日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2014は13日、第5戦が前橋市民球場で行われ、徳島が6−3で群馬を破って対戦成績を3勝1敗1分とし、初の日本一に輝いた。徳島は3度目の挑戦でチャンピオンシップを制し、アイランドリーグ勢が4年ぶりに王座を奪還した。徳島は3−3で迎えた最終回、1死満塁のチャンスをつくると、吉村旬平の2点タイムリーで勝ち越し。続く大谷真徳もダメ押し打を放った。投げては7回途中から登板した山本雅士が群馬打線を無安打に封じ、胴上げ投手になった。
 3度目の正直での栄冠だ。
 台風接近の影響で雨が降る中のゲームは、徳島が相手のミスを逃さず、競り合いを制した。

 先発は徳島が第2戦で登板した河本ロバート、群馬は今シリーズ初登板の栗山賢を立てた。徳島は初回に2死一、二塁、2回は1死満塁の得点機をつくるが、あと1本が出ず、得点を奪えない。

 すると、先制したのは群馬。3回、1死後、四球で初めての走者を出すとワイルドピッチで二塁に進む。1番に打順変更となった井野口祐介がセンター前ヒットでつなぎ、一、三塁。2死となって、3番・安田権守の打席でベンチが勝負を仕掛けた。一塁走者が二盗をみせ、一、二塁間に挟まれる間に三塁走者がホームへ。ダブルスチールが決まり、群馬に1点が入った。

 だが、徳島もすぐに反撃する。4回、エラーとヒットで無死一、二塁のチャンスをつくると、2死後、増田大輝がセンター前に運び、同点に追いついた。

 さらに5回、群馬はミスが重なり、逆転を許す。2死二塁から三ヶ島圭祐の打球は一、二塁間を破る。これをライトのフランシスコ・カラバイヨが後逸し、二塁走者が生還。さらに三塁へ向かった三ヶ島を刺そうとした送球が逸れ、一気に本塁まで戻ってくる。徳島が3−1と勝ち越した。

 しかし、群馬もあきらめない。6回、連打で一、二塁とすると、再びダブルスチールを仕掛け、二、三塁で一打同点の場面をつくる。動揺したバッテリーにワイルドピッチが出て、三塁走者が還り、1点差となった。さらに2死後、4番のカラバイヨがライトへの同点タイムリー。ミスを取り戻す一打で試合は再び振り出しに戻った。

 その後は7、8回とも両チームは得点圏に走者を進めたものの、群馬はレビ・ロメロから山崎悠生と継投策でしのぎ、徳島も2番手の山本雅士が踏ん張って勝ち越し点を与えない。

 どちらに転ぶかわからない展開で、明暗を分けたのはミスだった。最終回、先頭の井生広大のゴロを三塁手が送球エラー。徳島は犠打で送り、1死二塁とチャンスを広げる。1番・鷲谷綾平が四球を選び、増田が、この日2本目のヒットを放って、すべての塁が埋まる。

 打席には3番の吉村旬平。フルカウントからセンター前に弾き返し、2者が生還する。さらに4番・大谷真徳が初球をバットを折りながら、センター前に運んで1点を追加。徳島に試合を決定づける3点が入った。

 徳島は7回途中から登板したドラフト候補の山本が、最後も走者ひとりを出しながら、代打・星秀和をセンターフライに打ち取る。決勝打の吉村がキャッチし、歓喜の瞬間を迎えた。

「2011年に自分たちが渡してしまったチャンピオンカップを自分たちの手で取り戻せてよかった」
 キャプテンの松嶋亮太は喜びを口にした。徳島は初のリーグ制覇を果たした3年前にBCリーグ王者の石川に3連敗を喫し、アイランドリーグ勢では初めて日本一を逃した。以後、BCリーグ勢がチャンピオンシップは3連覇。昨年も徳島は石川に挑んだが、1勝3敗で涙を飲んだ。

 松嶋も含め、9回にタイムリーを放った吉村、大谷は、3年前と昨季の悔しさをいずれも知る選手。3年分の思いを胸にチームの中心となった彼らがチームの悲願を成就させ、真のチャンピオンになった。

 群馬、守備の乱れが失点に(徳島3勝1敗1分、前橋市民球場、472人)
徳島インディゴソックス   6 = 000120003
群馬ダイヤモンドペガサス 3 = 001002000
勝利投手 山本(1勝0敗1S)
敗戦投手 山崎(0勝1敗)