16日、日本サッカー協会(JFA)はハビエル・アギーレ代表監督がスペイン検察当局から八百長疑惑で告発されたことを受け、今後の対応を協議した。協議には大仁邦彌会長、原博実専務理事、法務委員長を務める三好豊弁護士らが出席。今回の告発で本格的に捜査が始まる見通しで、会見した西澤和剛コミュニケーション部長は「捜査の進捗を見守り、JFAとしても独自に正確かつ詳細な情報を収集する」と発表した。またアギーレ監督は電話で通訳を介して状況を説明し、改めて八百長への関与を否定したという。
 スペイン検察当局は15日、2011年5月21日のリーガ・エスパニョーラ1部のサラゴサ対レバンテ戦で八百長が行なわれたとして、当時サラゴサの監督を務めていたアギーレ監督や選手ら41人をバレンシアの裁判所に告発した。サラゴサはこの試合に2−1で勝利し、1部残留を確定。その試合前、アギーレ監督やサラゴサの選手たちの口座に、クラブから合計96万5000ユーロ(約1億4000万円)が振りこまれ、その後、ほぼ同額がそれぞれの口座から引き出されていたという。検察当局はこれらの行為からサラゴサがレバンテに賄賂を支払ったとみている。JFAが4日にアギーレ監督を事情聴取したところ、指揮官は八百長への関与を全面否定していた。

 スペインの司法制度では、検察からの告発後に本格的な捜査が開始されるという。今後はスペイン在住のJFA顧問弁護士とアギーレ監督が契約している弁護士との間で情報共有する方向で、西澤部長は「一歩踏み込んで連携していく。弁護士同士が話をすることで、もっと(連携が)スムーズになる」と述べた。告発が受理されれば、アギーレ監督には出頭要請が届く可能性もある。出頭時期の詳細はわかっていないため、独自の調査については「今後のスケジュールついてより深く確認するのが最初のステップ」とした。

「(アギーレ)監督が一切関与していないということ、(4日の)三好弁護士のヒアリングによって八百長にコミットしたという事実がまったくなかったということについては、現時点でも覆ることはない。今、何かを判断するというタイミングではない」
 西澤部長がこう語ったように、本日行われた協議でアギーレ監督の進退についての検討はされなかった模様だ。

 この日はJリーグの理事会も開催され、理事会後にはJFA副会長も務める村井満チェアマンが会見した。会見ではアギーレ監督への告発についての質問も飛んだ。村井チェアマンは「現段階で私からコメントする情報はない」と前置きした上で、騒動の今後について言及した。
「起訴というところにまでいけば、重大な問題になると思っている。問題であることが明らかになれば、毅然たる態度をJFAはとるだろう」

 起訴された時点でアギーレ監督の進退を判断するのか。それとも長期化も予想される裁判の結果が出るまで待つのか。西澤部長は何らかの判断を下すタイミングについて「(捜査で出た)事実の確かさもちゃんと判断してからになる」と語った。29日からのアジアカップに向けた代表合宿を控える中、日本サッカー界は予断を許さない状況が続く。

(文・鈴木友多)