四国アイランドリーグplusはグランドチャンピオンシップも終わり、シーズンオフを迎えた。現在、IL選抜チームは宮崎県で行われているフェニックスリーグでNPB球団、韓国KBO球団と熱戦を展開している。選抜メンバーのひとりとして参加しているのが、昨季、愛媛マンダリンパイレーツに途中加入した中西雄大だ。地元・今治西高で甲子園に出場し、関西学院大学時代には首位打者のタイトルも獲得した。NPB入りを目指す中西が今季を振り返る。

 

 アピールポイントは足と広角打法

 まずは今季を振り返ってみると前期シーズンの出だしが悪かったものの、インターバルの間に立て直して、なんとかフルシーズンを戦うことができました。監督やコーチからは調子が悪いときにもたくさんアドバイスをいただき、特に「重心を低くして、しっかりバットを振れ」といつも言われていました。

 

 フォームを調整したりはせずに、そのアドバイスだけをいつも頭に入れてバットを振っていました。インターバルでそういう意識付けをして練習できたことが、後期の復調につながったと思っています。

 

 今季、打順も1番や3番を主に、いろいろなところで打たせてもらいました。どの打順がやりやすいとかやりにくいというはなく、与えられたところできちんと役割を果たすことだけを考えていました。たとえば3番だったらすぐ後ろ(4番)には、強打のバン・ヘイドーン(19年打点王&本塁打王)がいます。そういうときにはつなぎのバッティングを意識し、1番に入ったときには自らチャンスメイクできるようなバッティング。さらにカウントや点差など状況に応じたバッティングを心がけていました。

 

 高校(今治西)、大学(関西学院大)とレベルの高いところで野球をやらしてもらい、そして社会人野球を半年経験して、NPBへの近道として四国アイランドリーグの門を叩きました。アイランドリーグには社会人野球よりもいろいろなタイプのピッチャーがいて、レベルが高いことに驚きました。

 

 外国人投手もいるから変化球も多彩だし、ピッチングフォームも個性豊かです。そういうピッチャーと対戦する中で、自分もよりレベルアップできたと思っています。アイランドリーグに来て本当に良かったですね。

 

 一番、思い出に残っているヒットですか? 去年、今治で行われた徳島インディゴソックス戦。試合終盤に1点差ビハインドの場面で、竹内裕太投手から打ったセンター前ヒットです。今治は地元でもあるし、プロ注目の竹内投手から打てたという意味でも思い出の1本です。

 

 現在、宮崎のフェニックスリーグに選抜メンバーとして参加しています。NPB球団と対戦できるチャンスはなかなかないので、そこで存分にアピールしたいです。自分のアピールポイントは足と広角に打ち分けるバッティングです。フェニックスリーグではNPBの選手が何をしているのかをじっくりと見て勉強しながら、そして挑んでいきたいですね。

 

 そういえば、阪神の近本光司選手(19年盗塁王)は大学の1年先輩なんですよ。夏に阪神と東京ヤクルトの試合が坊っちゃんスタジアムであったときに見に行きました。近本さんとは会えなかったんですが、「やっぱりこの舞台でやりたいな」という思いを新たにしました。試合後、「おつかれさまでした」とメールしたら、「お前も頑張って、こっちに来いよ」と返信がきてました。大学時代、センターとライトでコンビを組んでいて、近本さんのバットを借りて3年生のときに首位打者をとりました。また同じ舞台で野球をやりたい、それもモチベーションのひとつになっています。今度はNPBの舞台で再会したいですね。

 

 河原純一監督からはNPBに行くなら「普段からの心がけが大事だ」と言われています。試合に向けてやるべきことをやるのはもちろん、生活態度がプレーにも出ると言われたので、体調管理は当たり前ですが、休みの日にはきちんと掃除をして部屋も整理整頓するようにしています。NPBに行くには「常に見られていると意識する」ことが大事だと考え、練習、試合前なども常に全力、ベンチでの声出しなども率先してやっています。早く、夢を叶えたいですね。

 

 愛媛マンダリンパイレーツに入り、地元出身ということでファンの皆さんにもたくさん応援していただいています。これからも変わらない応援をよろしくお願いいたします。

 

<中西雄大(なかにし・ゆうだい)プロフィール>
1995年7月18日、愛媛県出身。小学3年生から野球をはじめ、主なポジションはピッチャー。中学時代は軟式野球部で背番号1をつけエースとして活躍した。今治西高に進学し、1年夏は背番号18、2年夏は背番号11で甲子園に出場した。3年生の夏は愛媛県大会決勝で安樂智大(東北楽天)擁する済美高に2対5で敗れた。関西学院大学に進学し、大学2年生で野手に転向。3年生の関西学生野球秋季リーグで首位打者とベストナインを獲得。1学年上に阪神の近本光司がいた。卒業後は社会人野球のシティライト岡山で半年プレーし、18年8月、愛媛マンダリンパイレーツに入団。後期11試合に出場し、6安打3打点。勝負強いバッティングでチームの逆転優勝に貢献した。2年目の今季、前後期計69試合に出場。チャンピオンシップでは打率3割3分3厘と存在感を示した。身長182センチ・体重82キロ。左投左打。

 

(取材・文/SC編集部・西崎)


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