U−21は遠藤、なでしこは宮間らを選出 〜アジア競技大会男女サッカー代表〜

(写真:大会での健闘を誓い合った手倉森監督<左>と佐々木監督)
U−21代表はリオデジャネイロ五輪予選に向けて、なでしこは来年のカナダW杯に向けての貴重な公式戦だ。メンバー発表会見では、U−21代表・手倉森誠監督となでしこ・佐々木則夫監督が、大会に向けての意気込みを語った。
「リオ五輪に向けて、まずはアジア大会。五輪1次予選、2次予選はすべてが集中開催になる。(アジア大会は)集中開催形式をしっかり戦えるイメージを構築させるための大会になる」
手倉森監督は、アジア大会をこのように位置づけた。選手、そしてスタッフもアウェーで経験は貴重だ。調整法、移動など、様々な面で五輪予選、ひいてはその先の本大会に向けてのシミュレーションになる。
対戦相手には因縁のイラクが同組に入った。この世代の日本はアジアでことごとくイラクに敗北している。12年には「AFC U-19選手権」の準々決勝で敗れ、「FIFA U-20W杯」の出場権を逃した。今年1月には「AFC U-22選手権」の準々決勝で激突し、0−1で敗戦。五輪出場権を争う可能性のある相手に3度も負けるわけにはいかない。
「リベンジを果たすチャンスが巡ってきた。お互いに予選を突破して勝ち進めば、トーナメントではおそらく決勝で対戦することになる。そうなった時には、(U-19選手権とU‐22選手権で)負けた悔しさも晴らせる。1大会で2度、悔しさを晴らせると思うので、高いモチベーションで挑めるだろう」
指揮官はこのように、“宿敵”へに闘志を燃やしていた。その上で、目指すのはアジア大会制覇である。ロンドン五輪代表も、同大会を制したことで、五輪予選、そして本大会へ向けて自信を得た。手倉森監督は「勝ちにこだわる」と語り、大会での目標を口にした。
「予選リーグ、決勝トーナメントをこなしてチームとして成長し、決勝では現段階での完成形を見せたい。勝ちにこだわりながら、選手の力を引き出していければと考えている」
なでしこの佐々木監督は「今回のキャンプ、大会を通じて進化することで、来年につながるのではないかという期待をしての選出」と初選出の3人を含めて若手のメンバー構成について説明した。そして「(若手を)支える核になる選手もメンバーに入っている。融合しながら、このメンバーで連覇にチャレンジしたい」と抱負を述べた。
アジア大会の期間は国際Aマッチデーではないため、所属クラブに選手を代表へ参加させる義務はない。そのため、今回はFW大儀見優季(チェルシー)、DF熊谷紗希(リヨン)ら欧州でプレーする選手を呼び寄せられなかった。チームの戦力としては痛いが、指揮官はアジア大会を戦力底上げの機会ととらえている。初選出の羽座、臼井、増矢については、次のように印象を語った。
「羽座は高い守備能力のみならず、パスセンスにも優れている。増矢は神戸では主軸ではないが可能性を秘めた選手なので、早く(代表に)呼んで、可能性を引き出したいと思った。臼井は身長が170センチあり、スピードも数値では今回のメンバーで一番速い。また左右ともにパワーがある。これら3人にはぜひ注目してほしい」
他にもMF猶本光(浦和)やFW吉良知夏(浦和)など、次代のなでしこを担う選手が名を連ねている。来年のW杯、2年後のリオ五輪で世界一を目指すには、やはり新戦力の台頭が欠かせない。主力不在は若手選手にとってチャンスでもあるのだ。彼女たちがどのようなプレーで指揮官にアピールするのかに注目が集まる。
「できるならば手倉森監督と男女そろって連覇を果たしたい」と佐々木監督。男女代表がアベック優勝できれば、ブラジルW杯で惨敗した日本サッカー界にとって、この上ない明るいニュースとなるはずだ。
【U−21男子日本代表メンバー】
GK
杉本大地(京都サンガF.C.)
牲川歩見(ジュビロ磐田)
DF
遠藤航(湘南ベルマーレ)
山中亮輔(ジェフユナイテッド千葉)
西野貴治(ガンバ大阪)
室屋成(明治大学)
岩波拓也(ヴィッセル神戸)
植田直通(鹿島アントラーズ)
MF
大島僚太(川崎フロンターレ)
原川力(愛媛FC)
矢島慎也(浦和レッズ)
金森健志(アビスパ福岡)
野澤英之(FC東京)
中島翔哉(カターレ富山)
喜田拓也(横浜F・マリノス)
秋野央樹(柏レイソル)
吉野恭平(サンフレッチェ広島)
FW
荒野拓馬(コンサドーレ札幌)
鈴木武蔵(アルビレックス新潟)
野津田岳人(サンフレッチェ広島)
【なでしこジャパンメンバー】
GK
海堀あゆみ(INAC神戸レオネッサ)
山根恵理奈(ジェフユナイテッド千葉・市原レディース)
DF
岩清水梓(日テレ・ベレーザ)
有吉佐織(日テレ・ベレーザ)
北原佳奈(アルビレックス新潟レディース)
長船加奈(ベガルタ仙台レディース)
臼井理恵(浦和レッズレディース)
羽座妃粋(日本体育大)
MF
宮間あや(岡山湯郷Belle)
川澄奈穂美(シアトル・レインFC)
阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)
木龍七瀬(スカイブルーFC)
中島依美(INAC神戸レオネッサ)
猶本光(浦和レッズレディース)
FW
菅澤優衣香(ジェフユナイテッド千葉・市原レディース)
高瀬愛実(INAC神戸レオネッサ)
吉良知夏(浦和レッズレディース)
増矢理花(INAC神戸レオネッサ)