(写真:アイルランドがFW戦を制し、4トライ Photo by Warren Little-World Rugby via Getty Images)

 22日、ラグビーW杯日本大会が神奈川・日産スタジアムで行われ、プールAのアイルランド代表がスコットランド代表を27-3で下した。4トライを挙げたアイルランドはボーナスポイントを加え、勝ち点5を獲得した。アイルランドは前半5分に先制トライを挙げると、前半3トライ。後半は1トライ、1PGで加点。守ってはスコットランドを1PGのみのノートライに抑えた。

 

 ジャパンと同じプールAのアイルランドとスコットランドがティア1の強豪が横浜で相まみえた。アイルランドはSHコナー・マレーとSOジョナサン・セクストン、スコットランドはSHグレイグ・レイドロー、SOフィン・ラッセルと世界屈指のハーフ団を擁するチーム同士の対決だ。


 ヨーロッパの伝統国シックスネーションズに所属する両チームの対戦成績はスコットランドが、67勝5分け63敗とほぼ互角である。W杯での対戦は1991年のイングランド大会のみで、その時はスコットランドが24-15で勝利した。直近の試合は今年2月のシックスネーションズ。アイルランドが22-13で勝っている。

 開始早々、セクストンにNo.8ライアン・ウィルソンが強烈なタックルを見舞った。スコットランドはマレーにも厳しいチャージを掛けるなどハーフ団を徹底マーク。しかし、総合力で勝るアイルランドの攻撃を止められない。

 先制点は5分、アイルランドが奪った。敵陣深くに攻め込み、FWで押し込む。じわりじわりとインゴールへと迫った。最後はLOジェームズ・ライアンが密集で潜り込んでトライ。セクストンのコンバージョンキックも成功し、アイルランドが7点をリードした。

 アイルランドの重戦車はスコットランド陣地を制圧しにかかる。13分に敵陣深くのラインアウトからモールで押し込み、HOロリー・ベストがインゴール左隅に飛び込んだ。24分にはスクラムからPRタイグ・ファーロングがトライ。前半はスコットランドの反撃をPG1本に抑え、19−3のリードで終えた。

 

(写真: ホッグにプレッシャーを掛けるコンウェー Photo by Clive Rose-World Rugby via Getty Images)

 前半のスタッツを見ると、パス本数はスコットランドがアイランドの約1.5倍だったものの、ボール支配率はアイルランドが57%と上回った。テリトリーはアイルランドが6割を超えた。いかにアイルランドが効率良く攻めていたかが分かる。

 

 ハーフタイムを迎え、雨足が強くなった後半は両チームのハンドリングエラーが目立ち始める。次にスコアを動かしたのはアイルランドだ。15分、マレーのハイパントキックから敵陣に攻め込むと、WTBアンドリュー・コンウェーが右サイドをぶち抜いた。これで4トライを獲得。ボーナスポイントを手にした。

 

 17分には大事をとり、コナーとセクストンをベンチに下げた。その後、途中出場のSOジャック・カーティがPGを決め、点差を24に広げた。29分にはシンビン(10分間の一時退場)で1人少ない状況となり、スコットランドに攻め込まれたが、得点を許さなかった。

 

 プールAの1位候補の直接対決は近年好調のアイルランドが制した。ジョー・シュミットHCが「23人が良いゲームをしてくれた」と口にし、キャプテンのベストは「良いスタートを切れた」と語った。

 

 アイルランドの堅さが際立った試合だった。攻撃では強力FWを中心に手数少なく得点を取り切った。得意のセットプレーは成功率100%。守備ではタックル失敗がわずか8回で94%の成功率を誇った。BKにタレントを揃えるスコットランドに1トライすら許さなかった。

 

 6日後の28日には静岡でジャパンと対戦する。シュミットHCは「日本はとても危険なチーム。テンポの速い試合展開に持ち込み、素晴らしいスキルがある。厳しい試合になる」と警戒を緩めない。ジャパンが用意しているであろうアイルランド対策が功を奏すか。その上でミスないゲーム運びをすることが、難敵退治のカギを握る。

(文/杉浦泰介)