10日、日本サッカー協会(JFA)は2015年の各日本代表の試合日程を発表した。A代表は1月9日からのアジアカップ(オーストラリア)で1年をスタート。アジア杯では11年大会につづく連覇に挑む。また3月の親善試合2試合を経て、6月から2018年ロシアW杯アジア1次予選がスタート。8月には東アジアカップにも参加する。リオデジャネイロ五輪を目指す男子U−22代表は2月にシンガポール遠征を行い、3月の親善試合の後に五輪1次予選を兼ねた「AFC U−23選手権」予選に臨む。日本女子代表(なでしこジャパン)は3月のアルガルベカップでW杯イヤーが始まる。そして5月の親善試合2試合戦い、6月にはカナダW杯で大会連覇を狙う。会見にはA代表のハビエル・アギーレ監督、U−22・手倉森誠監督、なでしこジャパン・佐々木則夫監督らが出席し、それぞれ来年の抱負を述べた。
 アジア杯連覇し、W杯予選に弾みを 〜A代表〜

 A代表は8日、アジア杯の予備登録メンバー50人を発表した。アギーレ監督は「50人の中からアジア杯を連覇するための23人を選ぶ」と語った。
 50人の中には新体制で代表入りしていいない選手、またFW宇佐美貴史(G大阪)やDF植田直通(鹿島)など、A代表キャップのない選手も人含まれている。
「(これまで招集していない予備登録メンバーは)欧州のクラブ、あるいはJリーグのクラブでずっとチェックしてきた選手たちだ。招集したかどうかとは別に、全員把握している。今はまだ招集されていなかったからといって、23人に入らないとは限らない」
 指揮官はこう語り、アジア杯での若手抜擢も示唆した。

 アギーレ監督が就任してから日本は6試合を終え、3勝2敗1分けの結果となっている。これまでを振り返り、アギーレ監督は「短い準備期間だったが、チームは進化している。そしていいベースがある」とチームづくりに手応えを感じているようだ。ベースとはアルベルト・ザッケローニ前監督時代からのサッカーである。
「ブラジルW杯で日本代表は非常にいいベース、戦術的な部分でもよいコンセプトを持っていた。このベースを継続させたい」
 確かに、アギーレジャパンもMF本田圭佑(ACミラン)、FW岡崎慎司(マインツ)、DF吉田麻也(サウサンプトン)など前体制で主力だった選手が継続して代表入りしている。11月のオーストラリア戦では、アギーレ監督が軸にしている4−3−3システムを途中でザックジャパンの代名詞4−2−3−1に変更。前体制を踏襲したサッカーでアジアのライバルに勝利した。この結果により、アギーレ監督はザックスタイルの継続に好感触を得たのだろう。今後はそのベースにどのようなプラスアルファを加えられるか。その意味で、約1カ月、代表活動を行えるアジア杯は貴重だ。

 ロシアW杯アジア1次予選については霜田正浩技術委員長が「来年4月にドローを行い、前回同様、2カ月後に予選がスタートすると考えている」と述べた。アジア1次予選は5チームずつ8組に分かれてホーム&アウェー方式で行われる。6月、9月、10月、11月に各2試合のFIFAインターナショナルウィンドーが設置されており、その期間を使って予選が行われる見通しだ。アジア杯でチームづくりを推進させ、W杯1次予選で確実に勝ち星を積み重ねる。それがアギーレジャパンの2015年の目標となる。

 歴史を塗り替える可能性を示せるか 〜U−22代表〜

 U−22代表は、リオに向けた戦いがスタートする。五輪1次予選を兼ねた「AFC U−23選手権」予選ではマカオ、ベトナム、マレーシアと同組となり、手倉森監督は「対戦相手も決まって五輪予選がいよいよ始まるという気持ち。目標は五輪でメダルをとること。日本の歴史を変えたい」と力を込めた。1次予選については「歴史を塗り替える可能性を示すような戦いをしたい」と述べた。

「日本サッカー界は今年、悔しい思いをした。アンダーカテゴリーも、W杯も、そして僕のチームもアジア大会で連覇できなかった」
 手倉森監督が言うとおり、A代表はブラジルW杯でグループリーグ敗退、U−16、U−19代表は来年のW杯出場権を逃した。そして、指揮官率いるU−21代表は連覇のかかったアジア大会でベスト8という結果終わった。その悔しい思いを胸に、手倉森監督は新たなシーズンにこう意気込んだ。

「日本サッカー界はロシアでの躍進を狙っている。そのためにはこの世代が急成長しないといけない。2015年、まず五輪1次予選をしっかり勝ち抜いて、この世代を鍛えるシーズンにしたい」
 ヤングブルーの選手たちにとって2015年は、リオデジャネイロ経由ロシア行きの争いがより厳しさを増していく1年になる。

