メジャーリーグのワールドシリーズは29日、第6戦が行われ、カンザスシティ・ロイヤルズがサンフランシスコ・ジャイアンツに10−0で大勝し、3勝3敗としてシリーズの決着は最終第7戦に持ち込まれた。ロイヤルズは2回、1点を先制すると、青木宣親が三遊間を破るシリーズ初安打で追加点。これで打線がつながり、計8安打を集中して一挙7点を奪う。その後も小刻みに得点を重ねると、投げてはヨーダノ・ベンチュラが7回3安打無失点と相手打線を封じ込めた。2番・ライトで4試合ぶりに先発出場した青木は3打数1安打1打点。6回の守備からベンチに退いた。
 打線爆発、3回で先発全員安打(ロイヤルズ3勝3敗、カウフマンスタジアム)
サンフランシスコ・ジャイアンツ 0 = 000000000
カンザスシティ・ロイヤルズ   10 = 07101010×
勝利投手 ベンチュラ(1勝0敗)
敗戦投手 ピービ(0勝2敗)
本塁打  (ロ)ムスターカス1号ソロ

 背番号23とともに、ロイヤルズが崖っぷちから息を吹き返した。
 猛攻を呼び込んだのはノリ・アオキのバットだった。2回、ロイヤルズはマイク・ムスターカスが一塁線を破る二塁打を放って先制し、なおも1死満塁のチャンスで打席が巡ってくる。ここまで青木はシリーズ無安打。敵地での3試合はいずれもスタメンを外れ、この日も初回の1打席目は振り遅れの空振り三振といいところがなかった。

「悔しい思いもしていた。なんとかしたかった」と青木は2ナッシングと追い込まれながらもファウルで粘る。そして7球目、高めのストレートにバットを合わせると、打球は三遊間をきれいに突破する。三塁走者を迎え入れて、ジャイアンツ先発のジェーク・ピービをKOした。

 なおも満塁で中軸に打順が回り、攻撃に弾みがつく。続くロレンゾ・ケーンはショートの頭上を破る2点タイムリー。4番のエリック・ホズマー、5番のビリー・バトラーに連続で二塁打が生まれ、7−0と大量リードを奪った。

 さらに3回は2死二塁のチャンスで再び青木の打席。ジャイアンツ3番手のジーン・マチのボールを冷静に見極め、四球を選び、中軸につなげる。3番ケーンが2打席連続のタイムリーを放ち、8−0と序盤でジャイアンツの戦意を喪失させた。

 先発のベンチュラは6回途中2失点だった第2戦に続いて試合をつくり、3回1死満塁のピンチも、バスター・ポージーを併殺打に打ち取り、スコアボードに0を並べる。大量援護にも守られ、7回まで散発3安打と相手に反撃を許さなかった。

 青木は5回、アルシデス・エスコバルの二塁打でロイヤルズが1点を追加した直後に第3打席を迎え、セカンドゴロ。次の6回から、ジャロット・ダイソンが守備固めに入り、お役御免となった。

 これで3勝3敗。シリーズが第7戦までもつれるのは2000年以降は4度目だが、過去3回はいずれも第6戦を制して逆王手をかけた方が、第7戦も連勝して世界一に輝いている。「明日ですべてが決まる」と試合後のインタビューに応えた青木も2度、自身に言い聞かせるように繰り返した。第7戦は、ロイヤルズが第3戦で勝利投手になった右腕のジェレミー・ガスリー、ジャイアンツは通算214勝のベテラン、ティム・ハドソンが先発する。