(写真:「このチームのキャプテンであることを誇りに思っています」と胸を張るリーチ)

 21日、ラグビー日本代表(ジャパン)がW杯日本大会の総括会見を都内で行った。史上初のベスト8を成し遂げた31人の日本代表スコッド、ジェイミー・ジョセフHC、藤井雄一郎強化委員長が出席。キャプテンのFLリーチ・マイケルは4年後のフランス大会に向け、「強いまま継続していくことが大事。日本のファンが感動できる試合を続けていきたい」と語った。

 

 9月20日の開幕戦でロシア代表を破ってから、ちょうど1カ月。10月20日の南アフリカとの準々決勝を最後にジャパンのW杯は終戦となった。試合後は悔しさを滲ませていたものの、一夜明けると、過去最多の4勝、史上初のベスト8を達成した“ONE TEAM”は充実感に満ちているように映った。

 

 ジョセフHCは日本全体でONE TEAMになれたことを誇る。そして周囲のサポートに感謝を述べた。

「31人の選手だけでなく、他にもコーチ、いろいろな人たちのサポートのおかげで選手たちを強くすることができた。31人の選手たち以外の選手たちも貢献してくれたことで、この大きな成果を得られた。W杯を誇らしく戦うことができた。ファンの皆さま、国民の皆さま、熱いサポートをありがとうございました。応援なくしては(目標を)達成することできなかった」

 

 目標であるベスト8を達成。その快進撃は日本を沸かせ、ホストカントリーとしての面目を保った。藤井強化委員長は選手たちを称えた。

「選手がやったことは日本のラグビー界を変えるであろう偉業を達成した。歴史にトップ8を刻んだ。3年間、身を削っていろいろなものを犠牲にして手に入れた偉業だと思います。次はフランスでのW杯が待っています。またしっかり準備し、もうひとつ上を狙っていきたい」

 

 ひとつ上の景色を見るために、指揮官もキャプテンもベテランも継続の重要性を訴える。ジョセフHCは「全員が連携して1人1人が与えられた役割を果たすことが大事です。日本はそれがしっかりできているチーム。このかたちを継続していくことが重要だと思います」と口にする。リーチは「強いまま継続していくことが大事。今、日本のファンが増えてきている。また日本のファンが感動できる試合を続けていきたい」と先を見据える。

 

 継続はW杯3大会を経験したベテランも求めている。HO堀江翔太とSH田中史朗は日本ラグビー躍進の歴史を見てきた。初めて出場した2011年ニュージーランド大会はプール戦で1勝もできなかった。堀江は8年前との変化を実感しつつ、今後について発言した。

「2011年のW杯後、ニュージーランドから帰ってきた時は記者の方は2、3人ぐらいだった。今、目の前にこんなにいるのは考えられない。これを継続しないとアカンと思います。選手たちができることはどれだけ強くなれるか。どれだけ上手くなれるかが僕らの仕事です」

 

 堀江と田中はラグビーの認知、普及のために日本全体がONE TEAMとなる必要があるという。

「ラグビーが認知されて、それをキープするのも僕らの仕事です。選手だけではできないことなので、協会など全員含めてみんなで上にいけたらいいと思います」(堀江)

「メディア、ファンに継続して2023年に来ていただけるように僕たちももっと努力して普及活動をしていかないといけない。代表として、国として継続して日本のラグビーが強くなるようにしないと」(田中)

 

 15年イングランド大会で過去最多の3勝を挙げ、一時高まったラグビー熱を持続できなかった苦い記憶がある。トップリーグは来年1月からスタート。21年秋からのプロ化構想もあるという。4年に1度で終わりではない。継続と進化が求められる戦いは、まだ続いている。

 

(文・写真/杉浦泰介)