8日、サッカー日本代表が翌日に控えた「キリンチャレンジカップ2014」ベネズエラ代表戦に向けて横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で公式練習を行い、選手23名が参加した。公開されたのは冒頭の15分間と全体練習。冒頭15分間では、GK3名がキャッチング練習、フィールドプレーヤーがボール回しで汗を流した。練習後にはハビエル・アギーレ監督と選手が取材に応じ、新体制2戦目に向けた意気込みを語った。
(写真:国際Aマッチ初出場が濃厚な柴崎)
「明日はウルグアイ戦から(スタメンを)5人変更する。もちろん、試合中の交代枠も使う」
 アギーレ監督は力強くこう語った。ウルグアイ戦ではFW皆川佑介、MF武藤嘉紀、MF森岡亮太、DF坂井達弥が初のAキャップを刻んだ。今回の代表ではGK林彰洋、GK西川周作、DF松原健、DF水本裕貴、MF柴崎岳、MF扇原貴宏、FW大迫勇也が未出場。そのうち国際Aマッチ未出場なのは林、松原、柴崎の3人だ。指揮官の言葉どおりならベネズエラ戦では彼らにも出場機会が与えられる。彼らが初の国際Aマッチでどのようなプレーができるかに注目が集まる。

 中でも注目は柴崎だ。名門・鹿島アントラーズではボランチとして不動の地位を築いている。広い視野から長短のパスを駆使してチャンスを創出し、機を見た攻め上がりで自らゴールも陥れる。ピッチの至るところに顔を出すなど、運動量も向上してきた。台頭が期待された昨年の東アジアカップは、体調不良のため代表を辞退。再び巡ってきたチャンスに本人も期するものがあるはずだ。

 起用されるポジションは4−3−3のアンカーもしくはインサイドハーフが濃厚だ。ただアンカーは守備能力がより重視される。柴崎の攻撃性能を生かすのであればインサイドハーフで多くボールに絡ませることが有効だろう。
「どんなプレーでもアイデアを持ちながら臨みたい。自分のキックの質は、なだそんなに周りには理解されていないだろうけど、狙ったポイントにしっかり蹴ることを意識したい。監督の言っているポイントに蹴ることをチーム全体として意識はしているので、そこはしっかりと落とし込むことができればチャンスになると思う」

 柴崎はこのようにベネズエラ戦への抱負を述べた。代表で柴崎に求められているのは、最終ラインと前線をリンクさせることだろう。DFが奪ったボールを素早く受け取り、前線の選手やスペースにパスを通す。また、守備から攻撃へと移行する時にタメをつくり、FWやサイドバックが動き出す時間をつくりだすことも重要な役割だ。そしてアギーレ監督が「一番大事なのはゴールをプレゼントしないこと」と語るように、中盤より下でボールを奪われれば失点に直結する。リスクマネジメントもしっかりとこなさなければ、このポジションは務まらない。もちろん、相手がボールを持った時はファーストディフェンダーとして体を張らなければならない。

 来年1月のアジアカップまで、残されたテストマッチはベネズエラ戦を含めて5試合。アギーレ監督は「アジア杯に向けてベストな23人を見つけるために、残り5試合を(選手を)観察するために使う」と明言した。果たして、柴崎は指揮官をうならせるパフォーマンスを発揮できるか。

「注目度が高いのはわかっている。ベネズエラ戦も緊張感のある試合になると思う。ただ、どんな試合でもいつもと同じスタンスで臨みたい」
 多くの選手が「結果」という言葉を口にする中で、こう淡々と答える22歳は異質なオーラを放っていた。この冷静さこそが彼の武器である。明日の試合でも柴崎は冷静に勝利への道筋を探っていく。