9月からスタートする2022年カタールワールドカップのアジア2次予選。
7月17日にマレーシアのクアラルンプールで抽選会が行なわれ、日本代表のF組にはキルギス(FIFAランク95位)、タジキスタン(同120位)、ミャンマー(同138位)、モンゴル(同187位)が入った。首位ならば文句なしで最終予選に進む。2位でも上位4カ国以内に入れば駒を進めることができる。
他のライバルを見てみるとH組の韓国はレバノン、北朝鮮と、C組のイランはイラク、バーレーンと同組(本田圭佑が実質的な監督を務めるカンボジアも入った)。比較すれば日本は、楽なグループに組み込まれたと言っていい。F組の中で今年1月のアジアカップに出場したのはキルギスのみだ。彼らがグループ3位で決勝トーナメントに進み、ラウンド16ではホスト国UAE相手に2-3と健闘している。中央アジアのチームの特徴でもあるフィジカルの強さを持ち、昨年11月の親善試合で4-0と大勝している相手とはいえ、十分に警戒して臨む必要があるだろう。
ワールドカップ予選に「死の組」はあっても「天国の組」などない。
というのも敵は、相手チームのみならず。広大なアジアでは移動、気温差、ピッチ、環境などあらゆる面で適応していかなければならないからだ。アウェーの戦いが、予選突破のカギを握ることは間違いない。
日本代表を率いたアルベルト・ザッケローニ監督もアジアのアウェーでの戦いを初めて経験した際にこう漏らしていた。
「どうしても気になったのは、ピッチのコンディション。ボールが走らないと、パスサッカーを得意とする日本にとっては厳しい。だからこちらとしてもフィジカル要素を前面に押し出して戦わなければならなかった。そういったところでアウェーの難しさを感じた」
それでは日程をあらためて記しておくことにしよう。
9月10日ミャンマー(A)、10月10日モンゴル(H)、同15日タジキスタン(A)、11月14日キルギス(A)、3月26日ミャンマー(H)、同31日モンゴル(A)、6月4日タジキスタン(H)、同9日キルギス(H)
年内は4戦のうち3戦がアウェーになる。ここで勝ち点を積み上げておけば、来年の後半戦に余裕を持てるはずだ。
初戦となるアウェーでのミャンマー戦は雨季にあたり、高温多湿に苦しめられそうだ。
注目したいのが第3戦、アウェーでのタジキスタン戦。ザックジャパン時代のアジア3次予選で同組に入り、2011年11月、アウェーで4-0と快勝した相手ではある(ホームでは8-0)。だが積雪の影響でピッチがぬかるみ、前半36分に今野泰幸が先制するまでは手を焼いた印象を受けた。
開催地のドゥシャンベは当時外務省から衛生面での注意が呼び掛けられていた。遠藤保仁から話を聞いたことがある。
「水質が良くないというのはチームスタッフからも聞かされていました。生野菜など生水が触れるような物を口に入れないだけでなく、うがい、歯磨きに至るまで極力、ミネラルウォーターでするようにとの〝お達し〟がありましたから。ただ、宿泊したホテルの部屋が予想外に豪華で驚きましたね。きれいだし、広かった。今までの代表遠征のなかでも上位に入ってくるぐらいの豪華さでした『お風呂の湯を溜めて大丈夫ですかね』と心配する選手もいたけど、僕は口に入れさえしなければ大丈夫だと聞いていたので迷うことなくバスタブにお湯を張りましたよ。寒さで硬くなった筋肉をほぐす意味でもお風呂を使えるのはうれしいことなので」
遠藤の話を聞いているうちに、ピリピリしすぎるのも良くないと理解できた。
スタジアムのピッチも「デコボコが多くて、芝がめくれ上がっていた」と言うが「写真で見た印象よりは悪くない。ボールも意外に走ると思った」と切り替えていた。
慣れない環境であってもストレスを溜めることなく過ごせるようにする。食事も日本から専属シェフを呼ぶとあって、今回もサポート体制は万全なはずである。
初めてワールドカップ予選を経験する選手も少ないはず。2次予選で環境にアジャストするコツをつかんで、最終予選につなげてほしいものだ。
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