「Jリーグワールドチャレンジ2019」の川崎フロンターレ対チェルシーFCの一戦が19日、日産スタジアムで行われ、川崎Fが1対0でチェルシーに勝利した。試合は後半42分に川崎FのFWレアンドロ・ダミアンがコーナーキックの流れからヘディングで押し込んだ。マン・オブ・ザ・マッチは10分足らずのプレー時間ながらダミアンのゴールをアシストしたMF中村憲剛が選出された。
中村憲、約10分間でMOM(日産スタジアム)
川崎フロンターレ 1-0 チェルシーFC
【得点】
[川] レアンドロ・ダミアン(87分)
イングランドの強豪・チェルシーとの対戦。最初にチャンスを作ったのはJリーグ王者の川崎Fだった。10分、左サイドをワンツーパスで崩したDF登里享平がクロスを入れる。これはDFダビド・ルイスにクリアーされるもののこぼれ球がファーサイドにいたMF家長昭博に渡る。左足インサイドで合わせたがシュートは惜しくもGK正面だった。
これ以降、川崎Fはチェルシーのパス回し、フィジカルコンタクトの強さに手を焼くことになる。主将のFW小林悠は「プレスに行ってもボールを取れなかった。リトリートした方がよかったのかも」と反省を述べるほどだった。
ベンチから戦況を見つめていた中村はこう語った。
「前半は“結構しんどいな”と思って見ていた。自分たちが普段Jリーグでやっていることを相手がやっているんだろうなと、感じた。ボールを取りに行っても間にパスを出されて前を向かれて押し込まれていた。」
15分にFWペドロ、17分にFWミシー・バチュアイ、29分に再びペドロに決定機を作られるが、何とか失点をゼロで試合を折り返した。
後半に入ると両チームともメンバーを入れ替えた。川崎Fは後半の頭からダミアンを投入した。このブラジル人ストライカーが終了間際に大仕事をやってのける。
試合が進むにつれてまだシーズン前と直前に来日した強行スケジュール、さらに多湿の影響もありチェルシーの選手たちに足が止まり始めた。38分、鬼木達監督が動く。チームの司令塔であるMF中村憲剛をピッチに送り出す。彼はわずか7分で決定機を2度も作った。
投入から3分後。中村はセンターライン付近右サイドでボールを受けると、相手DFライン後方に浮き球のスルーパスを送る。これに反応したDF馬渡和彰が追いつき、クロスを入れる。ダミアンがヘッドで叩くが惜しくもシュートはバーに嫌われた。
この2分後だった。左サイドのショートコーナー。中村はペナルティーエリア左サイドにランニングで侵入すると、そこにボールがこぼれる。落ち着いてボールを止めた司令塔はファーサイドに滞空時間の長いクロスを入れる。これをダミアンが打点の高いヘディングでゴールに押し込んだ。試合はこのまま1対0のまま終了し、川崎Fが競り勝った。
10分に満たないプレー時間で中村がマンオブザマッチに選出された。試合後、これについては「みんなはズルいと言われました。10分でそれはないだろ、と」と苦笑交じり語り、得点シーンを振り返った。
「セットプレーでショートコーナーができそうな雰囲気があった。向こうは新チームで選手も変わったばかり。そこまで選手には守備戦術が仕込まれていない。正確につなげば入るかもしれないと思った」
ベテランがチームに勝利をもたらせた。ただ、前半のやられようについては「若い選手がどう感じるかだと思う」と中村。強豪クラブとの対戦経験を糧に、川崎Fの選手たちにはさらに大きく成長してほしい。
(文/大木雄貴)