四国アイランドリーグPlusの2014シーズンの年間王者を決めるリーグチャンピオンシップが20日に第1戦(JAバンク徳島スタジアム、18時〜)を迎える。今季は史上2チーム目の前後期制覇を果たした徳島インディゴソックスに、年間勝率2位の愛媛マンダリンパイレーツが挑む構図だ。両者がチャンピオンシップで対戦するのは初めて。徳島は昨年に続くチャンピオンシップ進出で2年連続3度目の年間王者を狙う。対する愛媛は球団創設10年目で悲願の初制覇を目指す。
(写真:首位打者、打点王に2冠に輝いた徳島・大谷)
 前後期をともに制し、1勝のアドバンテージを得た徳島が優位なのは間違いない。
 昨季の年間王者は投手陣の顔ぶれが大幅に変わる中、年間通じて6割を超す勝率を残し、安定した戦いぶりをみせた。前期は香川、後期は愛媛に終盤になって追いつき、逆転して優勝を収めており、勝負どころにも強かった。

 強さの理由は投打のバランスの良さにある。投手陣のチーム防御率は唯一の2点台(2.91)。先発、リリーフでフル回転したエースの入野貴大が自己最多となる16勝をあげた。MAX153キロのストレートにスライダー、フォークボールを投げ、打者を牛耳る。10勝をあげたクルズ・アヤラはリリースのタイミングが独特で、ストレートとチェンジアップで緩急をつけたピッチングが持ち味だ。

 リードを奪った際のリリーフ陣にも力がある。新人の山本雅士はコントロールが良く、大崩れしない。抑えを務める元広島の富永一も実績は十分だ。速球が武器の河本ロバートは先発、リリーフのどちらでもでき、防御率はリーグ2位の1.70と安定している。

 打線もチーム打率.267、419得点はいずれもリーグトップ。首位打者(打率.340)、打点(56打点)の2冠に輝いた大谷真徳が3番に座り、ポイントゲッターとなる。主にトップバッターだった吉村旬平は打率.311と好打率を残し、9本塁打とパンチ力もあるため、シーズン終盤は4番を任された。

 またクリーンアップの後ろにも大谷に並んで打点王に輝いた小林義弘、キャッチャーの小野知久と勝負強いバッターが並び、打線に切れ目がない。24盗塁をあげた鷲谷綾平を筆頭に機動力が使える点も強みだ。

 このように徳島には投打とも死角はない。直接の対戦成績も今季は愛媛に対して、15勝6敗3分と大きく勝ち越している。たが、短期決戦では投手力がよりカギを握る。愛媛もピッチングスタッフでは負けてはいない。

 前期、最下位に終わったチームを急浮上させたのは、途中加入の正田樹ホセ・バレンティンだ。台湾プロ野球から6月に入団した正田は元NPBの実力を発揮し、防御率1.02でタイトルを獲得。後期は6勝(2敗)をあげ、チームを牽引した。

 勝ちゲームになれば、カープドミニカアカデミー出身で徳島でもプレー経験のあるバレンティンが最後を締めくくる。バレンティンは28試合で13セーブをマークし、失点はわずかに1。盤石な勝利の方程式が確立された。3年連続2ケタ勝利をあげた元千葉ロッテの小林憲幸も試合をつくれるため、正田との2枚看板で徳島打線を封じ込めれば、勝機が見えてくる。

 打線は得点が283でリーグ3位と、徳島ほどの攻撃力はない。ただし、中軸には3年連続で打率3割以上とコンスタントにヒットが打てる藤長賢司、10本塁打を放った高田泰輔、一発のあるザック・コルビーグレゴリー・ベロスと好打者が並ぶ。
(写真:4番も務めた地元・新田高出身の高田)

 ポイントとなるのは1、2番コンビの出塁だ。新人で8月の月間MVPに輝き、トップバッターに定着した櫟浦大亮、広島から育成選手派遣されている森下宗がどれだけ塁に出てクリーンアップにつなげられるか。チャンスを確実にモノにし、終盤までにリードを奪う展開に持ち込みたい。

 過去8度のチャンピオンシップは、第1戦を勝利したチームが7度制している。また初戦をとったチームが一気にスイープで優勝したケースが6度もある。今回も第1戦で先手をとったほうが流れに乗るはずだ。

 特に愛媛は特に1勝のアドバンテージを与えてスタートする戦いのため、初戦は絶対に落とせない。レギュラーシーズンとは異なる緊張感の中、先取点をいかに取ってリズムをつかむか。両チームのベンチワークも重要になってくる。

(石田洋之)

<チャンピオンシップ概要>

【試合日程】
9月20日(土) 第1戦 徳島−愛媛 JAバンク徳島スタジアム 18時
9月21日(日) 第2戦 徳島−愛媛 オロナミンC球場 18時
※雨天などで順延の場合、予備日程で実施(9月22日、23日 オロナミンC球場 18時)。

9月27日(土) 第3戦 愛媛−徳島 坊っちゃんスタジアム 18時30分
9月28日(日) 第4戦 愛媛−徳島 坊っちゃんスタジアム 18時
※雨天などで順延の場合、第4戦終了時で決着がつかない場合、予備日程で実施(9月29日、30日 坊っちゃんスタジアム 18時)

【チケット】
大人:1,500円 小・中学生:600円
※未就学児は無料

【ルール】
・前後期制覇した徳島に1勝のアドバンテージが与えられ、3戦先勝したチームを優勝とする。
・9回裏を終了して同点の場合は延長戦を行う。延長戦は原則として決着がつくまで行う。ただし、球場使用時間制限等により引き分けとなる場合がある。
・全4戦を終了した時点でいずれのチームの勝敗も3勝に満たない場合は、対戦成績で勝ち数の上回っているチームが優勝。対戦成績が同じ場合は、予備日にて追加で1試合を行ない、勝ったチームの優勝とする。
・雨天等により予備日を含む全日程で試合を消化できなかった場合は、対戦成績で勝数の上回っているチームが優勝。成績が同じ場合はチャンピオンシップでの失点率が低いチームを優勝とする。失点率でも並んだ場合は公式戦年間勝率が1位の徳島を優勝とする。

 チャンピオンシップ全試合は映像配信され、PC、タブレット端末などで視聴が可能。
>>詳細、視聴はアイランドリーグ公式サイトへ