16日、日本サッカー協会は国際親善試合のカナダ女子代表戦(25日、28日)に臨む日本女子代表(なでしこジャパン)のメンバー21名を発表した。国内組からMF宮間あや(岡山湯郷)、MF川澄奈穂美(INAC神戸)らを選出。海外組はFW大儀見優季(チェルシー)、DF熊谷紗希(リヨン)ら9名を招集した。ベテランのMF澤穂希(INAC神戸)が未選出となったほか、猶本光(浦和)ら先月のアジア大会に出場したメンバー10名も選外となった。今回のカナダ遠征での2試合がなでしこにとって今年最後の実戦機会となる。
 欧米のチームとの実戦、15年W杯開催地・カナダの現状把握、そして来年のアルガルベカップに向けた選考。これらがカナダ遠征の大きなテーマだ。

 カナダは自国開催のW杯に向けた強化を進めている。そのカナダとの対戦で佐々木則夫監督は「欧米のパワーのあるチームと戦うことで様々なことを試行したい」と語った。

 今年は3月のアルガルベ杯で米国やドイツなど、欧米の強豪とマッチアップした。しかし、それ以降に行った13試合(親善試合、アジア杯、アジア大会)のうち実に12試合はアジアのチームとの対戦だった。W杯では、アジア以外の国との対戦が待っている。カナダ戦ではアジア以外のチームとの戦い方をチームとして思い出すことが重要だ。

 また今回の遠征では試合を含め、短期間ではあるがW杯の開催地での生活を経験できる。特にW杯の試合会場は6会場のうち5会場が人工芝。人工芝は天然芝と比べて足腰への疲労が蓄積しやすいといわれており、選手がスライディングなどをした際の摩擦による火傷のリスクも懸念されている。また、天然芝とボールスピードやバウンドの仕方にも違いが出るとされる。カナダ戦を行う2会場も人工芝であり、選手たちが天然芝との違いを実際に確認する貴重な機会だ。

 そして佐々木監督はカナダ遠征を「海外組の選手の状況を身近で確認するチャンス」とも位置付けている。今回、召集されたのは9名。大儀見や熊谷は所属チームで定位置を確保しているが、FW大野忍、DF近賀ゆかり(以上アーセナル)は指揮官によれば「あまり出場時間は多くない」という。その上で「シビアに見ていきたい」と状況次第では、今後の選出に影響が出ることを示唆した。

 国内組の選手もさらなるアピールが求められる。佐々木監督はW杯に向けた選考方針を次のように述べた。
「昨年から様々な選手を選考しながら(カナダW杯に)準備してきた。現状がベストということではなく、今までの流れをしっかりと把握、分析しつつ、来年のアルガルベ杯である程度絞って、W杯のメンバーを決めていく。今回は日本とヨーロッパのリーグの経過を踏まえて、アルガルベ杯のチームを選考しつつ、W杯に繋げていこうと思う」

 様々なテーマを抱えて臨むカナダ遠征。チームとしても個人としても収穫を持ち帰ることができるか。

【なでしこジャパン カナダ遠征メンバー】

GK
福元美穂(岡山湯郷Belle)
山根恵里奈(ジェフユナイテッド千葉・市原レディース)
DF
近賀ゆかり(アーセナルレディースFC)
岩清水梓(日テレ・ベレーザ)
鮫島彩(ベガルタ仙台レディース)
有吉佐織(日テレ・ベレーザ)
川村優理(ベガルタ仙台レディース)
熊谷紗希(オリンピック・リヨン)
MF
安藤梢(1.FFCフランクフルト)
宮間あや(岡山湯郷Belle)
川澄奈穂美(INAC神戸レオネッサ)
上尾野辺めぐみ(アルビレックス新潟レディース)
阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)
田中明日菜(1.FFCフランクフルト)
宇津木瑠美(モンペリエHSC)
永里亜紗乃(1.FFCトゥルビーネ・ポツダム)
FW
大野忍(アーセナルレディースFC)
大儀見優季(チェルシーレディースFC)
菅澤優衣香(ジェフユナイテッド千葉・市原レディース)
高瀬愛実(INAC神戸レオネッサ)
岩渕真奈(FCバイエルン・ミュンヘン)