香川オリーブガイナーズは後期残り7試合(8月31日時点)。愛媛とゲーム差なしで首位を争い、最後まで気の抜けない戦いを続けています。後期を上々のかたちでスタートした香川でしたが、やはり8月に入り、厳しい暑さの中でゲームが続くこともあり反動が出ました。でも、選手たちは粘り強く戦ってくれていて心強い限りです。

 

 投打に反動が出た

 後期ダッシュの立役者となったショートの嶋村悠斗は守備の面で大きく貢献してくれました。ただ練習生から支配下選手となったばかりですから、レギュラークラスの選手とは体力の差がありました。まあ、それは仕方ないでしょう。夏場に体力的にきつくなり、彼のトーンダウンとともにチームもディフェンスでリズムをつくれずに苦戦しました。レギュラーを張るためにこれから体力アップにも取り組んでもらいたいですね。

 

 野手では「誰がいない、彼がいない」と欲を言ったらキリがないのですが、でも白方克哉、中村道大郎らの北米遠征組がよくやってくれているし、2年目の外野手・木村健太がここにきて頭角を現してきました。もともと潜在能力はあったので、活躍してくれてこちらとしてもうれしいですね。

 

 本当はファンの皆さんにはバッカンバッカン、ホームランが出る華やかな野球をお見せしたいのですが、なかなかそうもいきません。場面によってはバントをつかい、そしてここぞというところで一発。勝つためにはなにをすべきか、常に選手たちと話し合いながら戦っています。

 

 そうした中、8月の福岡ソフトバンク戦、序盤3対0とリードしながら、8回9回で4点をとられて敗戦となりました。こういう勝てるゲームを落とすのは痛いですね。野球はとにかく7~9回の終盤が大事です。終盤を任せている又吉亮文はここからが踏ん張りどころ、乗り切りどころ。苦しい中、何かをつかんでくれたらと思っています。

 

 リリーフ陣では石田啓介が後期前半はフル回転でチームを助けてくれました。7月のMVPに輝いたのも納得の働きです。でも、8月はその反動がきてますね。まあ、もうよく打たれてますわ(笑)。独立リーグとはいっても、バッターも何度も対戦していれば慣れてきます。石田はストレートは140キロそこそこですが、四球率が少ないコントロールのいいピッチャー。慣れられて打ち込まれていますが、ここでもうひとつストレートだったり、変化球を磨いて、もうひとつ上のステップへ行ってほしいですね。地元・高松商出身で関西国際大を経て1年目ですから、抑えても打たれてもいろいろとマウンドで学ぶことは多いと思います。

 

 さて、夏といえば甲子園です。私もじっくりと腰を据えては見られませんでしたが、チラチラと試合を見ておりました。激戦区の大阪を勝ち抜いた履正社が初優勝を果たしました。令和元年に初優勝ということで、令和は履正社の時代が来るんじゃないかと思っています。伝統校というのは当たり前ですけど、1年や2年でなれるものではありません。今回、履正社は甲子園優勝を果たしたことで、それを見た後輩の2年生や1年生が「先輩たちのように、あの舞台で勝ちたい」と意気込みも新たに野球に取り組む。その繰り返しが、伝統を生み出すんですよ。

 

 私の母校であるPL学園もそうでした。1年生・西田真二は夏の大会で、先輩たちの甲子園準優勝の姿を目の当たりにしました。決勝で桜美林(東京)に敗れましたが、まあ先輩たちの輝いていたことったら。それを見た結果がPLの初優勝につながり、さらには「逆転のPL」なんて呼ばれた我々の活躍を見て、それに憧れた少年たちがPLや甲子園を目指した。だから今年も甲子園を見た野球少年たちが彼らなりに何かを感じてくれていたらいいですね。

 

 野球界は今、アマチュアもNPBも独立リーグ含めて転機を迎えています。独立リーグは「NPB選手輩出の場」「野球人の受け皿」「野球にケジメをつける場所」など、様々な理想を掲げてやっていますが、なかなか採算がとれないというジレンマがあります。NPBは球団拡張の話もあったりしますし、何よりも野球の裾野を広げるために何をしなきゃいけないのか、そういうことも視野に入れてほしい。

 

 野球界のホットな話題といえば、甲子園の前からダルビッシュ有と張本勲さん、そして最近はそこに江本孟紀さんも絡んで、なんだかんだとやり合っていました。いろんな意見があるのは結構だし、当然、自分なりの考えもあるでしょう。だからどんどんと議論、言い合いをすればいいと思います。ただ、ダルビッシュにひとこと。大先輩に対して、最低限の礼儀は持っておいた方がいいかな、と。「シェンロンがなんたら」なんて書くのはないでしょう(笑)。

 

 さて後期優勝を果たしプレーオフ出場となれば、前期優勝の徳島と戦います。投手力はもちろん、徳島は機動力のあるチームですから、そこをどう封じるかがプレーオフ突破の鍵となるでしょう。

 

 最後に、先日、巨人との試合に高橋由伸元監督がゲストで来場しました。さすがスターというオーラもありましたし、ファームとはいえ巨人との対戦となれば球場には3000人以上のファンの方が詰めかけました。他の3県でも巨人戦は多くのお客さんを集めています。来季以降、巨人との対戦を増やしてもっともっとお客を増やすのもいいことだと思っています。そうすればスポンサーに興味を持つ企業も増えることでしょう。リーグ内の対戦カードを減らしても、これは検討する価値があるのではないでしょうか。では、後期の残り試合も香川オリーブガイナーズに熱い応援をよろしくお願いします。

 

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