10日、FIG世界体操競技選手権の女子個人総合決勝が中国・南寧で行われ、シモーネ・バイルズ(米国)が60.231点で2連覇を達成した。バイルズは団体と合わせて2冠となった。前回4位のラリッサ・アンドレア・ヨルダケ(ルーマニア)は銀メダル、前回2位のカイラ・ロス(米国)は銅メダルを獲得した。日本勢は寺本明日香(中京大)が53.864点で18位、笹田夏実(日本体育大)が53.166点で20位だった。最も美しい演技をし、観客を魅了した選手に贈られる「ロンジン・エレガンス賞」に、男子は内村航平(KONAMI)が3大会連続で、女子は地元中国のヤオ・ジンナンが選ばれた。
 王者に続き、女王もタイトルを保持した。女子個人総合は、バイルズがゆかと跳馬で他を圧倒。ただ1人4種目合計で60点台をマークし、V2を達成した。第1ローテーションは、得意の跳馬からスタート。Dスコア(難度点)6.5点の「アマナール」(ロンダート後転跳び後方伸身宙返り2回半ひねり)に挑戦し、しっかりと着地を決めた。Eスコア(出来栄え点)は9.566点で、15.866点のハイスコア。いきなり高得点をマークし、好スタートを切った。バイルズは段違い平行棒では14.533点、平均台では14.766点と稼ぎ、トップのままラストのゆかを迎えた。H難度の「シリバス」(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)、G難度の「バイルズ」(後方伸身2回宙返り2分の1ひねり)と大技を次々と決めた。17歳の少女からは、連覇の重圧は感じられず、白い歯がこぼれるシーンが目立った。ゆかは15.066点で全体トップ。最後まで女王は女王であり続けた。

 一方の日本勢は、決勝で8位に終わった団体同様、世界との差を見せつけられたかたちとなった。団体戦の平均台で落下し、自らを責めて涙したエースの寺本。昨年は9位だったが、平均台で落下するなど失敗続きで18位と精彩を欠いた。寺本は「史上最悪。練習で出来たことが100%出来なかった」と悔やんだ。もうひとりのエースと目される笹田は、初出場となった昨年の世界選手権は23位だった。段違い平行棒では3度もミスするなど、本来の実力を発揮できず瞳を濡らした。今回も失敗はあったが、大きく崩れることはなかった。20位と前回よりは点数と順位を上げたが、世界との差は遠い。その差を埋めるには「まだまだDスコアが足りない」と本人が自覚する通り、全4種目5点台のDスコアを上げていくことが、必須となる。

<女子個人総合決勝>
1位 シモーネ・バイルズ(米国) 60.231点
2位 ラリサ・アンドレア・ヨルダケ(ルーマニア) 59.765点
3位 カイラ・ロス(米国) 58.232点
18位 寺本明日香(中京大) 53.864点
20位 笹田夏実(日本体育大) 53.166点