(写真:ロシアは2戦連続での完封負け。W杯初勝利は遠かった Photo by Francois Nel-World Rugby via Getty Images)

 9日、ラグビーW杯日本大会が各地で行われた。小笠山総合運動公園エコパスタジアムでは、スコットランド代表がロシア代表を61―0で破った。9トライを奪ったスコットランドはボーナスポイントを獲得。勝ち点10で1位の日本代表(ジャパン)と2位のアイルランドに迫った。

 

 地力に勝るスコットランドが、ロシアを圧倒した。

 

 4日後に控えるジャパン戦に向け、スコットランドは9月30日のサモア戦から先発メンバーを14人も入れ替えた。SHグレイグ・レイドロー、SOフィン・ラッセル、FBスチュワート・ホッグら主力をメンバーからも外した。プール最終戦を見据えた選手起用だ。

 

 試合前時点の順位は3戦全勝のジャパンが勝ち点14でトップ。それに2勝1敗のアイルランドが同11で続き、1試合消化の少ないスコットランドは同5で3位だった。このゲームでは勝利に加え、4トライ以上で得られるボーナスポイント獲得も必須である。

 

 序盤はボールをキープしていたロシアだったが、次第にスコットランドにペースを握られる。スコットランドは若手が躍動。22歳のWTBダーシー・グレアムがスピードを生かし、タッチライン際を駆け抜ける。23歳のSOアダム・ヘースティングズがアタックを牽引する。

 

 スコットランドはパワーでもロシアを圧倒した。敵陣でロシアボールのスクラム。相手のペナルティーを誘うと、13分のマイボールスクラムからトライを奪った。24歳のSHジョージ・ホーンからのパスをヘースティングズが相手守備陣のスキを突き、インゴール右中間に飛び込んだ。ヘースティングズは自らコンバージョンキックを決め、7点のリードをもたらした。

 

 ラッセルに代わって入ったヘースティングズはさらに個人技で会場を沸かせた。17分、ハーフウェイライン付近でボールを持つと、ディフェンスラインの裏にチップキック。弾むボールをインゴールに蹴り出すと、最後は自ら掴んでトライを挙げた。再びコンバージョンキックを成功し、リードを広げた。

 

 レイドローの代役G・ホーンも抜け目ないプレーを見せる。敵陣深くでのロシアボールラインアウト。味方がプレッシャーをかけた後、G・ホーンはロシアのパスをインターセプトした。そのままグラウンディングでトライ。ヘースティングズのコンバージョンキックで21-0となった。

 

 後半に入ってもスコットランドの優勢は変わらず。4分、グレアムが鋭いステップでロシアを切り裂いた。最後はG・ホーンにボールを渡し、トライを演出した。ヘースティングズはこの日4本目のコンバージョンキックを難なく決めてみせた。

 

 その後も攻め手を緩めないスコットランドは、G・ホーンがハットトリックを達成するなど5トライを加えた。計9トライでの完封勝ち。スコットランドの強さばかりが目立った試合だった。鮮やかなパス回しでロシアを翻弄。セットプレーで高い成功率を誇り、タックル成功率は97%をマークした。

 

 グレガー・タウンゼントHCは「大きな成果だ。選手を称えたい。ディフェンスで非常に頑張った。セットピースも相手FWが強い中、対応できていた」と胸を張る。「これで土曜日のアイルランド戦も面白くなる」とライバルたちにプレッシャーを掛けたかたちだ。それはジャパンに対しても同じだろう。

 

「選手たちの自信になった」と指揮官。ジャパンとの決戦は日曜日。アイルランドが順当に勝てば、ジャパンとスコットランドが横浜で雌雄を決することになりそうだ。

 

(文/杉浦泰介)