新生VERZ、逆襲の秋へ ~伊予銀行女子ソフトボール部~

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(写真:笑顔で長いシーズンを乗り切る)

 ソフトボールの秋がやってくる。女子日本代表は現在開催中の「2019 JAPAN CUP 国際女子ソフトボール大会」(群馬)を終え、各選手たちが所属チームに戻る。伊予銀行VERZは7日から第52回日本女子ソフトボールリーグ1部後半戦がスタート。14日からは全日本総合選手権大会(鹿児島)、29日からは茨城で国民体育大会が始まる。

 

 

 

 

 4月に開幕した日本リーグ。伊予銀行は開幕戦こそ白星スタートを切ったが、その後はなかなか勝ち切れなかった。第1節から5連敗、第4節から4連敗。黒星が続いた。前半戦は2勝9敗で10位タイだった。

 

(写真:今季も投手陣を引っ張る存在の庄司)

 9個の黒星のうち1点差負けが4試合、2点差負けが3試合もある。接戦を落とした印象だ。秋元理紗監督は攻守に課題を挙げる。
「投手陣が崩壊することはありませんでした。失点はエラー絡みが多かった。攻撃は出塁率が低く、長打もなかなか出ませんでした。何とか1、2点は取れても4、5点取るまでの力はない。後半戦はエラーを減らし、少しでも失点を減らす。攻撃では少ないチャンスをモノにできる勝負強さを身につけてほしいです」

 

 昨季からはガラリとメンバーが変わった。左のエース内海花菜、キャプテンの對馬弥子ら7人が抜けた。
「今年初めてリーグを経験する選手が多かった。その中で選手たちは一生懸命くらいつき、持っている力を精一杯出そうと頑張っていました」
 新生VERZは懸命に2カ月間を戦った。

 

(写真:サードにコンバートされている飯田)

 その中で大卒ルーキーの飯田瑞希は開幕スタメンを射止めた。しかし打率は1割台。エラーも既に3個。それでも指揮官の評価は高い。
「ミスもありましたが、勝った試合の得点は彼女が稼いでいる。前半そういう運を持っているなと感じました。経験を積めばもっと打てるようになる。守備も元々はセカンドの選手で、サードにコンバートしたばかり。ミスをしても使う価値のある選手だと思っています」

 

 投手陣は庄司奈々、山口清楓、原田悠の3枚で回している。11試合中、庄司が7試合、山口と原田が6試合に登板している。秋元監督も「山口と原田に勝ち星はまだありませんが、粘り強く勝ちに近付けるようなピッチングはできているという印象です」と評価している。昨季チーム最多の5勝を挙げた庄司は今季も勝ち頭。昨季に続きチームの勝ち星をすべて担っている。

 

(写真:例年を上回るペースで本塁打を放っている樋口)

 打撃陣で1人気を吐くのが大卒4年目のスラッガー樋口菜美だ。チームトップの打率2割8分1厘。本塁打3本はリーグ4位タイである。「ホームラン王争いができる」というほど彼女のポテンシャルを買っている秋元監督が求める基準は高い。
「もっと打ってほしいと思います。ホームランはもちろん、アベレージも上げてほしい。ランナーがいるところで1本長打を打つ勝負強さも期待したい」

 

 8月には国体四国予選が行われた。伊予銀行のメンバーで臨む愛媛県選抜は徳島県選抜に6-0、高知県選抜を5-0で下し、本大会行きの切符を勝ち取った。徳島戦は庄司、高知戦は山口が完封。秋元監督も「2人も終始安定した投球ができていた」と評価する。

 

(写真:5シーズン目の指揮を執る秋元監督)

 秋元監督は前回初采配を振るった福井国体では、群馬県選抜相手に初戦(2回戦)敗退を喫した。0-3での敗戦に「攻撃で流れを掴めず、不完全燃焼でした」と振り返る。茨城の国体では昨年のリベンジを果たしたいところだ。
「愛媛県の代表として行かせてもらうので、地域の皆さんの気持ちを背負って戦う。ひとつでも多く勝ちたいです」
 地域をあげての“スポーツ祭”となる国体。チーム一丸となり、好成績を目指す。

 

 伊予銀行はチームの一体感、明るい雰囲気も持ち味だ。それは開幕戦でチャンス、ピンチの時に選手たちが笑顔を見せていたことからも窺える。笑う角に福来る――。秋元監督の指導哲学のひとつだ。
「暗い顔をしているより、調子が悪くても明るい顔をしていた方がきっとうまくいくと思うんです。選手たちが楽しそうにしていれば、見ている人も楽しいんじゃないかと。そこは大事にしているところです」

 

 後半戦は愛知県の安城でスタートする。7日は1位タイのデンソーブライトペガサス、8日は5位タイのSGHギャラクシースターズと上位陣との対戦だ。春から夏にかけて積み上げてきたものを実らせたい。夏は過ぎても、熱い秋が待っている。新生VERZ、反転攻勢の秋となるか。

 

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