(写真:ラグビーの日本代表対南アフリカ代表戦。日比谷でのパブリーックビューイングには約3000人が集まった)

 いよいよ今日からラグビーワールドカップが始まる。世界屈指の人気イベントが初めてアジアにやってくるということで、日本国内もこのところ一気にヒートアップしてきた。

 

 東京にいると、「2020東京オリンピック・パラリンピック」の方が認知度も高く、少々心配していたのだが、さすがにこの数カ月で一気にラグビーの勢いを感じられるようになってきた。そもそも、ラグビー人気は欧米諸国、特に英国系の国で高く、アジア系や北米では少々弱い。だから国内のチケット売れ行きより、海外の方が比較的好調だったほど。しかし地元日本もやはり盛り上がってきたのは嬉しいことだ。

 

 このラグビー、オリパラと国内でビッグイベントが続くが、どうせならば皆さんにそれぞれをしっかりと楽しんでいただきたい。経済効果がいくら、レガシーとして何が残るというような開催メリットももちろんあるが、一番大切なのはその時に開催国に生きている人々が楽しむこと。世界中の人が熱狂し、わざわざ観戦に来日するほどのものが目の前や、すぐ近くで開催されるのだ。積極的に関与しないなんて機会ロスもいいところ。ぜひどんどん参加して楽しんでほしい。

 

「参加しろ」と言われても、出場はおろか「チケットさえも入手できなかったのに!」と言うなかれ。参加とはなにも出場したり、直接会場に観に行くことだけではない。たとえばボランティアでお手伝いするとか、仲間とTVで見たり、ネットなどで情報を集めたりすることもその一つ。自分から能動的にアクションするだけで、そのものの見え方や伝わってくるものは変わってくる。つまりこちらから近づいていこうよということだ。

 

 PVの魅力

 

 中でも僕のオススメはパブリックビューイング。そう、街中や施設で大きなビジョンにて皆で観戦するスタイルだ。家で観るのと変わらないと思う方もいるだろう。実は全く違う盛り上がりがある。部屋でミュージシャンのLiveを観る方が、会場にいるよりリラックスして観られるかもしれない。でも、その興奮をシェアしたり、盛り上がりを共有する人が周りにいるだけで自身のテンションは大きく変わってくる。ましてやスポーツは、応援する連帯感も感じることができ、その感覚は競技場で観戦しているものと近いところがある。

 

 僕も先日、日本代表戦を日比谷公園のパブリックビューイング会場で観たのだが、皆と一緒にビール片手に大声で応援したり悔しがったりできたのは楽しかった。知らない者同士でも、一つのものを見たり、応援することでこんなにも近くなれるのだというのを実感。競技場で観たような高揚感に包まれて帰宅の途についた。

 

 今回のラグビーワールドカップでも、あちこちでパブリックビューイングが開催される。さらに今回の試合開催都市は自治体が中心となりファンゾーンという大きなパブリックビューイングスペースを用意することになっている。また、オリパラではそれ以外にさらに付帯イベントも開催するライブサイトも開設される。そう、チケットがなくても皆で盛り上がる場所は用意されているのだ、家で一人で静かに観るのも悪くはないが、ぜひ興奮を皆で共有しながら盛り上がって欲しい。

 

 スポーツは一つの言語だと言われる。共通の言語で人はコミュニケーションをとるのだが、その一つがスポ-ツだということ。そう、同じ日本語を話していてもコミュニケーションがしにくい世の中で、世界を一つにできる貴重な言語が「スポーツ」だ。その力をフルに使って、今までにない交流や連帯が生まれることこそ、こうしたビックスポーツイベント開催の最大のメリットなのかもしれない。

 

 さあ、家を飛び出そう。

 街中で一緒に観戦しよう。

 こんなイベントがあることの幸せを目一杯享受しよう!

 

白戸太朗(しらと・たろう)プロフィール

17shiratoPF スポーツナビゲーター&プロトライアスリート。日本人として最初にトライアスロンワールドカップを転戦し、その後はアイアンマン(ロングディスタンス)へ転向、息の長い活動を続ける。近年はアドベンチャーレースへも積極的に参加、世界中を転戦していた。スカイパーフェクTV(J Sports)のレギュラーキャスターをつとめるなど、スポーツを多角的に説くナビゲータとして活躍中。08年11月、トライアスロンを国内に普及、発展させていくための会社「株式会社アスロニア」を設立、代表取締役を務める。17年7月より東京都議会議員。著書に『仕事ができる人はなぜトライアスロンに挑むのか!?』(マガジンハウス)、石田淳氏との共著『挫けない力 逆境に負けないセルフマネジメント術』(清流出版)。最新刊は『大切なのは「動く勇気」 トライアスロンから学ぶ快適人生術』 (TWJ books)

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