「2014SUZUKI日米野球」が14日、東京ドームで第2戦を迎え、日本代表の侍ジャパンはMLBオールスターを8−4で破り、連勝を収めた。侍ジャパンは2回、伊藤光(オリックス)、柳田悠岐(福岡ソフトバンク)の連続タイムリーで3点を先制。その後、先発の金子千尋(オリックス)が3点を失って同点に追いつかれたが、4回に柳田の2打席連続タイムリーなどで勝ち越しに成功する。その後も小刻みに得点を追加すると、リリーフ陣が相手打線の反撃を1点にとどめた。

 1番・柳田、3安打4打点(東京ドーム)
日本代表       8 = 030201020
MLBオールスター  4 = 021000010
(日)○金子−松葉−井納−高橋
(M)●岩隈−ウッテン−和田−ベラス−ブレビンス
本塁打 (日)松田1号ソロ
      (M)モーノー1号2ラン
 MLBで活躍中の右腕と、MLBでの活躍を志す右腕。注目の先発対決は予想外に点の取り合いとなった。

 MLBの先発は岩隈久志(マリナーズ)。今季はチームトップタイの15勝(9敗)をあげての凱旋登板だ。だが、「シーズンが終わってからはあまり練習をしていなかった」という岩隈は、2回に侍ジャパンの打線につかまる。

 2死から松田、銀次にいずれも初球を弾き返され、一、三塁。ここで9番の伊藤が「おいしい場面で回ってきたので燃えました」とファーストストライクを積極的に打ってセンター前へ抜ける先制打を放つ。さらに柳田も初球のスプリットを、センターの頭上を越える三塁打。2者が生還し、侍ジャパンが3点を先行した。

 対する侍ジャパンの先発は金子だった。今季は最多勝(16勝)など二冠に輝き、国内FA権を行使。MLB挑戦も視野に入れる今季の沢村賞投手は先頭のベン・ゾブリスト(レイズ)をチェンジアップで空振り三振に仕留め、3者凡退の立ち上がりを見せる。

 しかし2回、MLBの洗礼を浴びた。先頭のエバン・ロンゴリア(レイズ)に詰まりながらもライト前に運ばれる。続く5番ジャスティン・モーノー(ロッキーズ)にはフルカウント。勝負球のストレートは「ストライクを取りに行ってしまった」と金子が反省したように甘く入った。今季のナ・リーグ首位打者が快音を残すと、打球はセンターバックスクリーン左に飛び込む2ランとなった。

 これで2−3と1点差。さらに3回、ゾブリストにインコースをうまくさばかれ、ライトの右を破られる。ゾブリストは一気に三塁へ。続くホセ・アルトゥーベ(アストロズ)の内野ゴロの間に生還し、試合は振り出しに戻った。

 それでも侍ジャパンは、岩隈を打ち崩し、すぐにリードを奪う。4回、2死一塁から、金子の女房役・伊藤が2打席連続ヒットでチャンスを広げる。打順は1番に戻り、前の打席でタイムリーの柳田。ツーシームを引っ張ると、ライト前へ抜ける勝ち越し打となった。なおも2番の菊池涼介が変化球に泳ぎながらレフト前に落とし、5−3と点差を広げる。

 打線の援護を受けた金子は4回、5回は無安打に抑え、5回3安打3失点。67球でマウンドを後続に譲った。
「真っすぐがいいところに決まらず、苦しかった」
 右腕は制球に悩んだことを明かしつつも、「チェンジアップは空振りもとれて、いいところに決まった」と手応えを口にした。バッテリーを組んだ伊藤は「4回以降、なんとかしのげたのが金子さんのすごさ」と同じチームのエースを称えた。

 主導権を奪った侍ジャパンは、着々と得点を積み重ねる。6回には2死から四球を選んだ柳田が、すかさず二盗に成功。さらにワイルドピッチで三塁に進むと、菊池がスライダーをライト前に運んで1点を追加する。

 8回にはMLB3番手の和田毅(カブス)から元チームメイトの松田宣浩(福岡ソフトバンク)がレフトスタンドへアーチを描く。さらに1死一塁から、柳田がこの日の猛打賞となる二塁打を放ち、ダメを押した。柳田は3安打4打点の大当たり。MLBオールスターのジョン・ファレル監督(レッドソックス)も「左右どちらのピッチャーでも、しっかりスイングできる」と手怖いトップバッターであることを印象付けた。

 今季、渡米3年目にしてメジャーデビューを果たした和田は6回途中から投げて1回3分の2を2安打2失点。岩隈同様、凱旋登板を飾れず、「自分らしいボールを投げられなかった」と悔し気に振り返った。

 日米野球での日本の連勝は10年ぶりだ。小久保裕紀監督は「後半の2点以外は2死から。日本らしいつなぐ野球で、しぶとく点をとれた」と打線のつながりに満足そうだった。ヒーローの柳田からは「残り4つ勝ちます」とMLB相手に全勝宣言も飛び出した。

 第3戦は引き続き東京ドームで15日に行われ、予告先発は侍ジャパンが則本昴大(東北楽天)、MLBは日系4世のジェレミー・ガスリー(ロイヤルズ)と発表されている。

(石田洋之)