約1カ月のインターバルを挟み、四国アイランドリーグplusは後期シーズンが始まった。各チーム、秋のチャンピオンシップを目標に後期Vを目指す中、前期Vを飾った徳島インディゴソックスはポストシーズンを見据え、余裕ある選手起用で後期を戦うことになる。新監督として前期Vを果たした徳島・牧野塁監督に後期の活躍を期待する新戦力について聞いた。

 

 "勝利と育成"の両立

 新監督としてまずは前期優勝を達成できてホッとしています。ですが、最後、ちょっと負けが込み、もたついた感がありました。本心で言えば自力ですんなり優勝を決めたかったのですが、まあ、形はどうあれ優勝は優勝。アイランドリーグの監督に就任するにあたって周囲の人から「前期優勝を果たせば、後期の戦いがグッと楽になりますよ」と言われていたので、その目標は果たせたかなと思っています。

 

 前期を終え、選手にもチームにもいくつか課題が出てきました。選手個々ではそれぞれ反省をして能力値アップということになりますが、チームとしては「1つ勝つことの大切さ」を再確認することですね。

 

 前期Vが終盤までもつれたのも、1つの勝ちが足りなかったから。勝負どころの試合で勝負強さを意識して戦ってほしいですね。徳島の選手は昨年、後期優勝を逃す悔しさを味わいました。その悔しさは前期で晴らせたと思うのですが、後期はすっきりと勝って完全Vを目指したいですね。

 

 後期の戦いは優勝を目指すとともに、選手起用でいろいろと試すことになります。これまで出番のなかった若手選手を使ったり、作戦でもいろいろと攻めていけたらと考えています。

 

 野手では上原敦己(19歳・右投右打)を使いたいですね。前期はケガもあって出場機会がありませんでしたが、180センチ、80キロと体もしっかりしていてるので、後期はどんどんチャンスを与えてみたい。投手では戸田懐生(18歳・右投右打)、服部虎(たいが・18歳・左投左打)、竹林楓也(19歳・右投右打)ら、前期ほとんど投げてない投手を投げさせたいですね。

 

 彼ら若手を起用することで監督としても我慢をしなければならない場面も出てくると思います。それもまた自分自身の勉強だと思って、後期は性根を据えて戦う必要があります。

 

 若手を起用するのは既存戦力への底上げと刺激も期待してのことです。投手では前期5勝の竹内裕太(23歳・右投左打)、野手では打率3割6厘、22盗塁で前期MVPの平間隼人(22歳・右投左打)が中心になるのは後期も変わりありません。彼らの刺激になるような若手がどんどん出てくることを期待しています。それにしても平間は大活躍ですね。打って、走ってと攻撃の中心となってよく働いてくれています。また岸潤一郎(22歳・右投右打)も伸びしろが期待できる選手です。今季は初めてのショートを守っていることもあって大変な面もあるでしょうが、それを乗り越えられる選手だと思っています。

 

 彼らは北米遠征の選抜チームにも選ばれていたので、向こうで何をつかんできたのか。後期のプレーで見せてほしいですね。

 

 開幕前のインタビューでは「NPBへ選手を送り込むことはマスト」と言いましたが、前期を終え、うちにはその可能性を秘めた選手が何人もいることを再確認しました。スカウトも足を運んでくれているので、ギアをひとつ、いやふたつくらい上げてどんどんアピールしてもらいたい。NPB行きは向こうの編成上の都合というタイミングや運にも左右されます。でも、そうした運をつかむのも実力のうちでしょう。

 

 後期優勝、そしてチャンピオンシップを勝ち抜いて、その先には独立リーグ日本一をかけたグラチャンも待っています。前期と変わらずに徳島の選手への応援よろしくお願いします!

 

<牧野塁(まきの・るい)プロフィール>徳島インディゴソックス監督
1974年7月17日、東京都出身。横浜市内のシニアリーグから高校は山梨学院大付属へ進学。甲子園出場は果たせなかったが、エースとしてチームを牽引。92年秋、オリックスからドラフト3位指名を受けプロ入り。1年目の93年9月にプロ初登板。中継ぎとして仰木彬監督(当時)に重用されオリックスで11年間活躍。04年、トレードで阪神に移籍し、06年からは東北楽天、08年途中から広島。09年オフに戦力外通告を受け、トライアウト参加後に現役引退。横浜DeNAの打撃投手、楽天球団職員、アカデミーコーチを経て、19年から徳島インディゴソックスの監督に就任。1年目でチームを前期Vに導いた。NPB在籍17年で通算222登板、337奪三振、防御率4.33。

 

(取材・文/SC編集部・西崎)


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