5日、日本サッカー協会はJFAハウスで会見を開き、「キリンチャレンジカップ2014」のホンジュラス代表戦(14日、豊田スタジアム)、オーストラリア代表戦(18日、長居スタジアム)に臨む日本代表23名を発表した。海外組からFW本田圭佑(ACミラン)、MF香川真司(ドルトムント)、国内組からはGK西川周作(浦和)、DF森重真人(F東京)らを10月の親善試合に引き続いて選出。DF内田篤人(シャルケ)、MF遠藤保仁、MF今野泰幸(ともにG大阪)はブラジルW杯以来の代表復帰となった。ほかに負傷の影響で9月の代表戦(対ウルグアイ、ベネズエラ)を辞退したMF長谷部誠(フランクフルト)も招集された。ホンジュラス、オーストラリアとの2試合は、来年1月のアジアカップに向けた最後のテストマッチとなる。
「(アジア杯に向けた)最終リストをつくるための重要な2試合」
 ハビエル・アギーレ監督は今回のテストマッチ2試合をこう位置付けた。メンバーは本田、香川、MF柴崎岳(鹿島)、FW武藤嘉紀ら新体制発足後の常連に加えて、遠藤や今野といった前体制で主力を務めていた面々を呼び寄せた。経験豊富な選手に代表歴の浅い選手の“育成係”を任せ、チームづくりを加速させたいという指揮官の意図がうかがえた。

 守備陣で大きなチョイスとなったのは内田だろう。シャルケでレギュラーを張る右サイドバックは、ブラジルW杯後、代表引退を示唆するようなコメントを残していたからだ。アギーレ監督就任後は、右ヒザ負傷の影響で代表への召集は見送られていた。しかし、負傷から復帰後はシャルケの主力として存在感を示し続けていたこともあり、霜田正浩技術委員長(強化)は「新しい代表でも内田選手の力が必要」と判断。「監督からも『ぜひ内田を呼びたい』という話があった」と選出の経緯を明かした。アギーレ監督は「非常に安定した選手でフィジカルも強い。戦えるし、テクニックの質も高い」と内田の印象を語り、代表で彼に期待することについては次のように語った。

「期待することは、内田が今までシャルケでやっていることと、これまで日本代表でやってきたことだ。(右サイドバックで)何人かの選手を試してきたが、彼がそこのポジションに今までの経験や質を入れてくれればと思う。また、松原(健)のようなまだ代表に出場していないような選手もいるので、彼にとって良いアドバイスをもらえる存在になってもらいたい」

 松原はプロ5年目の21歳で、所属するアルビレックス新潟でレギュラーを張っている。代表には9月に初選出されたが、試合出場はなかった。特徴は積極的な攻撃参加と、精度の高いクロスで、内田に似ている部分もある。また内田はW杯に加えて欧州チャンピオンズリーグという世界最高峰でプレーしているだけに、松原にとっては世界基準を間近で学べるチャンスだ。

 中盤には長らく代表を支えてきたベテラン2人が戻ってくる。現在、J1で2位につけるガンバ大阪の遠藤と今野だ。34歳の遠藤はここまで全試合にスタメン出場し、31歳の今野も累積警告で出場停止となった第28節(対川崎F)以外はプレーしている。
「サッカーで重要なのは質であり、年齢ではない。遠藤も今野も経験豊富な選手で、素晴らしいシーズンを過ごしている。そして年齢を考えたとしても、フィジカルコンディションは非常に良い状態。柴崎や田口のように、代表でのキャリアをいまスタートしている選手たちの力となってくれるだろう」
 アギーレ監督は遠藤と今野に対する期待をこう述べた。中盤の司令塔としての活躍を期待される柴崎には、遠藤の展開力やゲームを読む力が参考になる。守備面での貢献が望まれる田口には、今野の高いボール奪取能力を学んでほしいところだ。

 内田、遠藤、今野に期待されるのは若手への影響力だけではない。戦力として計算できる点も、就任して間がなく、かつアジア杯まで時間がないアギーレ監督にとっては大きな魅力だ。これまで試してきた選手たちに不安が残っているとしたら、経験で勝る選手を起用するのは当然の選択といえる。

 指揮官は「アジア杯に向けたチーム(構成)は80パーセントから90パーセント固まっている」と明かした。今回新たに呼ばれた選手たちには、残りの10パーセントを埋める働きが求められている。

【JFA、アディダスとの8年間の契約延長に合意】

 同日にはJFAがアディダスジャパンとの日本代表オフィシャルサプライヤー契約基本合意に達したことも発表された。契約期間は2015年4月以降からの8年間。発表会見では大仁邦彌JFA会長とアディダスジャパンのポール・ハーディスティ代表取締役が協定書にサインした。

 JFAとアディダスジャパンは1999年にオフィシャルサプライヤー契約を締結し、今年で24年目を迎えた。大仁会長は「長年に渡って一緒に戦ってきた信頼関係、経験はお金には代えられない」と8年間の長期に渡る契約延長に至った喜びを語った。

 会見では11月10日から日本代表が着用する新トレーニングウェア(写真)も発表された。1平米がわずか94グラムの生地素材を採用し、日本代表トレーニングウェア史上最軽量化を実現。カラーも前モデルのイエローから紫を基調とした「ナイトフラッシュ」に一新された。
「チームのため、選手のスキルが最大限発揮されるように努力していきたい」
 ハーディスティ代表取締役はこう語り、日本サッカー界へのさらなるサポートを約束した。

【日本代表メンバー23名】

GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
東口順昭(ガンバ大阪)
西川周作(浦和レッズ)
DF
森重真人(FC東京)
太田宏介(FC東京)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(サウサンプトン)
塩谷司(サンフレッチェ広島)
酒井高徳(VfBシュツットガルト)
昌子源(鹿島アントラーズ)
松原健(アルビレックス新潟)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
今野泰幸(ガンバ大阪)
長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)
香川真司(ボルシア・ドルトムント)
田口泰士(名古屋グランパス)
柴崎岳(鹿島アントラーズ)
FW
豊田陽平(サガン鳥栖)
岡崎慎司(1.FSVマインツ05)
本田圭佑(ACミラン)
小林悠(川崎フロンターレ)
乾貴士(アイントラハト・フランクフルト)
武藤嘉紀(FC東京)