18日、日本サッカー協会は理事会を開き、ハビエル・アギーレ代表監督がスペイン検察当局から八百長疑惑で告発されたことを出席した理事に説明した。理事会の冒頭では大仁邦彌会長から「多くのサッカー関係者、サポーター、スポンサー、選手たち含めて、御心配をかけて申し訳ない」との謝罪があったという。理事会後に行われた会見では原博実専務理事が「現段階でアギーレ監督の進退を判断することは考えていない」というJFAの方針を発表。来年1月のアジアカップ(オーストラリア)でアギーレ監督が指揮を執ることにも変更はないと明かした。
「JFAが今一番にやらなければいけないことは、正しい情報を収集すること」
 原専務理事は、会見で同様の言葉を繰り返した。その一方で「あらゆる状況に対応できるように準備する」と捜査状況次第でアギーレ監督の進退を判断することも示唆した。

 会見は16時開始予定だったが、理事会が長引き、スタートしたのは17時半だった。原専務理事は「年末で議題が多かった」と理事会が長時間に及んだ理由を説明。しかし、「(情報不足で)不安がっている理事の方もいた」とも明かしたことから、各理事から八百長疑惑の説明要求があったことは間違いないだろう。

 アギーレ監督はスペイン検察庁から告発されたが、捜査は裁判所に告発が受理されて初めて本格化する。原専務理事がスペインの関係者から聞いたところによると、捜査は3段階になっているという。第1段階は告発された人物への聴取、第2段階は聴取内容の審査、第2段階で嫌疑が十分となった人物を対象に第3段階として公判が行なわれる。アギーレ監督の場合は、第1段階の前の“告発された”という状況だ。また会見に同席した弁護士の三好豊法務委員長が「告発が受理されたとしても、それで有罪ということではない」とも強調した。

 告発が受理され、正式な捜査が始まれば、アギーレ監督に出頭要請が届く可能性が高い。それが代表活動中となると、多方面への影響は避けられない。原専務理事は出頭時期を交渉することができるのかなどを、「今はスペインの司法機関に詳しい人からいろいろ情報を仕入れている状況」と語った。29日からはアジア杯に向けた合宿が始まる。JFAは合宿中に選手へ現状を説明する機会を設ける考えだという。アギーレ監督への配慮は必要だが、選手たちへの配慮もまた同等に重要である。

 また三好弁護士は「(捜査は)相当長期間になるという情報を入手している」ことを明かした。監督に嫌疑がかかった状況が長引けば、スポンサーやサポーターの代表への不信感が強まることが予想される。その辺のリスクマネジメントを徹底しなければ、結果的にアギーレ監督が無罪であった場合も、代表の“名誉回復”には時間がかかるだろう。三好弁護士が語るように、「いろいろ動いていく状況を踏まえて、冷静に対処していく」ことがJFAに求められている。

(文・写真/鈴木友多)