1部残留目指し、いざ決戦へ ~伊予銀行女子ソフトボール部~
伊予銀行VERTZは、日本女子ソフトボールリーグ1部での戦いを5勝17敗で終えた。昨季に続き、11位で2部2位との入れ替え戦に回ることとなった。11月7日からの2日間で2戦先勝方式。大垣ミナモと対戦し、1部残留の望みにかける。
「勝ち星は去年と変わりませんが、中身を見直すと投手陣が踏ん張ったというところが大きいです」
秋元理紗監督はレギュラーシーズンをこう振り返る。前半戦は2勝9敗で10位タイ。後半戦は3勝8敗と星は1つのばしたが、順位は1つ下がった。特に後半は貧打に泣いた印象だ。前半戦は1つだった完封負けは、後半戦で6つ。残りの2敗も1点しか取れなかった。今季の総点数は22。1試合平均は2点にも満たない。
投手陣は庄司奈々、山口清楓、原田悠香の3人が奮闘した。庄司は勝利数こそ昨季を下回る4勝だったが、防御率1.60と安定したピッチングを見せた。この防御率はリーグ7位で日本人トップである。「試合を任せられるようになった」(秋元監督)という山口も規定投球回数に達し、リーグ11位の防御率2.61だ。原田も規定投球回数には惜しくも達しなかったが、10試合に登板した。
指揮官は3本柱をこう評価した。
「ピッチャー3人には『全員が試合を任せられるような準備をして欲しい』と言ってきました。いい仕事をしてくれたと思っています。課題を挙げるなら、大事なところで一本打たれる場面もありましたので、そこを修正して欲しい。ただみんな粘り強く投げてくれたと思います」
打撃陣に光明があるとすれば、後半戦は4番も任された正木朝貴だろう。昨季から打撃面での成長が見られていたが、今季はキャリアハイの3割1分7厘をマークし、打率ランキング8位タイに入った。打点はチームトップの10。秋元監督は「勝っている試合はほぼ正木が絡んでいる」と語るように、後半戦の3勝は全試合でタイムリーを放つなど貢献した。
来週11月7日にスタートする入れ替え戦は、静岡・天城ふるさと広場野球場で行われる。1年での1部返り咲きを狙う大垣ミナモと対戦する。大垣ミナモは2部リーグのアドバンスセクションを1位で突破し、優勝決定戦で惜敗した。
打線も脅威だ。アドバンスセクションでの成績は打率4割を超すバッターが4人。打率トップ10の半分以上が大垣ミナモの選手である。今季もエースのエレン・ロバーツは健在。リーグ戦では防御率0.76を誇った。秋元監督も「球速もあり、変化球もある。しっかりと打ち崩していくことがカギ」と口にする。
秋元監督は入れ替え戦のキープレーヤーにスラッガーの樋口菜美を挙げる。前半戦はリーグ4位タイの3本塁打をマークしながら、後半戦は本塁打ゼロに終わった。厳しい攻めに遭い2割8分1厘あった打率も2割2分4厘に落ちた。
それでも指揮官は樋口の勝負強さを買っている。昨年の入れ替え戦第2試合では2本塁打5打点の活躍を見せ、チームを1部残留に導いた。長打が魅力のスラッガー。苦しんだ後半戦の鬱憤を晴らすようなバッティングに期待したい。
入れ替え戦は2年連続となるが、「いつも通りやります」と秋元監督は平常心で臨む。意気込みを訊くと、「残れるように頑張ります」とシンプルに、そして力強く語った。この試合に内容は求められない。今季を笑顔で終えるため、伊予銀行はシンプルに勝利を求めていく。