 カナダで咲かせたい“なでしこ”の花 〜なでしこジャパン〜

 なでしこはW杯連覇が最大の目標だ。すでにグループリーグの組み合わせも決まり、なでしこはスイス、カメルーン、エクアドルと同組となった。対戦国はいずれもW杯初出場でFIFAランキングもなでしこより格下。連覇へ向けて恵まれた組み分けという声もある中、佐々木監督はそんな楽観ムードを一蹴した。
「男子のW杯を見ても、(格下ばかりのグループで)強豪国が敗れている。我々も心を引き締めて、1戦1戦を戦わないといけない」

 銀メダルを獲得した12年ロンドン五輪後、指揮官は「カナダW杯はベテラン、中堅、若手がミックスされたチームが理想」と考えたという。しかし、現状はMF宮間あや(岡山湯郷)、MF阪口夢穂(日テレ)など、ベースは優勝した11年ドイツW杯からさほど変わっていない。佐々木監督は代表経験の少ない中堅、若手を多く招集し、試してきたが、強烈なインパクトを残した選手はいないというのが正直なところだろう。

 来年3月には米国、ドイツといった強豪国が出場するアルガルベ杯に出場する。指揮官は同大会でW杯に向けた準備を加速させるという。
「以前のドイツW杯の時と比べてチームとしてのコンセプト、時間はまだまだ費やしきれていない。アルガルベ杯には(W杯に向けて)選手をかなり絞り込み、チームづくりをメインとして戦う」

 ディフェンディングチャンピオンのなでしこは、各国から徹底的に研究され、厳しい戦いを強いられるだろう。だが、ドイツW杯で示したあきらめない力を発揮できれば、史上2カ国目のW杯連覇も夢ではない。
「我々はW杯チャンピオンとして、そして日本代表として恥じることなく、みなさんに元気を与える目標のもとに精進して頑張っていきたい」
 佐々木監督は最後にこう意気込んだ。ドイツで咲かせたなでしこの花を、カナダでも満開にできるか。

(文・写真/鈴木友多)

○2015年主な日本代表試合スケジュール

 A代表試合日程 ※確定分のみ
1月12日 対パレスチナ代表(アジア杯、ニューキャッスル)
1月16日 対イラク代表(アジア杯、ブリスベン)
1月20日 対ヨルダン代表(アジア杯、メルボルン)
3月27日 対チュニジア代表(親善試合、大分)
3月31日 対戦相手未定(親善試合、東京)
8月2日 対北朝鮮代表(東アジア杯、中国)
8月5日 対韓国代表(東アジア杯、中国)
8月9日 対中国代表(東アジア杯、中国)

 男子U−22日本代表試合日程
2月11日〜15日 シンガポール遠征
3月11日 対戦相手未定(親善試合、フクアリ)
3月27日 対マカオ代表(AFC U−23選手権予選兼五輪1次予選)
3月29日 対ベトナム代表(AFC U−23選手権予選五輪1次予選)
3月31日 対マレーシア代表(AFC U−23選手権予選五輪1次予選)
7月1日 対戦相手未定(親善試合、ユアスタ)

 女子日本代表(なでしこジャパン)試合日程
3月4日〜11日 アルガルベカップ(ポルトガル)
5月24日 対戦相手未定(親善試合、丸亀)
5月28日 対戦相手未定(親善試合、長野)
6月8日 対スイス代表(カナダW杯、バンクーバー)
6月12日 対カメルーン代表(カナダW杯、バンクーバー)
6月16日 対エクアドル代表(カナダW杯、ウィニベグ)
8月1日 対北朝鮮代表(東アジア杯、中国)
8月4日 対韓国代表(東アジア杯、中国)
8月8日 対中国代表(東アジア杯、中国)
11月23日〜12月2日 海外遠征(詳細未定)

 女子U−23日本代表日程
2月26日〜3月2日 ラ・マンガ国際大会(スペイン)

 フットサル日本代表試合日程
10月22日〜27日 コンチネンタルカップ(クウェート)
11月22日〜12月7日 スペイン遠征

 ビーチサッカー日本代表試合日程
1月12日〜27日 ブラジル・アルゼンチン遠征
3月23日〜28日 AFCビーチサッカー選手権2015兼FIFAビーチサッカーW杯アジア予選(カタール)
6月9日〜16日 ポルトガル遠征
6月20日〜21日 対戦相手未定(親善試合、沖縄)
7月9日〜19日 FIFAビーチサッカーW杯(ポルトガル)※日本が出場権を獲得した場合