5年後に日本で開催されるラグビーワールドカップ2019の組織委員会の理事会が17日、都内で開かれ、大会実施に向けた資金を集める財務委員会の設置が承認された。委員長は東芝の岡村正相談役が務め、2015年度から17年度にかけて経済界を中心に寄付金を集め、組織委の大会準備経費などに充てる。組織委の嶋津昭事務総長は「単にお金を集めるだけでなく、W杯を盛りたてていく熱を集めたい」と目的を語った。
 2019年W杯はラグビーの宗主国以外で行われる初めての大会となる。それだけに、嶋津事務総長も指摘するように「これまでの大会とは異なるビジネスモデル」が求められている。ラグビーW杯では、大会のテレビ放映権料やスポンサー料はIRB(国際ラグビー評議会)に入るシステムになっているため、組織委はチケット収入に加え、他の部分で大会運営の財源を確保しなくてはならない。財務委員会による資金集めは、そのひとつの方策だ。

「(2015年大会の)イングランドでは入場料収入だけで余剰が出るモデルになっているが、日本では難しい。財政基盤を確保することが重要」と嶋津事務総長は考えている。7月に理事会で提示された大まかな収支計画では、チケット売上に加え、日本スポーツ振興センター(JSC)からの助成金36億円や、試合開催地からの分担金なども収入に組み込まれている。

 開催地の立候補受け付けは14日にスタートしており、今月末で締め切られる。その後、収益面などの全体的なバランスを勘案して候補地選定作業が進められ、来年3月に10〜12の開催地が決まる予定だ。

 組織委では開催地に対して、合計でJSCからの助成金と同額の約36億円を拠出してもらう方向で調整しており、開催する試合のカテゴリーや収容人員などに応じて各開催自治体に分担金を割り当てる。地方財政も厳しい中、さらなる負担を強いるかたちになるが、嶋津事務総長によると「分担金の歳出に関しては、国が交付税措置をする方向で総務省が検討している」という。

 組織委の財政は「常に危機的」と嶋津事務総長は明かす。
「安定的に運営ができるようにするには組織委だけではできない。各開催都市や民間の方にも入っていただきながら知恵を出し合って内容を詰めていきたい。それによって、これからラグビーの非伝統国でもW杯が開催できるモデルをつくりたい」
 オールジャパンで大会を成功に導くべく、嶋津事務総長は協力を呼びかけた。

 また、この日の理事会ではイングランドW杯開催中の2015年10月から1カ月間、ロンドン市内に設置するJapan Pavilionの企画案も承認された。政府が進める「ジャパンプレゼンテーション事業」と連携し、試合開催都市、関係省庁にも出展を依頼する。会場内では日本の魅力をアピールするエリアや、ラグビーW杯日本開催を紹介するゾーンが設けられ、日替わりイベントも開かれる計画だ。