日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2014は12日、第4戦が前橋市民球場で行われ、徳島が5−2で群馬を破って対戦成績を2勝1敗1分とし、初の日本一に王手をかけた。先制したのは群馬。5回、茂原真隆の2ランでリードを奪う。しかし、徳島は直後の6回、相手守備の乱れで1点を返すと、小林義弘の2点タイムリーで逆転に成功する。7回にも2点をあげた徳島は、先発の入野貴大が最後まで投げ切り、反撃を許さなかった。第5戦も引き続き前橋市民球場で13日13時プレーボールで実施される。
(写真:徳島・島田監督も「さすがエース」と讃える好投をみせた入野)
 満を持して登板したエースが期待に応え、完投でチームを日本一に近づけた。
 前日の第3戦で群馬が勝利し、成績は1勝1敗1分のタイ。シリーズの流れを左右する一戦に、徳島は第1戦、7回途中1失点で勝ち投手になった入野貴大を立てた。群馬の先発は初戦、2戦目はリリーフ起用された町田翔司だった。

 入野は「今までで一番いい力感で投げられた」と振り返ったようにストレート、変化球ともキレが良く、3回までパーフェクトピッチングをみせる。援護したい打線は早速、初回に2四死球とヒットで1死満塁のチャンスをつくった。しかし4番・松嶋亮太がショートゴロゲッツー。3回は連打で一、二塁としながら、バント失敗でダブルプレーを喫し、得点が入らない。

 すると、町田は4回以降、立ち直り、流れは群馬へ。5回、入野が初の四球で先頭打者の出塁を許し、1死後、この日、唯一といっていいスライダーの失投が真ん中に入る。これを茂原が逃さず、バットを一閃。打球はライトの芝生席に飛び込む先制2ランとなった。

 ただ、押され気味の展開から一転、リードを奪ったことがの群馬の選手たちの心理状態に微妙な影響を及ぼす。直後の6回、町田は1死後、四球を与え、3イニングぶりの走者を許す。続く4番・大谷真徳の打球は詰まったファーストゴロ。一塁手が二塁封殺を狙った送球がランナーのヘルメットに当たってしまい、オールセーフで一、二塁となった。

 さらに松嶋のセカンドゴロを二塁手がゲッツーを焦り、捕球ミス。二塁走者が三塁を回って生還し、1−2と1点差に詰め寄られる。なおも、一、二塁で打席には6番・小林義弘。「なんとか塁に出て、後ろにつなげるつもりで、真っすぐ一本を待っていた」という今季のアイランドリーグ打点王はストレートをレフト方向に弾き返す。打球は外野手が伸ばしたグラブの上を抜け、逆転の2点二塁打が生まれた。

 主導権を取り返した徳島は続く7回も、増田大輝のライト前タイムリー、大谷の内野安打で2点を加え、突き放す。群馬は増田のライト前ヒットを後逸したり、大谷の打球に対し、セカンドが送球時にボールを握り替えて一塁をセーフにしてしまうなど、守りのミスが目立ち、流れを手放す。

 こうなると、あとはエースのひとり舞台だ。入野は6回以降、再び3イニングをパーフェクトに封じ、つけ入るスキを与えない。徳島の島田直也監督は「代えるつもりはなかった」と最終回もマウンドに。2死後、フランシスコ・カラバイヨに二塁打を浴びたものの、最後は4番の井野口祐介をストレートでポップフライに仕留めてゲームを締めた。

「オマエしかいない」と入野は送り出した島田監督は「中継ぎも休ませられた。明日は総力戦でいける」と第5戦で一気に決着をつける構えだ。入野のスクランブル登板も「最後だからある」と可能性を示唆した。悲願の日本一へ、あと1勝を全力でもぎ取りにいく。

 入野、11奪三振の力投(徳島2勝1敗1分、前橋市民球場、1,007人)
徳島インディゴソックス   5 = 000003200
群馬ダイヤモンドペガサス 2 = 000020000
勝利投手 入野(2勝0敗)
敗戦投手 町田(0勝1敗)
本塁打  (群)茂原1号2ラン