16日、レスリング世界選手権(9月・カザフスタン)の日本代表選考を兼ねた全日本選抜選手権最終日が東京・駒沢体育館で行われた。注目の女子57kg級決勝は、オリンピック4連覇中で全日本選手権覇者の伊調馨(ALSOK)が、リオデジャネイロオリンピック63kg級金メダルの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)に敗れた。これで伊調と川井梨との世界選手権代表選考レースは埼玉・和光市体育館でのプレーオフ(7月)へと持ち越された。

 

 東京オリンピック出場へ重要な大会となる今年の世界選手権。オリンピック実施階級で上位5位までに入れば、出場枠が与えられる。日本代表はメダル獲得でオリンピック代表内定となる。

 

 この世界選手権の選考を兼ねた大会が昨年12月に行われた全日本選手権と今回の全日本選抜である。両大会を制すれば世界選手権代表に内定する。リオデジャネイロオリンピック金メダリストがその座を争う激戦区なのが女子57kg級だ。

 

 全日本選手権では伊調が川井梨に残り10秒で逆転し、先勝していた。世界選手権へ王手を掛けた状態で臨んだ全日本選抜。順当に決勝へとコマを進めると、川井梨と対峙した。

 

 川井梨は前日に妹の友香子(至学館大)が62kg級を制し、一足先に世界選手権代表に内定していた。目標である姉妹でのオリンピック出場を叶えるためには絶対に負けられない戦いが続く。

 

 試合は川井梨が攻める展開。第1ピリオドを1-0でリードした。第2ピリオド、積極的に仕掛けたのも彼女だった。鋭いタックルから右足を取り、回転させて4ポイントを追加した。

 

 5-0から伊調に1点差まで迫られたが、辛うじて逃げ切った。5-4から最後は押し出されかけたが、その前にタイムアップ。伊調陣営のチャレンジも実らず。チャレンジ失敗は相手に1ポイント加算するため、川井梨が伊調を6-4で破った。

 

 これでリオデジャネイロオリンピック金メダリストによる世界選手権代表選考レースの行方は7月6日のプレーオフに持ち越された。川井梨vs.伊調。カザフスタン行きのチケット獲得は約3週間後、埼玉の地で雌雄を決する。

 

(文/杉浦泰介)