第235回 10.12大阪で開幕するRIZINライト級トーナメント……本命は?
大晦日決戦が徐々に近づいているが、その前に一つ楽しみなイベントが開かれる。10月12日、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)での『RIZIN19』である。
まずは、9月11日に発表された対戦カードから紹介しておこう。
▼女子MMAルール(49キロ契約)
ハム・ソヒ(韓国)vs.山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE22)
▼女子MMAルール(51キロ契約)
RENA(シーザージム)vs.ショーナ・ラム(カナダ)
▼MMAルール(100キロ契約)
イリー・プロハースカ(チェコ)vs.ファビオ・マルドナド(ブラジル)
▼MMAルール(77キロ契約)
中村K太郎(和術慧舟會K太郎道場)vs.マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)
決定しているワンマッチは上記の4試合だが、この後、続々とカード発表が行われることになる。さらに豪華なラインアップとなることは間違いない。
そして、最注目の『RIZINライト級トーナメント』の出場メンバー8選手も併せて発表された。このトーナメントは『RIZIN19』で1回戦4試合、年末のさいたまスーパーアリーナ大会で準決勝、決勝が行われる。
出場する8選手は次の通り。
パトリッキー・フレイレ(ブラジル)
ジョニー・ケース(米国)
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
川尻達也(T-BLOOD)
ダミアン・ブラウン(オーストラリア)
ルイス・グスタボ(ブラジル)
上迫博仁(Team Cloud/和術慧舟會HEARTS)
朝倉未来(トライフォース赤坂)の名前はなかった。
『RIZIN17』で矢地祐介(KRAZYBEE)に完勝したことで、主催者サイドからトーナメント出場を強く打診されていた朝倉だが、ライト級転向には興味を示さなかったようだ。
「フェザー級で勝負したい」と思いを貫いている。
今後、朝倉は、海外のフェザー級強豪を迎え討つことになろう。そして、『RIZIN19』にワンマッチで出場する可能性も残されている。
ハイレベルな優勝争い
さて、ライト級トーナメントは朝倉不参加であってもハイレベル、大激戦になりそうだ。強豪外国人選手が集結、またメンバーの実力が拮抗している。予想をするうえで、誰に本命マークを打つべきか大いに悩んだ。
それでも敢えてV候補を挙げるとすれば、ホベルト・サトシ・ソウザか。
柔術、あるいはグラップリングの大会などで輝かしい戦績を誇るソウザは、MMAにおいてもデビューから9連勝中。今年に入ってから『RIZIN』のリングに2度上がっており、北岡悟(ロータス世田谷/パンクラスイズム横浜)、廣田瑞人(CAVE)をいずれもパウンドでKOに追い込み勝利している。
卓越したグラウンドテクニックに加え、最近では打撃の攻防にも磨きがかかってきた。総合力で他の選手を僅かに上回っているように見える。また、ソウザは静岡県浜松市で暮らしており、コンディション調整の点でも利がありそうだ。
とはいえ、ソウザが大本命というわけではない。
『RIZIN』初参戦ながら『ベラトール』で実績を積んできたパトリッキー・フレイレ、元UFCファイターで、矢地、北岡を葬っているジョニー・ケース、強打が魅力のトフィック・ムサエフらにも大いにチャンスがある。トーナメントの組み合わせ次第で「本命」は変動しよう。組み合わせは、来週にも発表されるとのこと。注視したい。
大会の模様は当日(10月12日)に地上波フジテレビで放映される。(19時~20時54分=延長対応あり)。また一部で、『RIZIN19』の翌日、10月13日に横浜アリーナで『RIZIN20』開催の噂がまことしやかに流れたが、これは無さそうだ。
近藤隆夫(こんどう・たかお)
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)。
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