香川オリーブガイナーズの松尾晃雅投手が、ボストン・レッドソックスとマイナー契約を結んだことが明らかになった。4月1日にも渡米し、所属チームが決まる見込みだ。アイランドリーグの選手がMLB球団と契約を結んだのは今回が初めて。

▼松尾投手、独占インタビュー
 松尾は愛知県出身の26歳。140キロ台後半の速球とスライダーを武器にするアイランドリーグナンバーワン右腕だ。大阪教育大時代は近畿学生野球リーグで敢闘賞を2度受賞した。四国アイランドリーグにはリーグ初年度の05年から在籍。1年目は主にクローザーとして2度の月間MVPに輝き、防御率1.30の好成績でタイトルを獲得した。2年目の06年も11勝をあげて防御率1.82。昨季は最多勝利(15勝)と最多奪三振(159個)の2冠を獲得し、チームの連覇に大きく貢献している。3年間のリーグでの通算成績は109試合、29勝7敗18S、防御率1.66。

 獲得の打診があったのは2月。レッドソックスのスカウトが、リーグが作成した松尾の投球DVDを見て高い評価を与えた。日本開幕戦のため来日していたレッドソックスの球団副社長とスカウトが28日の「四国・九州アイランドリーグ6球団トーナメント」を視察。福岡戦に先発した松尾は、7回1死までパーフェクトに封じる好投をみせた。

 レッドソックスは同じく香川の堂上隼人捕手ともマイナー契約を結ぶ方向で話を進めており、一気に2選手がNPBを飛び越え、海を渡る可能性が高まった。果たして松尾−堂上の元アイランドリーガーバッテリーがメジャーリーグの舞台で誕生するのか。4シーズン目の開幕を前に、夢が大きく膨らむニュースとなった。

 活躍して日本に戻る! 〜松尾投手、独占インタビュー〜

――まずはマイナー契約ですが、レッドソックス入りおめでとうございます。
松尾: ありがとうございます。でも、向こうで活躍しないと行った意味がありません。うれしいというより、これからだな、との気持ちのほうが強いです。

――レッドソックスから入団の打診を受けたときは、どんな気持ちでした?
松尾: (アイランドリーグの)鍵山(誠)社長からお話をいただいたのが1月末。すぐに返事がほしいとのことだったので、「行きます」と2つ返事で答えたものの、全く実感がわきませんでした。ただ、ワールドチャンピオンに輝いた球団から声をかけていただいて、とても光栄に感じました。

――メジャー昇格へ向けてアピールしたいところは?
松尾: ボールのキレですね。僕の体型は向こうなら、ダントツに小さいほう。パワーやスピードでは負ける分、向こうのピッチャーが持っていないストレートやスライダーのキレで勝負します。

――レッドソックスといえば、松坂大輔投手や岡島秀樹投手と日本人選手が在籍しています。チームの印象は?
松尾: 実はメジャーリーグは、ニュースで松坂投手や岡島投手の活躍を見る程度なんです。どんな選手がいるのか、あまり良くわかりません。ただ、知らない分、どんな相手でも怖がらずに投げられるかなと思っています。
 松坂投手は昨年、ボールが合わなくて、かなり苦労されていましたよね。僕もボールの感覚を気にするほうなので大丈夫かなという不安はあります。

――生活面でも環境がガラッと変わります。その点の不安は?
松尾: 正直、不安だらけです(笑)。海外に行くことすら初めての体験です。英語は大学入試のセンター試験以来、ほとんどやっていません。
 ただ、野茂英雄投手がメジャー挑戦する時に「僕は英語を勉強しに行くんじゃない。野球をしに行くんだ」といった発言をしましたよね。僕もそういった気持ちでアメリカに行きたいと思います。

――アイランドリーグの3年間で、成長した点はどこでしょう?
松尾: 1球に対する集中力、変化球でカウントをとる技術が身につきました。それは何より、1年目に抑えを経験したことが大きかったと思います。終盤の重要な場面では、1球の重みがまったく違ってきます。相手も全力で向かってきますから、こちらも1球1球、全力で投げないと抑えられません。
 また先発と違って、いつ登板するかわからないので、肩のつくり方や調整方法を試行錯誤しながら、見つけていく必要がありました。失敗もありましたが、試合の中でそういった勉強ができた点は大きなプラスになりました。向こうでもどんな役割を与えられるかわかりませんが、先発、中継ぎ、抑えと一通り経験したことは強みになると思っています。

――最後にアメリカでの抱負を。
松尾: このリーグがなかったら僕はとっくの昔に野球をやめていました。3年間、指導していただいた加藤(博人)コーチをはじめ、球団やリーグの関係者、ファンのみなさんにはいくら感謝してもしきれません。僕にとって、アイランドリーグはなくてはならない場所でした。
 向こうは厳しい世界であることは覚悟しています。とにかく結果を残し、メジャーリーグで通用するピッチャーになるよう頑張ります。そして、いつか日本で、みなさんにピッチングをお見せする日が来ればいいですね。

(聞き手:石田洋之)


<決勝は高知vs.愛媛に 〜6球団トーナメント〜>

「四国・九州アイランドリーグ6球団トーナメント」は29日、アグリあなんスタジアムで準決勝が行われ、第1試合は1回戦を逆転サヨナラで勝ち上がった高知が地元・徳島を破り、第2試合では1回戦シードの愛媛が香川に大勝して、それぞれ決勝進出を果たした。決勝は30日(日)に同スタジアムで行われる。

◇準決勝
 闘犬打線、徳島先発・梅原(元広島)を攻略
高知ファイティングドッグス 8 = 020100050
徳島インディゴソックス    2 = 000000200
勝利投手 山隈
敗戦投手 梅原
本塁打   (高)飯田ソロ、中平3ラン

 梶原、満塁弾含む6打点
香川オリーブガイナーズ   5 = 020002100
愛媛マンダリンパイレーツ  17 = 06800111×
勝利投手 森
敗戦投手 塚本
本塁打   (香)丈武ソロ、堂上ソロ
       (愛)梶原満塁、比嘉ソロ

<3月30日(日)の予定> 
◇3位決定戦
徳島−香川 10時
◇決勝
高知−愛媛 第1試合終了30分後


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