19日、ボクシングの世界戦が千葉・幕張メッセで行われた。WBO世界スーパーフライ級王座決定戦は同級2位の井岡一翔(Reason大貴)が同級1位のアストン・パリクテ(フィリピン)を10ラウンド1分46秒TKO勝ち。日本初の4階級制覇を達成した。WBA世界ライトフライ級タイトルマッチはスーパー王者の京口紘人(ワタナベ)が同級10位のタナワット・ナコーン(タイ)に判定勝ちを収め、初防衛に成功した。

 

 マカオで達成できなかった4階級制覇の偉業は半年後、幕張の地で果たした。

 

 17年末に引退後、昨年9月にアメリカで現役復帰した。年末にはマカオでドニー・ニエテス(フィリピン)とのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に臨んだ。しかし、1-2の判定で敗れ、日本男子初の4階級制覇を逃した。

 

 そのニエテスの王座返上で巡ってきたチャンス。井岡は「ラストチャンス」と意気込んでいた。対戦相手のパリクテは25勝のうち21KOのハードパンチャーだ。序盤は相手の強打に押されるような場面も見られた。

 

 徐々に距離を掴み始めたのか、井岡のパンチが当たり、パリクテのパンチが空を斬る場面が目立った。

 

 試合が大きく動いたのは10ラウンド。1分28秒にカウンターの右を当てる。連打で攻勢を仕掛けると、パリクテが後ろにグラついた。このチャンスを逃さんとばかりに猛ラッシュ。レフェリーが2人の間に割って入り、試合を止めた。

 

 これで世界戦通算15勝。具志堅用高が持つ日本人最多記録を塗り替えた。2年2カ月ぶりの日本のリングで、井岡は4階級制覇という日本人初の快挙を成し遂げた。

 

(文/杉浦泰介)