14日、キリンチャレンジカップ2014が愛知・豊田スタジアムで行われ、日本代表がホンジュラス代表を6−0で下した。日本は前半9分、DF吉田麻也のゴールで先制。その後は少し拮抗した時間が続いたが41分にFW本田圭佑、44分にはMF遠藤保仁の得点でリードを広げた。後半も主導権を握ると2分にFW乾貴士、24分にFW豊田陽平のともに代表初ゴールが生まれ、29分にも乾のこの日2得点目でダメを押した。日本は18日に大阪・ヤンマースタジアム長居でオーストラリア代表と年内最終試合を戦う。

 遠藤、代表復帰飾る豪快ミドル弾(豊田ス)
日本代表 6−0 ホンジュラス代表
【得点】
[日本] 吉田麻也(9分)、本田圭佑(41分)、遠藤保仁(44分)、乾貴士(47分、74分)、豊田陽平(69分)
「遠藤と長谷部(誠)がプレーすることによって中盤が自信をもってプレーしていた。経験豊富な選手たちで仕事がわかっている」
 ハビエル・アギーレ監督は、ブラジルW杯以来の代表キャップを刻んだ2人のMFをこう評した。とりわけ、輝きを放ったのは遠藤だ。精度の高いセットプレーから先制点を演出し、試合を決定づける3点目を奪ってみせた。

 遠藤は4−3−3システムのインサイドハーフで起用された。「前線の選手の飛び出しだったり、ビルアップへの参加の仕方だったりを注意していた」という背番号7は、後方と前線のパイプ役となり、攻撃のリズムをつくりだした。前半3分には、ピッチ中央付近でのルーズボールを裏へ動き出したFW岡崎慎司へ浮いたボールを通した。これは惜しくもオフサイドとなったものの、遠藤の視野の広さ、パス精度の高さが示された。

 試合が動いたのは9分だ。左サイドで得たCKで、ボールをセットしたのは遠藤。右足で上げたボールをニアサイドの岡崎の頭に合わせた。岡崎が触ったボールをGKが弾き、ファーサイドにこぼれたところを吉田がヘディングで押し込んだ。

「先制点のおかげでチームが非常にリラックスできた」
 本田がこう語ったように、日本はここから圧倒的にボールを支配し、追加点を狙いにいった。一時はホンジュラスに押し込まれる時間帯もあったが、各選手が球際に激しくいき、決定機はつくらせない。すると41分、長谷部が中盤で滑り込みながらクリアしたボールが、前戦に残っていた本田へと渡った。これがうまくDFラインの裏をとり、本田はドリブルで持ち込んでGKとの1対1から冷静にゴール左へ流し込んだ。

 その3分後には、遠藤の豪快な一撃にスタジアムが沸いた。DF酒井高徳が左サイドで仕掛け、PA内に入ったところで近くにいた本田へ預ける。本田が右横後方へ送ったパスを、走り込んできた遠藤が右足ダイレクトで振り抜いた。強烈なシュートがゴール左上へ突き刺さった。
「できればもうちょっと低い弾道でよりギリギリを狙ったが、ちょっと甘くなってしまった。でもゴールはゴール。3点目という勝負を決めるようなゴールを決められてよかった」
 遠藤は自身のゴールシーンをこう振り返った。前半終了間際に奪った3点目が、結果的にホンジュラスの戦意を刈り取ったように映った。

 後半開始から日本はFW武藤嘉紀に代えて乾を投入。後半2分、その乾がチーム4点目を奪った。PA内左サイドへ動きだし、右サイドにいた本田からボールを呼び込むと、クロスを右足で合わせてゴールネットを揺らした。日本のゴールラッシュは止まらない。24分、右サイドからの崩しでMF香川真司がドリブルでPA内へ侵入。相手DFと競り合い、混戦となったボール、後半途中から出場していた豊田が右足で押し込んだ。

 豊田のゴール後に、遠藤がMF柴崎岳と交代した。アギーレ監督と握手を交わしてベンチに下がる背番号7に、スタンドから大きな拍手がおくられた。この後、29分に乾がゴール前でのこぼれ球を流し込み、ゴールラッシュを締めくくった。守ってもホンジュラスにシュートまで持ち込まれる場面もあったが、集中を切らさず無失点に抑えた。

「うまくいかなかったところもある。ただ、準備時間が短かった割にはそれなりによくできたかなと思う」
 遠藤は約5カ月ぶりの代表戦を振り返り、自身のパフォーマンスをこう分析した。この日の遠藤は攻撃面での存在感はもちろんのこと、守備面の貢献も大きかった。高い位置からプレスをかけ、前線の選手としてボールを奪う。また警告を受けてしまったものの、激しいディフェンスで対応したホンジュラスの選手に自由にプレーさせなかった。

 11月の2試合は来年1月のアジア杯に向けた最後のテストマッチも、残るは18日のオーストラリア戦のみ。選手にとっては指揮官への貴重なアピール機会となる。
「僕自身はまだまだアピールしなければならない立場。自分の持っているものを全て出さない限りはメンバーに残り続けることもできない。毎日毎日、いろんなものを吸収しながら監督の要求にしっかり応えていければいい」
 ホンジュラス戦でチームにフィットし得ることをアピールした遠藤。次のオーストラリア戦でも自身の持ち味を発揮し、チームを勝利に導くことができるか。

(文・鈴木友多)