハビエル・アギーレ監督の要望もあった。新指揮官は「いろいろな相手と戦いたい」と語っていたという。ただ、欧州連盟加盟国はEUROの予選が始まり、アフリカ連盟加盟国もアフリカネーションズカップの予選があることで、親善試合をマッチメイクできない。「それらの大陸以外の強い国と戦いたかった」と原専務理事。そこで9月にウルグアイとベネズエラ、また10月の2試合が実現した。なかでも強豪ブラジルとの対戦には、「ブラジルがこの時期にアジアへ来るという情報があった。(対戦決定にはアギーレ監督も)喜んでいた」と原専務理事は語った。

 ブラジル戦の開催地がシンガポールになったことについては、日本サッカーが進めているアジア戦略によるところが大きい。会場のナショナルスタジアムは今年6月に完成したばかりで、シンガポールからビッグゲームをやってほしいというリクエストもあったようだ。スタジアムの収容人数は5万5000人で、同国に多く住む日本人の来場も見込める。自国開催のW杯で失意の結果に終わったブラジルは、大会後にジュビロ磐田でプレーしたドゥンガを監督に招聘。ドゥンガはどのようにチームを建て直してくるか。また日本を知り尽くした指揮官が、どのようなサッカーを仕掛けてくるかに注目が集まる。

 ジャマイカは98年フランスW杯、また02年にジーコジャパンの初陣での対戦も記憶に新しい。同国はブラジルW杯には出場できなかったものの、身体能力の高さには定評があり、原専務理事も「(同じ北中米カリブ海の)コスタリカなどとは少しリズムが違う」との印象を述べた。

 1月にアジア杯があるため、新生日本代表は年内に予定されている親善試合6試合で、チームとして調整していかなければならない。ブラジルW杯メンバーとの入れ替えにも注目が集まるが、重要なのはアギーレ監督が目指すサッカーを少しでもかたちにしていくこと。その上で、異なる大陸の強豪との対決は、アギーレジャパンのポテンシャルをはかる絶好の試金石である。