スポーツチャンネル「DAZN」は7日、2019年上半期の振り返りと、今後の方針を説明する「メディアラウンドテーブル」を渋谷区の「DAZN CIRCLE」で開催した。
この6月、サッカー日本代表は招待国としてブラジルで開催されたコパ・アメリカに参戦した。結果は1次リーグ敗退だったが、南米の猛者たちを相手に2分け1敗と善戦した。
今大会、日本代表の雄姿はテレビで生放送されなかった。理由は大きく分けてふたつ考えられる。ひとつは開催国ブラジルと日本の時差(約12時間)による影響だ。日本時間の午前8時に試合がキックオフするため、高視聴率が見込めなかった。もうひとつは東京オリンピックをにらみ、若手主体のメンバー編成が予想されていた。ベストメンバーがそろわないと踏んだため、テレビ局は放映権取得を渋ったのだろう。
今回、DAZNはコパ・アメリカを独占的にライブ配信した。スマートフォンを使用すれば通勤途中でも視聴可能である。そのため日本人ユーザーによる視聴数は好調だったようだ。具体的な数字は非公表だったが、DAZN Japan Executive Vice Presidentのマーティン・ジョーンズ氏は欧州最高峰の決勝戦と比較し、こう語った。
「日本対エクアドル戦が歴代最高ライブ視聴数を記録した。この数字はヨーロッパナンバーワンクラブを決めるチャンピオンズリーグ決勝戦のライブ視聴数と比べて1.7倍だった」
また、MF久保建英がコパ・アメリカ開幕直前に世界的ビッグクラブのレアル・マドリード(スペイン)に移籍が決定したこともDAZNには追い風となった。“久保効果”は日本国内のDAZNユーザーによる視聴数(ライブ配信、見逃し配信、ハイライトの合計視聴数)トップ5に表れている。
1位:コパ・アメリカ2019日本対ウルグアイ戦
2位:コパ・アメリカ2019日本対チリ戦
3位:コパ・アメリカ2019日本対エクアドル戦
4位:UEFAチャンピオンズリーグ2018-19決勝 トッテナム対リバプール戦
5位:インターナショナルチャンピオンズカップ バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリード戦
上位5試合のうち4試合も久保が絡んでいる。いずれも日本時間では午前0時から8時のキックオフだ。場所を選ばず、かつ見逃し配信が可能なインターネットサービスの強みが生きた証左である。
DAZNはプロ野球の放送にも力を入れている。今春より巨人の試合(ホームゲームのみ)を視聴できるようになった。現在、DAZNでは巨人を含む10球団の試合が観戦できる。「今後、12球団の試合を配信できるようになるのか」という記者の質問に対し、ジョーンズ氏はこう答えた。
「野球とサッカーは重要な2大スポーツコンテンツ。いろいろな権利上、交渉は難しいが、既存放送局の事情をリスペクトしながらも全力で12球団(の放映権を)獲得したい」
平成が終わり時代は令和になった。各々が場所、時間を選ばず手のひらでスポーツ観戦ができる時代が到来した。
<ライブ配信の注目コンテンツ>
◆サッカー◆
プレミアリーグ(イングランド)2019-2020シーズン 全試合独占配信(以後2021-2022シーズンまで継続)
◆ラグビー◆
サマー・インターナショナルズ2019 独占ライブ配信
ワールドカップ2019年大会 全試合のハイライト配信
◆バスケットボール◆
FIBAバスケットボールワールドカップ2019 ライブ配信
<主なオリジナルコンテンツ>
◆野球◆
<ジャイアンツ・ドキュメンタリーシリーズ>2019年シーズンを追った長編ドキュメンタリー。10月より順次配信予定。
◆サッカー◆
<THE MAKING OF>クリスティアーノ・ロナウド、ネイマールらDAZNグローバルアンバサダーが過去を振り返るドキュメンタリー。8月9日より配信。
<フェルナンド・トーレス引退ドキュメンタリー>8月23日に現役を退くトーレスの引退の裏側に徹底密着。9月6日より配信予定。
◆バスケットボール◆
<FIBAワールドカップ>13年ぶりに出場を果たした日本代表の注目選手に迫ったインタビューコンテンツ。8月中旬より順次配信予定。
(文/大木雄貴)