プロ野球のセ・リーグ、パ・リーグ交流戦は球界再編問題に揺れた2004年秋に導入が決定し、2005年のシーズンからスタートした。

 

 

 昨年までの14シーズンで、セが勝ち越したのは09年の1度だけ。それ以外は全てパが勝ち越している。

 

 参考までに紹介すれば、昨年までの戦績はパの1040勝920敗56分け。10年には上位6チーム全てがパのチームで占められた。

 

 今年も“パ高セ低”の天気図ならぬ勢力図にかわりはないようだ。今年はパの58勝に対し、セは46勝である。

 

 なぜパは強いのか。多くの評論家が原因としてあげるのがDH制である。西武と中日で活躍した和田一浩もそのひとり。<パの投手は、とにかくタフです>(日刊スポーツ6月15日付)と前置きし、こう持論を展開している。<打席の兼ね合いで交代しないし、対戦する打者に投手はいません。得点圏で打者と対戦する回数は、間違いなくパがセを上回っていると思います。そんな投手を相手にするパの打者も、レベルが上がって当然です>(同前)

 

 埼玉西武の山川穂高、中村剛也、千葉ロッテの井上晴哉らヘビー級の強打者が多いのもパの特徴である。

 

 これにもDH制との関わりを指摘する声がある。

 巨人の元GM鹿取義隆から、こんな話を聞いた。

 

「セの場合、どんな強打者でも守備や走塁ができないと、ドラフト指名の前でハネられてしまう。ところがパの場合、“少々、太っていてもパワーがあるならDHで使えばいい”となるんです。スケールの大きなバッターがパに集中する理由のひとつだと思います」

 

 リーグ格差の解消を目的に、「セもそろそろDH制を導入するべき」との声がある一方で、「走攻守三拍子揃ってこそプロの野球」「代打起用も含めた投手交代こそ監督の腕の見せ所」といった反対意見も根強く、導入への道筋は見えていない。格差解消の妙案は?

 

<この原稿は2019年7月8日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 


◎バックナンバーはこちらから