23日、プロ野球の日本シリーズ第4戦が行われ、福岡ソフトバンクが4対3で巨人を下し4連勝。3年連続で日本シリーズを制覇し、前身の南海、ダイエー時代を含め10度目の日本一に輝いた。ソフトバンクは4回、巨人の先発・菅野智之からジュリスベル・グラシアルが3ランを放ち先制。巨人も岡本和真の2ランで1点差に追い上げたものの、ソフトバンクが6回から5投手継投で逃げ切った。5年ぶりのリーグ優勝を果たし、日本シリーズには6年ぶりに駒を進めた巨人だったが、2012年以来の日本一はならなかった。

 

10月23日(水)
◇日本シリーズ

 グラシアル、CSから6本目!(ソフトバンク4勝 東京ドーム)
福岡ソフトバンク 4 = 000|300|100
巨人 3 = 000|002|100
勝利投手 和田(1勝)
敗戦投手 菅野(1敗)
セーブ 森(1S)
本塁打 (ソ)グラシアル3号3ラン
    (巨)岡本1号2ラン

 

 勝てば日本一のソフトバンクは和田毅、あとのない巨人は腰痛で戦列を離れていた菅野を先発マウンドに送った。菅野は立ち上がり、牧原大成を内野ゴロ、今宮健太、柳田悠岐は連続三振に打ち取った。2回もグラシアルにレフト前ヒットを打たれたものの、後続を経ち、3回も三者凡退で抑え好調のソフトバンク打線に先取点を与えなかった。


 一方の和田も快投を見せた。初回1死から坂本勇人を歩かせたものの、丸佳浩、岡本和真を打ち取り無失点。2回はアレックス・ゲレーロ、若林晃弘、田中俊太を三者三振に切り、3回は2死から亀井にツーベース、坂本にフォアボールを与えたものの、丸を三振に仕留め、先取点を許さなかった。

 

 0対0で迎えた4回。ヒットで出塁した今宮、デスパイネを置いて、打席にはグラシアル。グラシアルはフルカウントからの7球目、外寄りのスライダーをうまく拾い、打球はセンターバックスクリーンへ。先制3ランとなりソフトバンクが3点をリードした。

 

 6回からソフトバンクのマウンドにはロベルト・スアレスが上がった。スアレスは先頭の亀井を外野フライに打ち取ったものの、続く坂本にフォアボール。丸が三振で2死のあと、迎えた打者は4番・岡本。ここで岡本はライトスタンドに2ランホームランを放ち、巨人が1点差に迫った。だがこの追い上げムードに水を差したのが、巨人の拙守だった。7回、1死から福田秀平のサードゴロを、この回からサードに回った岡本がファンブル。松田宣浩が内野安打で出塁し、1死一、二塁。ここで甲斐拓也に代打・長谷川勇也が起用された。長谷川は2ボール2ストライクと追い込まれ、最後は菅野のフォークボールに泳がされ、打球はセカンドへ。これをこの回から守備に入った山本泰寛が送球エラー。1人がかえってソフトバンクが1点を追加、4対2とリードを広げた。

 

 負ければ終戦の巨人はその裏、2死一、二塁で打席に丸。このシリーズノーヒットの丸が、ここでレフトへツーベースを放ち、巨人は再び1点差。3対4で最終回を迎えた。ソフトバンクのマウンドには守護神・森唯斗が上がり、先頭の大城卓三をセンターフライ、続く代打・陽岱鋼のショートゴロは際どいプレーとなり、原辰徳監督がリクエストを行使したが、判定は覆らず2アウト。亀井が粘って四球を選び、一発が出ればサヨナラという場面で坂本が打席に入ったが、最後は森のスライダーに空振り三振でゲームセット。ソフトバンクが4連勝、クライマックスシリーズからは10連勝で日本一へと登りつめた。

 

 胴上げで10度宙に舞ったソフトバンク工藤公康は、優勝インタビューでこう語った。
「昨年もーグ優勝を逃し日本一になることはできたんですけど、今年は何とかペナントを取りたいと、強い思いで頑張ってきたんですけど、僕の力不足というところがあって優勝できなかった。そういう意味で、今年もう一度日本一になって、みんなと一緒に最後は笑っていたいという強い気持ちもあり、ここまで頑張ってきました。クライマックスファーストステージの最初に負けて、その後は10連勝。こんなすばらしい仲間とスタッフとコーチと野球ができて、こんなに幸せ者はいないです。本当にありがとうございます」

 

 なお、シリーズMVPには3本のホームランを放ったグラシアルが選ばれた。

 

 

(文/SC編集部・西崎)