東京医療保健大、インカレ3連覇! ~全日本大学バスケットボール選手権大会~
14日、第71回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)が東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で行われた。女子決勝は東京医療保健大学が白鷗大学を72-60で下し、3年連続3度目の優勝を果たした。大会3連覇は2001年~03年の日本体育大学以来。大会最優秀選手賞には2年連続で、東京医療保健大のF永田萌絵(4年)が輝いた。
◇女子決勝
スターター5人が2ケタ得点で勝利に貢献(駒沢体育館)
東京医療保健大学 72-60 白鷗大学
【第1P】18-6【第2P】18-17【第3P】15-20【第4P】21-17
インカレは4年間すべて決勝に進んだ“最強世代”が有終の美を飾った。東京医療保健大のスターター5人中4人が4年生。キャプテンの永田、PG岡田英里、SG平末明日香、F藤本愛妃がチームを引っ張る。Cジョシュア・テミトベ(1年)を含めた5人全員が2ケタ得点を挙げ、3連覇に大きく貢献した。
「出だしからエネルギッシュに戦ったが、気負ったところもあった」とは東京医療保健大の恩塚亨HC。白鷗大のPG軸丸ひかる(4年)がジャンプシュートを決めるまで、約1分半は両チームに得点が入らなかった。東京医療保健大は先制こそ許したものの、岡田のスリーポイントや速攻から得点を重ねた。
ポイントはゴール下でのボールの奪い合いを制したことだ。インサイドの藤本が「勝負を分けるのはリバウンド」と試合前から重要視していた部分でもある。スコアの動きが鈍い中、相手にセカンドチャンスを与えなかったことが大きかった。
第1ピリオドで15-6で2ケタ点差をつけた。第2ピリオドはボールを運ぶ岡田、平末、永田が鋭いドライブで敵陣を切り裂いた。ドリブル、パスから内に外と多彩な攻撃で白鷗大を圧倒した。36-23とリードを広げ、前半を終えた。
ハーフタイムで白鷗大の佐藤智信HCは「オフェンスの終わり方を変えよう、と。もう少しシンプルにやろう」と声を掛け、選手を送り出した。軸丸がリードする攻撃陣が反撃を開始。一時は6点差まで詰め寄るなど、このピリオドだけで5点縮めた。スコアは51-43で東京医療保健大の8点リードで第4ピリオドを迎えた。
白鷗大は軸丸の連続得点でさらに詰め寄る。軸丸のパスからCシラ・ソハナ・ファトージャが放ったシュートは外れたものの、相手のファウルを誘った。白鷗大はこのフリースロー2本を成功し、5点差に迫った。
苦しい場面で踏ん張れるのが、女王の証か。東京医療保健大は岡田のスリーポイントで再び突き放す。永田は自陣でボールをスティールすると、そのまま速攻からレイアップを決めた。外からも内からも決められるのも強み。運動量も最後まで落ちなかった。72-60で長いブザーが鳴り、タイムアップ。大会3連覇を達成した。
白鷗大のキャプテン軸丸は「チームとしてやりたいこと、やらせたくないことがあまり徹底できなかった」と肩を落とした。「それを徹底できる医療と、できない白鷗との差が1位と2位の差なんだと思います」。インカレは1年目から決勝、準決勝、準決勝、そして今回の決勝と優勝を争ってきた。「“打倒・医療”の思いでやってきました。おかげ自分たちが高みを目指してやってこれた。“ありがとう”という思いもあります」と軸丸。好敵手の存在が互いを研磨したのだろう。
史上5校目の3連覇を達成した恩塚HCは、「第3ピリオドは相手の勢いに押され、足が止まった場面もあった。それでも自分たちのやるべきことにフォーカスし、エネルギッシュに挽回できた。自分たちのやってきたことを貫けたのが勝因だと思います」と試合を総括した。
指揮官はチームの強みをこう評する。
「彼女たちはできることは何でもするし、1%でも良くなるために惜しまず努力する。コート内外、試合でプレーする人もしない人も、チームひとりひとりをが何ができるかを考え、行動している」
ベンチ入りした選手のみならず、それを支える学生たちの意識の高さもチーム力に厚みを持たせているというのだ。
平末が17得点6アシスト、藤本が14得点10リバウンド、永田が13得点7リバウンド、岡田が10得点6リバウンド。最後のインカレを終えた殊勲の4年生たちを、恩塚HCは笑顔で送り出す。
「世代的にチームをリードしてくれた。入学した時と比べれば、今はレベルが全然違う。毎日、その時にできるベストを尽くすことを積み上げてきた。その手応えを持ち、これからの人生の財産にしてほしい」
日本代表のACも務める恩塚HCの指導の下、飛躍を遂げた選手は多い。高校時代は無名だったキャプテンの永田は、その筆頭格だ。インカレは2大会連続MVP。昨年のアジア競技大会で日本代表に選出され、3人制バスケ
「考えてプレーするようになりました。恩塚さんは常に自分と正面から向き合ってくださる方です。とても感謝していますし、3連覇を成し遂げれて良かったと思います」
名門・桜花学園から進学した藤本も、指揮官との出会いが大きかったという。大学4年間をこう振り返った。
「プレー面はもちろんですが、自分は人間性の部分ですごく成長できました。自分たちを支えてくださる方たちのことも考えるようになりました。“そういう人たちがいるからバスケができる”と、恩塚さんは毎日教えてくださるのでスキルよりも人間力が成長したなと思います」
熱血漢・恩塚HCの指導により、強豪校へと生まれ変わった東京医療保健大。他校もこれまで以上に“打倒・東京医療”の思いで臨んでくるだろう。チームを牽引してきた“最強世代”が卒業した来年は、さらに厳しい戦いが待っている。指揮官の手腕にも注目が集まる。
(文・写真/杉浦泰介)
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