BCリーグに来季から新規参入する武蔵ヒートべアーズは27日、初代監督に元阪神、大阪近鉄、東北楽天の星野おさむ氏が就任すると発表した。コーチ陣は人選中で決定次第、発表する。本拠地となる埼玉・熊谷市内で会見した星野新監督は「ここは若い選手にとっては最終地点ではない。NPBに進んだり、その後の就職の上で人間形成でも力になれば」と育成への意気込みを語った。
(写真:新球団を支える(左から)五十嵐GM、高橋球団代表、星野監督、パンチ佐藤宣伝本部長)
 星野監督は地元・埼玉県出身。埼玉県立福岡高から88年に阪神にドラフト外入団。内野のユーティリティープレーヤーとして活躍した。02年には近鉄に入り、04年に近鉄球団が合併で消滅する際には、本拠地最終戦でサヨナラ打を放った。05年に分配ドラフトで楽天に移籍し、同年限りで引退。06年からは2軍守備走塁コーチ、2軍打撃コーチなどを務めた。

 独立リーグでは11年より四国アイランドリーグplus愛媛の監督に就任。1年目には土田瑞起を育成ドラフトで巨人に送りこみ、2年目にはチームを後期優勝に導いた。今回のドラフト会議で指名を受けた東北楽天5位の入野貴大(徳島)、巨人育成1位の篠原慎平(香川)も愛媛で指導した選手たちだ。

 昨オフ、愛媛の監督を退任後、故郷に誕生する新球団の運営室室長へ。球団設立準備業務に従事するとともに、野球教室などを実施して地域貢献活動も行ってきた。新球団の五十嵐章人GM(元ロッテなど)は近鉄時代に2年間、一緒にプレーした仲だ。「現役時代からコツコツと練習する姿が印象に残っていた。BCリーグの選手に、そういうところを見せてほしい」と、高橋義人球団代表とともに、この夏、初代監督就任を打診。星野監督も「25年離れていた出身地に恩返しをする機会をもらった」と要請を受諾した。

 武蔵は、福島ホープスとともに、リーグでは7年ぶりの新球団となる。チーム編成はこれからだが、24日に実施された分配ドラフトでは今季、リーグ3位の打率.351をマークし、群馬のリーグ優勝に貢献した安田権守を埼玉県出身の地元枠として指名した。星野監督は「ファンに魅せる野球を考えながらやっていく。NPBを目指すことも考えてスピード感のある選手を育てたい」とチームづくりの方向性を掲げた。

 宣伝本部長として新球団を盛り上げるパンチ佐藤氏(元オリックス)は「べアーズができて、熊谷が元気になった、爽やかな風が吹いたと言われるようになってほしい」と理想を語る。そして、「桃栗3年、柿8年と言われるが、べアーズは5年待っていただきたい。5年目には涙の優勝で、駅前にべアーズのモニュメントをつくってもらいたい」と強く愛される球団へ、ファンに長い目での応援を呼びかけた。

 新球団がホームグラウンドとする熊谷はラグビーが盛んで、トップリーグの試合や高校生の全国大会も行われる。埼玉県全体にフィールドを広げれば、サッカーの浦和レッズ、大宮アルディージャが人気を誇り、同じ野球ではNPBの埼玉西武が本拠を構える。その中で独立リーグの球団として独自色を出し、ファンやスポンサーを確保できるかどうかは、ひとつの課題だ。高橋球団代表は「埼玉県全体では人口が700万人いる。ターゲットは大きいのはメリットだと考えている。また、埼玉にはNPB3球団のファーム組織がある(戸田=東京ヤクルト、さいたま=千葉ロッテ、所沢=西武)。練習試合が組みやすく、選手育成の面でも強みがある」と話す。

 パンチ佐藤宣伝本部長が「オーバーヒートするくらい“熱いね”と思ってもらえるチームに」と口にした決意は熱かった。チーム名のごとく、来季9年目を迎えるBCリーグと、武蔵の地に熱風を巻き起こすことを望みたい。

<アイランドリーグ選抜、9位で全日程終了 〜フェニックス・リーグ〜>

 みやざきフェニックス・リーグに参戦していた四国アイランドリーグPlus選抜は27日、東京ヤクルトと対戦した。初回に1点を先制されたリーグ選抜は、その裏、櫟浦大亮(愛媛)のソロホームランで同点に追いつく。その後、勝ち越されたものの、6回には大木貴将(香川)のタイムリーなどで3点をあげて逆転に成功する。しかし、終盤に投手陣が崩れて再び試合をひっくり返され、4−8で敗れた。リーグ選抜は今回のフェニックス・リーグを8勝7敗1分で終え、参加16チーム中9位の成績だった。また8勝をあげたのは、08年の7勝を抜いて過去最多となった。

 櫟浦、3戦連続の打点でアピール(西都原運動公園野球場)
東京ヤクルト      8 = 110001230
アイランドリーグ選抜 4 = 100003000 
[ヤ] 八木−児山−徳山
[ア] パリーセ(高)−宍戸(徳)−河本(徳)−田村(香)−高原(愛)
本塁打  (ア)櫟浦(愛)ソロ