6日、レスリングの世界選手権(9月、カザフスタン)日本代表を決めるプレーオフが埼玉・和光市総合体育館で行われた。女子57kg級はリオデジャネイロオリンピック63kg級金メダリストの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)がオリンピック4連覇中の伊調馨(ALSOK)を下し、世界選手権代表に決まった。女子50kg級はアジア王者の入江ゆき(自衛隊)が世界選手権連覇中の須崎優衣(早稲田大)を破り、男子フリースタイル65kg級は昨年の世界選手権覇者の乙黒拓斗(山梨学院大)がリオデジャネイロオリンピック57kg級銀メダリストの樋口黎(日本体育大助手)に勝ち、世界選手権行きの切符を手にした。まだ代表が決まっていないオリンピック非階級の残り種目に関しては21日、東京・味の素トレーニングセンターでプレーオフを行う。

 

 オリンピック金メダリスト対決は、6月の全日本選抜で勝ち、この日のプレーオフにこぎつけた川井が制した。

 

 1ピリオド3分の攻防は川井が消極的姿勢と取られ、アクティビティタイムを科された。30秒間でポイントを奪わないと相手に1ポイントを与えられる。川井はこの時間を伊調に凌がれ、先制を許し、第1ピリオドを終えた。

 

 第2ピリオドは伊調にアクティビティタイムが科された。川井は30秒間、伊調にポイントを取らせず、1-1で追いついた。

 

 試合が大きく動いたのは残り1分。川井がタックルを仕掛けると、それをかわした伊調が足を取る。ここから川井が切り返した。川井が4ポイント重ねる中、伊調が1ポイントを取り返した。5-2と川井が大きくリードしたかに思われたが、伊調陣営がチャレンジを申請した。

 

 するとビデオチェックの後、判定は修正され、川井が2ポイント獲得にとどまった。3-2で試合は再開した。残り33秒。6月の対戦は川井が逃げ切り、12月の全日本選手権では伊調が残り10秒で逆転している。

 

 攻める伊調に場外へと押し出された川井。残り3秒を切り、同点に追いつかれた。それでもタイムアップまで逃げ切った。スコアは3-3。ビッグポイント(1度に大きなポイントを取る)の差で優勢勝ちを収めたのは川井だった。

 

 最大のライバルを破り、手にしたカザフスタン行きの切符。「まだここで終わりではない。目標がブレないように今まで通り練習を頑張りたい」と川井。世界選手権で表彰台に上がれば、東京オリンピックの出場権を獲得する。妹・友香子(至学館大)と共に姉妹揃ってのオリンピック出場を狙う。

 

(文/杉浦泰介)