(写真:愛媛県選抜として国体に臨む伊予銀行のメンバー)

 伊予銀行のテニス部勢が9月28日開幕の第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」(茨城国体)に成年男女の部で伊予銀行勢が出場する。男子は片山翔と坂井勇仁で3連覇を、女子は波形純理と長谷川茉美で2大会ぶりの優勝を目指す。

 

 

 

 

 3連覇を狙う男子。片山は過去3大会でコンビを組んだ佐野紘一が引退したこともあり、新しいペアとなった。両者は5月の全日本選手権愛媛県予選を兼ねた国体県予選に出場。片山は全戦ストレートでの優勝で文句なしの選出、2位には今春に入行したばかりの坂井が入った。

 

(写真:国体四国予選ではダブルス4試合でいずれも勝利を収めた)

 ルーキーとはいえ、坂井の代表入りに驚きは少なかったという。昨年の福井国体は大阪府代表として準優勝。入校前の早稲田大学ではインカレダブルスを制した。日下部聡監督も若きサウスポーを「実力は申し分ない」と高く評価している。

「大舞台も経験しており、心配はしていません。トップスピンのきいたムーンボール(高くバウンドする)で相手を押し出しながら、前に入ってフォアで強打していくパターンを持っています。サーブも良くてエースをとれる。性格も真面目でコツコツと練習に励んでいます。精神的な脆さはなく、新入行員ですが取り組む姿勢はしっかりしている。プレー自体も安定していますね」

 

 2人は7月に行われた本戦の出場をかけた四国予選で見事トップ通過を果たした。4県の代表が総当たり戦を実施し、上位3チームが本戦に進む。愛媛県選抜は昨年の四国予選は初戦を落とすなどヒヤリとする場面もあったが、今年はオールストレート勝ち。日下部監督は試合内容をこう振り返る。

「去年より良いスタートが切れた。ゲームを取りこぼすこともなく集中力を持って戦ってくれました」

 

(写真:ルーキーながら国体代表入りしたサウスポーの坂井)

 自信を持ち、本戦に臨むことができそうだ。だが今回は大会の組み合わせまでにもうひとつのミッションが残されていた。国体は昨年の成績は山分けに関係がなく、代表選手の日本テニス協会(JTA)のランキングでシードが決まる。プロの片山は別として、若い坂井は今年4月2日時点でシングルス342位とランキングが高くなかった。

 

 ランキングを上げるため8月はほぼ毎週試合に臨んだ。その甲斐もあり、抽選会前の9月3日には118位に浮上した。愛媛県選抜は第5シードを獲得した。初戦の相手は北海道選抜。第2シードの地元・茨城県選抜とは、互いに勝ち進めば準々決勝で当たる。開催県と準々決勝で当たれば、昨年と同じ流れだ。「勝てれば勢いに乗れる」(日下部監督)。その意味では験の良い組み合わせとなったと言えるかもしれない。

 

 3大会連続で表彰台に上がっている女子は2年連続で波形と長谷川のペアだ。3年前の優勝ペアでもある。5月の国体県予選はJTAトップ10に入る波形は免除。長谷川が8人で争われるトーナメントを全戦ストレート勝ちで制した。決勝は相手に1ゲームしか許さない完勝だった。

 

(写真:昨年からこれまで以上に選手の現状把握に努めている日下部監督<右>)

 経験豊富なプロの波形は37歳になるが、日下部監督によれば衰えを感じさせないという。「体力的に衰えているところは見えません。試合にもかなり多く出ていますし、9月はじめのシングルスでも優勝しています。体力、技術、精神を含めて心配はしていません」

 

 長谷川は実績ではJTAランキング7位(9月24日時点)の波形に劣るものの、好調をキープしている。7月下旬から8月下旬までは自己最高位(44位)に迫るランキングに付けていた。好調の要因に日下部監督は「大きなケガをしなくなった」ことを挙げる。コンスタントに試合出場を果たし、着実にポイントを稼いでいる。「波が少なくなった」(日下部監督)。プレー面でも安定感が増したという。

 

 第2シードに入った女子の初戦は大阪府選抜。準々決勝は順当に行けば第8シードの東京都選抜が相手だ。第1シードの地元・茨城県選抜、昨年は準決勝で敗れた第4シードの埼玉県選抜も逆の山に入った。日下部監督は準決勝で当たる可能性のある三重県選抜を警戒する。「プロ選手が1人いるので要注意です」。昨年の国体で準々決勝では9-8、8-6と苦しめられた。

 

 28日に開会式が行われ、翌29日からはテニス競技がスタートする。国体の指揮を執るのは2年目となる日下部監督は目標を「アベック優勝」と意気込む。

「昨年は果たせなかったので、愛媛国体に続き、もう一度アベック優勝をどうしてもしたい。選手たちには受け身じゃなくチャレンジ精神で臨んでもらいたいですね。ウチは男女ともにプロとアマのハイブリッド。それぞれの良いところを掛け算にして勝利に結び付けられたらと思います」

 

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