17日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが第4戦が行われ、阪神が巨人に8−2で快勝した。阪神は初回にマット・マートン、福留孝介の連続ホームランで4点を先制すると、2回には西岡剛の2ランが飛び出した。先発の能見篤史は亀井善行に2試合連続アーチを浴びるなどで2点を返されたが、6回からの継投で、巨人を振り切った。阪神は4連勝でCS初制覇。9年ぶりの日本シリーズ進出を決め、25日からパ・リーグのCS王者と対戦する。

◇ファイナルステージ第4戦
 ポストシーズン、引き分けはさんで5連勝(阪神4勝1敗、東京ドーム)
阪神   8 = 420000200
巨人   4 = 011000002
勝利投手 能見(1勝0敗)
敗戦投手 小山(0勝1敗)
本塁打  (阪)マートン1号3ラン、福留1号ソロ、西岡1号2ラン
      (巨)亀井2号ソロ、セペダ1号ソロ、坂本1号ソロ
 阪神がここまでの勢いそのままに押し切った。打線が12安打8得点と機能し、快勝。5度目の出場となるCSを初めて制した。

 好調の打撃陣は、巨人の先発・小山雄輝をいきなり捕まえた。1回表、1死から上本博紀、鳥谷敬の連続ヒットでチャンスを作る。4番のマウロ・ゴメスは空振り三振に倒れたが、その後を打つマートンが強烈な先制パンチを見舞った。来日5年目にして初の首位打者を獲得したヒットメーカーは、今季得点圏で打率3割4分4厘、68打点とクラッチヒッターとしてもチームを支えた。その勝負強さを見事に発揮。小山が投じた2球目のフォークに巧くバットを合わせ、打球は左中間スタンド中段に吸い込まれた。

 強力なクリーンアップのほかに猛虎打線には、6番・福留の存在が大きい。ファーストステージでは、広島のエース前田健太から決勝弾、昨日の第3戦でも同点打を放っている。福留がいるからこそ、クリーンアップで勝負せざるを得ない状況を作れているのだ。その福留がまたしても一仕事。フルカウントからのストレートをライトポール際に運んだ。2者連続となるホームランで、阪神は初回に4点のリードを奪うことに成功した。

 しかし、先発の能見がピリッとしない。今季は9勝13敗、防御率3.99とふるわなかったが、さらに巨人を相手に1勝5敗、防御率5.09とカモにされている。その相性の悪さが表れたのか、先頭の坂本勇人を歩かせると、1死後に3番レスリー・アンダーソンにレフト前ヒットを打たれる。小山同様にいきなりピンチを迎えたが、左のエースは踏ん張った。阿部慎之助をライトフライ、村田修一は空振り三振に切って取り、この回をゼロでしのいだ。

 耐えた能見に打線が大きなプレゼントを贈る。2回表、大和がフォアボールを選び、次打者がバントで1死二塁とした。このチャンスの場面で西岡に打順が回る。ボールカウント3−0なったところで、西岡はストレートにヤマを張る。4球目、高めの真っすぐは見逃せばボールだったが、強振した。打球はライトスタンドへ一直線。勢いに乗る阪神打線は、チャンスを確実にモノにした。

 6点の援護をもらった能見は、毎回ランナーを背負う苦しいピッチング。それでも要所を締める粘りのピッチングを見せた。2回裏は亀井にホームランを打たれた後に、1死一、三塁のピンチで坂本をゲッツーに抑えた。3回裏の1死二、三塁の場面では、村田の犠牲フライの1点でしのいだ。5回を投げ、2失点と先発投手として最低限の仕事を果たし、後続に託した。

 阪神の和田豊監督は、6回から安藤優也、松田遼馬、福原忍に1イニングずつを任せた。安藤、松田はひとりのランナーを出したものの、得点を許さなかった。4番手の福原は、三者凡退と完璧なリリーフでバトンをつないだ。一方、攻撃陣も7回にゴメスの2点タイムリーが生まれ、ダメを押した。

 6点差とはいえ、締めくくりを託されたのは、もちろん呉昇桓。「常に投げる気持ちでいる」と頼れる守護神も、4日連続の登板、ポストシーズンは6連投だった。和田監督も「多少無理をさせた」と語ったように連投の疲れは隠せなかった。代打のフレデリク・セペダにライトスタンドまで運ばれると、続く坂本にも一発を浴びる。4点差まで迫られ、嫌なムードが漂いかけた。それでも今季のセーブ王は揺るがない。呉昇桓は1死後、アンダーソンにヒットを打たれたが、後続の阿部を空振り三振に切って取る。球場で「あとひとり」コールが流れる中、村田をセカンドフライに仕留めた。阪神は宿敵・巨人を8−4で下し、ファイナルステージ4連勝。9年ぶりの日本シリーズ出場を決めた。

 ペナントレースでは2位。巨人に7ゲーム差と水をあけられた。レギュラーシーズンの雪辱を晴らし、「(ファンに)少しだけ恩返しができた」と、胸をなでおろした和田監督。坂本、阿部と主軸が打てなかった巨人打線に対し、阪神は西岡、上本、鳥谷、ゴメス、マートン、福留の6人が好調だった。短期決戦における“逆シリーズ男”も存在せず、穴のない打線となった。投手陣も踏ん張り、CSのMVPを獲得した抑えの呉昇桓は獅子奮迅の活躍。和田監督は「セ・リーグの代表として日本一を目指したい。日本シリーズでもチャレンジ精神で大暴れしたい」と奮闘を誓った。1週間後に始まる日本シリーズでも、この勢いを持続できれば29年ぶりの日本一も夢ではない。