J1最終節・横浜F・マリノス(首位)対FC東京(2位)の一戦が7日、日産スタジアムで行われ、3対0で横浜FMが勝利し、15年ぶり4回目となるJ1制覇を達成した。試合は前半26分にDFティーラトン・ブンマタンの得点で横浜FMが先制し、前半終了間際にはFWエリキが追加点をあげた。後半に入ると、途中出場を果たしたMF遠藤渓太が32分、左サイドの突破からゴールネットを揺らし、危なげなく勝利した。

 

 横浜FM、仲川とM・ジュニオールが得点王(日産)

横浜FM 3-0 FC東京

【得点】

[横] ティーラトン(5分)、エリキ(44分)、遠藤渓太(77分)

 

 横浜FMは3点差以内の敗戦でも優勝、対するFC東京は4点差以上の勝利が優勝への条件だった。

 

 大量得点が必要なFC東京は序盤から激しくプレスをかけた。俊足のFW永井謙佑が粘り強くに横浜FMのDF陣にプレッシャーをかける。横浜FMは得意のパスワークを発揮できない序盤だった。

 

 23分、FC東京にビッグチャンスが訪れる。DFラインの裏に永井が抜け出し、快速をとばしDFを振り切る。GKと1対1を迎えるものの、右足のシュートはGK朴一圭に阻まれた。

 

 その3分後、ピンチをしのいだ横浜FMが運に恵まれ、先制する。ペナルティーエリア外でボールを受けたティーラトンがダイレクトで得意の左足を振り抜く。シュートブロックに入ったFC東京・MF東慶悟に当たりボールは高く舞い上がる。これがGK林彰洋の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。

 

 横浜FMの勢いは止まらない。44分、カウンターからMFマルコス・ジュニオールがゴール前のエリキに繋ぐ。ボールを受けたエリキは3人に囲まれながらも左足インサイドでゴール右隅に吸い込まれた。FC東京のプレスがトーンダウンした隙を突いた技ありゴールで横浜FMはリードを広げた。

 

 FC東京の長谷川健太監督は後半開始に2枚替えを試みる。東とMFナ・サンホをベンチに下げ、FW田川亨介とMFユ・インスを投入した。

 

 それでも横浜FMは主導権を明け渡すことはなかった。攻撃的サッカーを志向するアンジェ・ポステゴクルー監督。さらにギアを上げるため16分にFWマテウスに代え、東京五輪世代の遠藤をピッチに送る。この采配が、のちにFC東京の息の根を止める。

 

 32分だった。遠藤が光り輝く。左サイドを単独突破し、ペナルティーエリアに侵入。一度カットインしてから、細かいタッチで縦に突破し、DFを置き去りにすると、左足インサイドでシュート。見事、ゴールネット右に流し込んで見せた。稲妻のような鋭いドリブルで遠藤が観客を沸かせた。この後、横浜FMは危なげなく試合をクローズ。15年ぶり4度目のJリーグ制覇を達成したのだ。

 

 試合後、ダメ押しゴールを決めた遠藤は得点シーンを、こう振り返った。

「自分が独走してカウンターの展開が来ると思っていた。そこを決めきれるかだと思っていた。カットインして縦に行こうと決めていたわけではないけど、反射的に良いドリブルのコースがとれた」

 

 最終節まで優勝争いがもつれた今季のJ1。最終節のカードがまさかの直接対決だった。白熱のリーグ戦は、トリコロールを基調とした横浜FMが“オリジナル10”の意地を見せつけて幕を閉じた。

 

(文/大木雄貴)